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第四話 神前裁判~性能編~
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「ど、ど、どういう意味だ!」
真っ赤になった国王レオニート陛下が、頭から湯気を噴き出しそうな勢いで叫びました。
「そのままの意味です。陛下は下手です」
「な、な、なぜそんなことを言う! どこの男と比べているんだ。浮気か! さてはそなた浮気をしていたのだな!」
「浮気などしなくても、結婚後三年も経つのに女の悦びを知ることが出来なければ気づきますわ。私の夫は下手なのだと」
背後からはお父様と弟達の押し殺した笑い声が聞こえてきます。
こういう話題に持っていくと伝えていたのに笑うのですね。殿方は下ネタが好きで困りますわ。
そんな話題を放つつもりなの? と呆れて眉間に皺を寄せていたお母様はご自宅にいらっしゃいます。
「ぶ、侮辱だ! 俺は下手ではない! そんなことを衆目の前で話すとは、そなたはなんと酷い女だ!」
「あら、私は優しい女でしてよ。長さ、太さ、持続力……ご自分ではどうにも出来ない性能を責めるのではなく、努力すれば改善できる技巧に文句を言っているのですから」
まあ今口に出したことで、ああ、性能にも問題があるんだな、と聞いている方々は思ったでしょうけどね。
『父ちゃん、下手ってなんの話? 石投げ?』
『そうだなあ、肉でも食べに行くか』
『そうね、みんなでお肉でも食べに行きましょう』
『お肉ー』
群衆の中にいた家族連れが気まずそうな顔で離れていきます。……ごめんなさい。
そして彼らとは対照的に、全然興味ないけれどいつもの習慣で散歩に来たら人混みで動けなくなりましたよ、という表情だった上品な雰囲気の老婦人が食い入るように身を乗り出していました。
ええ、女性は噂話が好きですものね。
「お、俺の長さや太さ、持続力に問題があると申すのか!」
「そうは言ってませんわ。下手なのに耐えられないという話です」
「俺は長いし太いし持続力もある! そうだろう、ラーナ!」
「は、はい! レオニートの長さはイマイチですけど、太さはモシェンニクよりもあります!」
「そうだろう、そうだろう。……ん?」
あー! 莫迦ぁー!
ちょっとやめてください。私は陛下と離縁したいんです。
あなたがモシェンニクの操り人形で、陛下を愛していないことくらいだれもが知っています。だけど、今陛下にだけは気づかれてはいけないんです。だって、私は陛下と離縁したいんですから!
心の中で叫びながら、私は次の言葉を探します。
あの女がここまで莫迦だとは思っていなかったのです。
陛下の寵愛を失ったら、愛しいモシェンニクだって失うことがわからないのでしょうか。あなたは使い捨ての道具に過ぎないんですよ? 愛している女を主君に差し出すような男性はいません。愛してないか、主君のほうが好きかのどちらかです。
「仕方がありません、義姉上。白状しましょう」
そのとき、群衆の中からアントニー大公殿下が現れました。
まるで芝居の一場面のようです。それまで群衆の中のひとりだった彼が発言した途端、周囲の人々が道を譲り、彼の周りが舞台だったかのような空間を作り出したのです。
わけがわからず、私は間抜けな声を上げました。
「は、白状?」
「申し訳ありません、兄上。いえ、国王陛下。義姉上の浮気相手は、麗しの侯爵令嬢マルタ嬢に女性の悦びを教えてしまったのは、僕です。どんな罰でもお受けします」
ちょっと待ってください、なに言ってるんですか。
私とアントニー殿下は清い関係です。清いというより、兄嫁と義弟としても距離があり過ぎるほどでした。公式の場以外で会話したのは、先日王宮から出ようとしていたときが数年ぶりのことでしたよ?
そんな言葉を口にする前に、陛下が叫びました。
「り、離縁だ! そなたのような浮気女とは離縁するーっ!」
大神官様が呆然とした顔で、ご自分の杖と柱の宝珠を見比べています。
「あー。神の審判は下っていませんが、双方の意見が合致しましたのでこれで閉会といたします。皆様足元にお気をつけの上、ご自宅へお戻りください」
え? あの……離縁出来たのは良いし、レオニート陛下の醜態を衆目に晒せたのも良かったのだけれど、私、浮気女になっちゃったんですが?
陛下が冷たいからと浮気出来るくらい要領の良い女なら、三年間も痛みしかない夫婦の営みを受け入れてきていませんよ?
アントニー殿下が近づいてきて、そっと私に手を差し出します。
「帰りましょう、義姉上。……いいえ、愛しい僕のマルタ」
なんですか、これは。なんなんですか、これは!
お父様も弟達も、どうして娘を姉を侮辱するなと殿下を責めないのですか。
もしかして最初から仕組んでいた? 私、嵌められましたの?
真っ赤になった国王レオニート陛下が、頭から湯気を噴き出しそうな勢いで叫びました。
「そのままの意味です。陛下は下手です」
「な、な、なぜそんなことを言う! どこの男と比べているんだ。浮気か! さてはそなた浮気をしていたのだな!」
「浮気などしなくても、結婚後三年も経つのに女の悦びを知ることが出来なければ気づきますわ。私の夫は下手なのだと」
背後からはお父様と弟達の押し殺した笑い声が聞こえてきます。
こういう話題に持っていくと伝えていたのに笑うのですね。殿方は下ネタが好きで困りますわ。
そんな話題を放つつもりなの? と呆れて眉間に皺を寄せていたお母様はご自宅にいらっしゃいます。
「ぶ、侮辱だ! 俺は下手ではない! そんなことを衆目の前で話すとは、そなたはなんと酷い女だ!」
「あら、私は優しい女でしてよ。長さ、太さ、持続力……ご自分ではどうにも出来ない性能を責めるのではなく、努力すれば改善できる技巧に文句を言っているのですから」
まあ今口に出したことで、ああ、性能にも問題があるんだな、と聞いている方々は思ったでしょうけどね。
『父ちゃん、下手ってなんの話? 石投げ?』
『そうだなあ、肉でも食べに行くか』
『そうね、みんなでお肉でも食べに行きましょう』
『お肉ー』
群衆の中にいた家族連れが気まずそうな顔で離れていきます。……ごめんなさい。
そして彼らとは対照的に、全然興味ないけれどいつもの習慣で散歩に来たら人混みで動けなくなりましたよ、という表情だった上品な雰囲気の老婦人が食い入るように身を乗り出していました。
ええ、女性は噂話が好きですものね。
「お、俺の長さや太さ、持続力に問題があると申すのか!」
「そうは言ってませんわ。下手なのに耐えられないという話です」
「俺は長いし太いし持続力もある! そうだろう、ラーナ!」
「は、はい! レオニートの長さはイマイチですけど、太さはモシェンニクよりもあります!」
「そうだろう、そうだろう。……ん?」
あー! 莫迦ぁー!
ちょっとやめてください。私は陛下と離縁したいんです。
あなたがモシェンニクの操り人形で、陛下を愛していないことくらいだれもが知っています。だけど、今陛下にだけは気づかれてはいけないんです。だって、私は陛下と離縁したいんですから!
心の中で叫びながら、私は次の言葉を探します。
あの女がここまで莫迦だとは思っていなかったのです。
陛下の寵愛を失ったら、愛しいモシェンニクだって失うことがわからないのでしょうか。あなたは使い捨ての道具に過ぎないんですよ? 愛している女を主君に差し出すような男性はいません。愛してないか、主君のほうが好きかのどちらかです。
「仕方がありません、義姉上。白状しましょう」
そのとき、群衆の中からアントニー大公殿下が現れました。
まるで芝居の一場面のようです。それまで群衆の中のひとりだった彼が発言した途端、周囲の人々が道を譲り、彼の周りが舞台だったかのような空間を作り出したのです。
わけがわからず、私は間抜けな声を上げました。
「は、白状?」
「申し訳ありません、兄上。いえ、国王陛下。義姉上の浮気相手は、麗しの侯爵令嬢マルタ嬢に女性の悦びを教えてしまったのは、僕です。どんな罰でもお受けします」
ちょっと待ってください、なに言ってるんですか。
私とアントニー殿下は清い関係です。清いというより、兄嫁と義弟としても距離があり過ぎるほどでした。公式の場以外で会話したのは、先日王宮から出ようとしていたときが数年ぶりのことでしたよ?
そんな言葉を口にする前に、陛下が叫びました。
「り、離縁だ! そなたのような浮気女とは離縁するーっ!」
大神官様が呆然とした顔で、ご自分の杖と柱の宝珠を見比べています。
「あー。神の審判は下っていませんが、双方の意見が合致しましたのでこれで閉会といたします。皆様足元にお気をつけの上、ご自宅へお戻りください」
え? あの……離縁出来たのは良いし、レオニート陛下の醜態を衆目に晒せたのも良かったのだけれど、私、浮気女になっちゃったんですが?
陛下が冷たいからと浮気出来るくらい要領の良い女なら、三年間も痛みしかない夫婦の営みを受け入れてきていませんよ?
アントニー殿下が近づいてきて、そっと私に手を差し出します。
「帰りましょう、義姉上。……いいえ、愛しい僕のマルタ」
なんですか、これは。なんなんですか、これは!
お父様も弟達も、どうして娘を姉を侮辱するなと殿下を責めないのですか。
もしかして最初から仕組んでいた? 私、嵌められましたの?
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