どうぶつ村のエリカと妖艶なデーモン

あめ野コッキー

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5.ふれあい

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「かわいいな!」

エリカとデーモンさんは大階段だいかいだんを上がった正面の部屋にいました。
不気味ぶきみ彫刻ちょうこくほどこされた大きなとびらの部屋です。
そこはデーモンさんの私室ししつであり、ボス部屋と呼ばれる部屋でした。

玉座ぎょくざだけが置いてあった簡素かんそな部屋は、部屋一面がピンクや白でまっており、随所ずいしょにハートがりばめられていました。

ラブリーな壁紙かべがみにラブリーなラグ、ラブリーなソファーにラブリーなチェア、ラブリーなテーブルにラブリーなベッド、クローゼット、ドレッサー、ハート型のふかふかクッション。

もちろん、エリカが模様替もようがえをしたのです。

「そうかしら?」

エリカはデーモンさんの「かわいい」という言葉に首をかしげました。自分で模様替えをしたにもかかわらず、エリカはお気にしていない様子です。

「エリカはそう思わないのか?」

「わたしハートって苦手にがてなのよね。 だから全部あげるわ」

つまり、エリカはただらないものを押し付けただけなのです。

「そうなのか……」

デーモンさんはエリカの言葉を聞いて、しょんぼりとかたを落としました。

手触てざわりがとても気持ちいいな……」

ふわふわ起毛きもうのハート型ラグにすわっていたデーモンさんは、ラグをサラサラとでます。そして、ラグの上に置いてある、これまたハート型をしたフカフカなクッションを持ち上げました。

「ハートは私の尻尾しっぽの形に似ている。 私専用せんようか?」

そう言ってエリカにおしりを向けると、フリフリと尻尾をってたずねました。確かに、尻尾の先はハートを頭からしたような形をしておりました。

「ああ~、確かにそうね! あなた専用よ!」

エリカは適当てきとう返事へんじをしました。

「そうか!」

エリカの返事を聞いて、デーモンさんはうれしそうにハート型のクッションをギューッときしめました。

「まさかそんなにもよろこんでもらえるとは思わなかったわ、正直あなたには似合にあってないもの。もっと別のものにしましょうか?」

「これでいい! いやっ、これがいい!」

「あら、そうなの……」

デーモンさんは「私はこれが好きだ……」と抱きしめていたクッションにほほこすりつけて言いました。

趣味しゅみわるいのね!」

エリカはさっぱりとしたみをたたえて言いました。
それを聞いたデーモンさんは、三度みたびかたを落とします。
エリカはとても正直な性格せいかくをしておりました。気のおけない相手には、思ったことがつい口をついて出てしまうのです。本人にまったく悪気わるぎはないのですが、学校でまったく友だちができないというのもうなずけるものです。

「でも、やっぱり私はこれが好きだ……」

デーモンさんはもう一度クッションを胸に抱くと、上目遣うわめづかいでエリカにうったえました。

「あら、いいじゃない。自分の気持ちを大事にするのはいいことよ」

エリカは笑顔でそう答えました。

「自分の気持ち……」

すると、デーモンさんはクッションを抱えながら何やら考え込んでしまいました。

エリカはそんなデーモンさんの横におもむろにこしろします。そして、ポシェットに手を入れて一輪いちりんの花を取り出しました。エリカがその花をふわふわ起毛のラグの上に置くと、花はポンッと音をたてて赤い屋根やねのドールハウスに変わりました。

「あなたネコさんね」

「?」

エリカは唐突とうとつに、デーモンさんに人形遊びを持ちかけました。しかしながらデーモンさんは、わけがわからないというように、クッションにあごをのせて首をかしげ、キョトンとした顔をしていました。

エリカはドールハウスに付属ふぞくしていたウサギさんの人形を左手に持って、芝居しばいをはじめます。

「ねーママー! またアタシの服、お父さんのパンツと一緒いっしょに洗ったでしょー!」

「……?」

困惑こんわくしてだまりこくるデーモンさんに、エリカはとんとんとひじでついて催促さいそくします。そして、ネコさんの人形をデーモンさんの目の前に持っていきました。

「あー、えーっと……。そうだがー!」

デーモンさんはネコさんの人形を手で持って、エリカの真似まねをするように芝居をはじめます。

「なんでよ! パパのパンツと一緒に洗わないでって言ったじゃない!」

「なぜだ!」

きたないからに決まってるでしょ!」

すると、エリカは右手にクマさんの人形を持って、またまた芝居を始めます。エリカは一人二役ふたやくのようです。

「ねー! ボクが大事に取っておいたバニラモナカ! なくなってるんだけどー!」

「えー……。そんなものは知らん!」

「ババぁ! まさか! 食べやがったなー!」

「そうかもしれん!」

ゆるせねー! もうこんな家出て行ってやるぜ!」

「なぜだ?!」

「私もよ! もうこんな家出て行ってやるわ!」

「待ってくれ! 私が悪かった! たのむから出て行かないでくれー!」

二人はそんなふうに、それから小一時間こいちじかん、人形遊びを楽しみました。

────

ぐ~

ふたりが人形遊びを終えると、ラブリーな空間くうかんにこれまた可愛くて軽妙けいみょうな音がひびきました。それはエリカのお腹の音です。

「わたしちょっとごはんを食べてくるわ」

そう言ってエリカはラブリーなベッドの上に寝転ねころがると、目をつむり、深い眠りについたのでした。
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