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第四話 辺境の女王
さて、面倒なことを後回しにしていたら、さらに面倒なことに発展してしまうものですわ。
ですので私、嫁いだ翌日に悪徳商人どもをバルデス辺境伯領の辺境伯家へ招きましたの。
「これはこれはサンドラ様。お招きありがとうございます。我々は前の奥方様とは大変懇意にさせていただいておりました。是非これからも……」
「貴方に私を名前で呼ぶことは許していませんわよ?」
悪徳商人どもの代表が媚びるように言うのを途中で遮ります。
私は傲慢令嬢なので、相手の話を最後まで聞かなくても良いのですわ。
悪党の話を真面目に聞いていたりしたら、与しやすいと見做されて強引に押し切られてしまうものですしね!
「こ、これは失礼いたしました、奥方様」
謝罪は受け入れると頷いて見せて、私は旦那様の代わりに守ってくれている護衛の騎士達に合図して、悪徳商人を数人指差しましたの。
私の護衛騎士達は全員女性ですのよ。旦那様より素敵な男性なんていらっしゃらないのに、ヤキモチ妬きの旦那様ですこと!
護衛騎士達は首肯して、私が指差した悪徳商人達を捕縛しましたわ。
「お、奥方様?」
「この王国では人身売買は禁止されているわ。魔獣の大暴走で崩壊した村や町で火事場泥棒をした上に、親とはぐれた子どもを攫って奴隷にするような商人はバルデス辺境伯領には必要ありません」
「前の奥方様もご承知のことです!」
捕縛された商人が叫びます。
代表は真っ青な顔で俯いています。
人身売買を知って黙認していたけれど、実際に手を汚してはいないので今回は見逃してあげる予定です。代表の命令でおこなっていたのではありませんからね。
彼らが人身売買をしていたことはお父様に調べていただきました。
結婚祝いとして、嫁ぎ先の犯罪状況の調査をおねだりしたんですの。
ガルシア侯爵家の暗部は優秀なのですわ。
「この件が明らかになればバルデス辺境伯様にも累が及びますよ!」
悪事をおこなっていた商人どもは、こんな魔獣蔓延る辺境まで足を運んだとは思えないほど弱々しい美男でしたわ。
吟遊詩人だってもう少し逞しいと思いますの。
前の奥様の好みだったのかしら? 私は逞しいアルバロ様のことが大好きですが、政略結婚とはいえ好みでない方と結ばれなくてはいけなかったのならお気の毒に思いますわ。悪いのは中央貴族派ですわね!
「累など及びませんわ。傲慢令嬢と呼ばれたこの私が及ばせません。裏でどこかの派閥とつながっているのでしょうけれど、王太子殿下の婚約者に望まれたほど強い魔力を持ち、ガルシア侯爵家一番の治癒魔法の使い手である私を敵に回す莫迦はいませんわ!」
「……」
捕縛された悪徳商人どもはがっくりと項垂れましたわ。
まあ、捕縛してないほうも悪徳商人なのですが。
代表の一派は密輸や盗品売買をしてますの。でも魔獣の大暴走の後で物資が不足したとき、尻を叩いて集めさせるのにちょうど良いから生かしておいてあげますわ。
フラカソ王太子殿下はこんな私を嫌ってらっしゃいましたけれど、使える力を使って早期に解決するほうが犠牲者は少なくて済むでしょう? 黒幕だって手足を失えば動けなくなりますし、新しい手足を集めようとするのを利用すれば相手の本陣にこちらの手のものを入れて崩壊に導けますわよ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
──そんなわけで、私は前の奥様の負の遺産や辺境伯領に昔から巣食うヤベェのを潰したり従えたりしていきましたの。
護衛騎士達に骨を折ってもらってから私が治癒魔法で回復するのを二、三回繰り返したら、どんなにヤベェのでもおとなしくさせることが出来ましたのよ。
私、治癒魔法の使い手で良かったですわ。
嫁いで三ヶ月経つころには、私は傲慢令嬢どころか『辺境の女王』と呼ばれるようになっていましたのよ。
旦那様はお忙しくて、ずっと一緒にはいられませんけれど、時間を見つけてはお顔を見せてくださる素敵な方ですの。
もちろん新婚ですので、顔を見せ合うだけでは終わりませんが。
つまり旦那様との蜜月が続いているということですわ、ほーほほっほ!
ですので私、嫁いだ翌日に悪徳商人どもをバルデス辺境伯領の辺境伯家へ招きましたの。
「これはこれはサンドラ様。お招きありがとうございます。我々は前の奥方様とは大変懇意にさせていただいておりました。是非これからも……」
「貴方に私を名前で呼ぶことは許していませんわよ?」
悪徳商人どもの代表が媚びるように言うのを途中で遮ります。
私は傲慢令嬢なので、相手の話を最後まで聞かなくても良いのですわ。
悪党の話を真面目に聞いていたりしたら、与しやすいと見做されて強引に押し切られてしまうものですしね!
「こ、これは失礼いたしました、奥方様」
謝罪は受け入れると頷いて見せて、私は旦那様の代わりに守ってくれている護衛の騎士達に合図して、悪徳商人を数人指差しましたの。
私の護衛騎士達は全員女性ですのよ。旦那様より素敵な男性なんていらっしゃらないのに、ヤキモチ妬きの旦那様ですこと!
護衛騎士達は首肯して、私が指差した悪徳商人達を捕縛しましたわ。
「お、奥方様?」
「この王国では人身売買は禁止されているわ。魔獣の大暴走で崩壊した村や町で火事場泥棒をした上に、親とはぐれた子どもを攫って奴隷にするような商人はバルデス辺境伯領には必要ありません」
「前の奥方様もご承知のことです!」
捕縛された商人が叫びます。
代表は真っ青な顔で俯いています。
人身売買を知って黙認していたけれど、実際に手を汚してはいないので今回は見逃してあげる予定です。代表の命令でおこなっていたのではありませんからね。
彼らが人身売買をしていたことはお父様に調べていただきました。
結婚祝いとして、嫁ぎ先の犯罪状況の調査をおねだりしたんですの。
ガルシア侯爵家の暗部は優秀なのですわ。
「この件が明らかになればバルデス辺境伯様にも累が及びますよ!」
悪事をおこなっていた商人どもは、こんな魔獣蔓延る辺境まで足を運んだとは思えないほど弱々しい美男でしたわ。
吟遊詩人だってもう少し逞しいと思いますの。
前の奥様の好みだったのかしら? 私は逞しいアルバロ様のことが大好きですが、政略結婚とはいえ好みでない方と結ばれなくてはいけなかったのならお気の毒に思いますわ。悪いのは中央貴族派ですわね!
「累など及びませんわ。傲慢令嬢と呼ばれたこの私が及ばせません。裏でどこかの派閥とつながっているのでしょうけれど、王太子殿下の婚約者に望まれたほど強い魔力を持ち、ガルシア侯爵家一番の治癒魔法の使い手である私を敵に回す莫迦はいませんわ!」
「……」
捕縛された悪徳商人どもはがっくりと項垂れましたわ。
まあ、捕縛してないほうも悪徳商人なのですが。
代表の一派は密輸や盗品売買をしてますの。でも魔獣の大暴走の後で物資が不足したとき、尻を叩いて集めさせるのにちょうど良いから生かしておいてあげますわ。
フラカソ王太子殿下はこんな私を嫌ってらっしゃいましたけれど、使える力を使って早期に解決するほうが犠牲者は少なくて済むでしょう? 黒幕だって手足を失えば動けなくなりますし、新しい手足を集めようとするのを利用すれば相手の本陣にこちらの手のものを入れて崩壊に導けますわよ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
──そんなわけで、私は前の奥様の負の遺産や辺境伯領に昔から巣食うヤベェのを潰したり従えたりしていきましたの。
護衛騎士達に骨を折ってもらってから私が治癒魔法で回復するのを二、三回繰り返したら、どんなにヤベェのでもおとなしくさせることが出来ましたのよ。
私、治癒魔法の使い手で良かったですわ。
嫁いで三ヶ月経つころには、私は傲慢令嬢どころか『辺境の女王』と呼ばれるようになっていましたのよ。
旦那様はお忙しくて、ずっと一緒にはいられませんけれど、時間を見つけてはお顔を見せてくださる素敵な方ですの。
もちろん新婚ですので、顔を見せ合うだけでは終わりませんが。
つまり旦那様との蜜月が続いているということですわ、ほーほほっほ!
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