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北ダンジョン編
25話 念には念を
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俺達一行は、ゼスの家で寝起きを共にする事になった。今日は、自由行動で昼にギルド支部で落ち合う事になっている。朝食は、各自が中央広場の露店や飯屋で済ます。俺と風音とゼスは、支部長に会いにギルドに来ていた。
俺達は、ギルドに入ると直接2階の応接室に通された。すぐに、支部長のブライトが現れる。
「ゼス おはよう 早く会えてよかった」
「おはよう 何かあったのか? 」
「早ければ、今日の昼過ぎにギルド本部の学者が来るぞ」
「そりゃまた早いな… 」
ブライトは、ギルド本部と数回に渡り鳩を使った伝達を行ったという。
本部側の学者が、居ても立っても居られない状態になり、早馬でこちらに向かったと連絡が入ったのだ。残りの雑兵も、すでに現地に向かって北ダンジョンを立ち入り禁止にするようだ。メイドスに寄るのは、王都の学者1名と雑兵5名、追加で手足れ2名が早ければ明日の夜に到着するようだ。
「手足れねえ… まあ早いにこした事はない 準備しておかないとな」
「ああ 失敗は勘弁だぞ ゼス」
「当たり前だろ 支部長」
「これでやっとメイドスも… 」
支部長が何か、思いに耽るように呟く。
「支部長」
「あ… なんだい? かざねくん」
「呼び出しといて お茶も出んのか? 」
「あ! すまない」
支部長は、応接室のドアを開けてお茶を頼み隣の部屋から灰皿を持ってきて風音の前に差し出し椅子に戻る。
「うむ… ゼスよ こことダンジョンの往復をする警護というのはわかったが、ここから王都までの警護はやらんでいいんじゃな? 」
「ああ そういう依頼だよ かざねさん」
「ふむ… なあ支部長 例えばメイドスから王都までの間で、荷が何者かに奪われた場合その責任は何処に求めれば良いのじゃ? 」
「あ… 」
「なあ ゼスよ わしらも同行せぬか? どうせ支払いは王都のギルド本部なんじゃろ? 」
「ああ… 確かに、かざねさんの言う通りだ… もし、王都の連中が荷を奪われた事にしてしまえば 俺達にビタ一文と金は入ってこない… 」
「ゼス まだ甘いのう… この件は、お前の功績じゃ ちょっとした油断でその功績を全て失うかもしれんのだぞ わかってるのか? 」
ゼスは、帽子を深く被り下を向いた。ブライトも、事の重要さに気付き考える。途轍もなく、価値ある物が目の前に… 自分の手に届くところにある場合、全ての人間が理性を保っていられるのか…
「ゼス… 思った以上に神経が磨り減る案件だった 頼む!! 王都まで無事に届けてはくれないか? 依頼額は金貨500枚で受けてくれ これが今、うちが出せる最高金額だ」
「おっけー 俺も甘かったよ そして、気を付けなきゃならないのは追加で足された 手足れって、やつら2名か」
「託也 お前も、しっかりとそやつらを見張っておけ」
「了解」
「まあ わしも見とるから安心せえ」
…… …
こうして、王都までの護衛に変更となった依頼は金貨400枚の内容から500枚になった。どっちにしろ、王都で金を受け取る事になるのだから問題無いと言えば問題無かった。
お茶を啜りながら風音はブライトに質問を始めた。
「ところで支部長 何故そこまで今回の件に執着しておるのじゃ? わしからしてみれば 他人事じゃろ? 」
ブライトは笑みを溢しながら風音の問いに答える。
「簡単に言ってしまえば、このギルド支部が活性化する。北ダンジョンを求めて、各地の冒険者が集まり街には大きな利益を生む事になるはずだ。まあ、それが半分と残り半分がメイドス・ギルド支部への報酬かな はっはは」
「ぶっちゃけたな 支部長」
「そう言うな ゼス この人に嘘は駄目だ 見抜かれてしまうよ」
「中々の、狸じゃのう 支部長は」
「はっはは で、君がたくやくんでいいのかな? 」
「あ はい」
「支部長 こんな感じだが託也はキングタイガーを1発で仕留める強者だぞ」
「わかった… 3人には昨日の件、了承した」
昨日の件とは、冒険者SSランク確約のことだった。
「かざねさん そろそろ昼だ みんな集まっているだろ」
「うむ… 先にいっておれ」
俺とゼスは、1階へ降りると表で待っていたカリナ達と合流する。
▽▽▽
「のう 支部長 ちと相談なんじゃが、今回の件で金が入ったらメイドスに家を買おうと思っておるんじゃが いくらくらいするのかのう? 」
「家を? 定住すると? 」
「この街を拠点にするつもりじゃ 支部長はゼスの家を知っているか? あれの5倍はある広さで、2階建ての建物 風呂は2つ欲しいかのう」
「うーん…」
「隣に立派な建物があるじゃろ あれはいくらする? 」
「普通に出せば3000… 3000はするだろうね」
「ふむ… なんとかなるかのう 実はまだ誰にも話しておらんのじゃが やつらに内緒で動いて欲しいんじゃ もちろんただじゃない 交渉して値引いた分をそっくり支部長にくれてやる どうじゃ? 」
「いいのかい? かざねくん」
「王都から戻ったら金は前払いじゃ やるか? 」
「い… いいのか? 本当に」
「かまわん そのかわりゼス達には内緒じゃ 驚かせてやるつもりじゃからな クックク 約束できるか? 」
「は… はっは もちろんだ! 」
「これも縁というものじゃ… それとな、どんな形になるのか一度見せてくれぬか 紙に書いて」
「図面のことだね わかった 打ち合わせは王都から戻ってから」
俺達が知らないところで、風音と支部長がこんな話を進めていたとは…
『屋敷』を見るまで知る由もなかった。
▽▽▽
2階の応接室から降りてきた風音が合流する。
「ゼス 皆に説明はしたのか? 」
「ああ 何の話をしてたんだ? かざねさん」
「いやな… 剣獣殺の話は託也に聞いたんじゃろ? 」
「あ… ああ 細かくは聞いてないが もう現れないだろうとは聞いている」
「うむ それで、何であんな辺鄙なところで追い剥ぎをしていたと思う? おかしいと思わんか」
「言われてみれば… 確かに」
「まあ 少し話を聞いただけじゃ この話は内緒じゃ支部長に聞くのは駄目じゃぞ? いいな? ゼス」
「ああ 了解だ かざねさん」
風音は後ろを向き舌を出す。
「カリナ」
「はい 風音様」
「お前達もちゃんと準備しておけよ 回復する薬とやらを必ず持て 今回は人を相手にするかもしれんからのう…」
「えっ!? 」
「なんじゃ ゼスは話しておらんのか… 」
「その辺はまだ… すまない」
「ふむ… ちと人がいない方へ移動するかのう」
俺達は、人気の無い場所に移動すると改めてゼスが説明を始めた。
…… …
「わかりました」
「要は、追加の手足れ2名に気を付けていれば良い 途中変更あれば伝える」
「はい! 」
「それとゼス 今回は黒蓮に荷は引かせん わしが単独で馬を使う ゼスと託也はアルマ達と一緒に1台の馬車に乗り込めいいな? 」
「わかった」
「了解だ」
この後も、風音の指示でカリナは今から透明化してゼスの家に戻り何時でも戦闘出来る状態で待機。カーベル達も必要な回復アイテム等を買ってゼスの家で待機するよう言われた。
俺は、これらの準備が全て無駄になって欲しいと切に願った。
俺達は、ギルドに入ると直接2階の応接室に通された。すぐに、支部長のブライトが現れる。
「ゼス おはよう 早く会えてよかった」
「おはよう 何かあったのか? 」
「早ければ、今日の昼過ぎにギルド本部の学者が来るぞ」
「そりゃまた早いな… 」
ブライトは、ギルド本部と数回に渡り鳩を使った伝達を行ったという。
本部側の学者が、居ても立っても居られない状態になり、早馬でこちらに向かったと連絡が入ったのだ。残りの雑兵も、すでに現地に向かって北ダンジョンを立ち入り禁止にするようだ。メイドスに寄るのは、王都の学者1名と雑兵5名、追加で手足れ2名が早ければ明日の夜に到着するようだ。
「手足れねえ… まあ早いにこした事はない 準備しておかないとな」
「ああ 失敗は勘弁だぞ ゼス」
「当たり前だろ 支部長」
「これでやっとメイドスも… 」
支部長が何か、思いに耽るように呟く。
「支部長」
「あ… なんだい? かざねくん」
「呼び出しといて お茶も出んのか? 」
「あ! すまない」
支部長は、応接室のドアを開けてお茶を頼み隣の部屋から灰皿を持ってきて風音の前に差し出し椅子に戻る。
「うむ… ゼスよ こことダンジョンの往復をする警護というのはわかったが、ここから王都までの警護はやらんでいいんじゃな? 」
「ああ そういう依頼だよ かざねさん」
「ふむ… なあ支部長 例えばメイドスから王都までの間で、荷が何者かに奪われた場合その責任は何処に求めれば良いのじゃ? 」
「あ… 」
「なあ ゼスよ わしらも同行せぬか? どうせ支払いは王都のギルド本部なんじゃろ? 」
「ああ… 確かに、かざねさんの言う通りだ… もし、王都の連中が荷を奪われた事にしてしまえば 俺達にビタ一文と金は入ってこない… 」
「ゼス まだ甘いのう… この件は、お前の功績じゃ ちょっとした油断でその功績を全て失うかもしれんのだぞ わかってるのか? 」
ゼスは、帽子を深く被り下を向いた。ブライトも、事の重要さに気付き考える。途轍もなく、価値ある物が目の前に… 自分の手に届くところにある場合、全ての人間が理性を保っていられるのか…
「ゼス… 思った以上に神経が磨り減る案件だった 頼む!! 王都まで無事に届けてはくれないか? 依頼額は金貨500枚で受けてくれ これが今、うちが出せる最高金額だ」
「おっけー 俺も甘かったよ そして、気を付けなきゃならないのは追加で足された 手足れって、やつら2名か」
「託也 お前も、しっかりとそやつらを見張っておけ」
「了解」
「まあ わしも見とるから安心せえ」
…… …
こうして、王都までの護衛に変更となった依頼は金貨400枚の内容から500枚になった。どっちにしろ、王都で金を受け取る事になるのだから問題無いと言えば問題無かった。
お茶を啜りながら風音はブライトに質問を始めた。
「ところで支部長 何故そこまで今回の件に執着しておるのじゃ? わしからしてみれば 他人事じゃろ? 」
ブライトは笑みを溢しながら風音の問いに答える。
「簡単に言ってしまえば、このギルド支部が活性化する。北ダンジョンを求めて、各地の冒険者が集まり街には大きな利益を生む事になるはずだ。まあ、それが半分と残り半分がメイドス・ギルド支部への報酬かな はっはは」
「ぶっちゃけたな 支部長」
「そう言うな ゼス この人に嘘は駄目だ 見抜かれてしまうよ」
「中々の、狸じゃのう 支部長は」
「はっはは で、君がたくやくんでいいのかな? 」
「あ はい」
「支部長 こんな感じだが託也はキングタイガーを1発で仕留める強者だぞ」
「わかった… 3人には昨日の件、了承した」
昨日の件とは、冒険者SSランク確約のことだった。
「かざねさん そろそろ昼だ みんな集まっているだろ」
「うむ… 先にいっておれ」
俺とゼスは、1階へ降りると表で待っていたカリナ達と合流する。
▽▽▽
「のう 支部長 ちと相談なんじゃが、今回の件で金が入ったらメイドスに家を買おうと思っておるんじゃが いくらくらいするのかのう? 」
「家を? 定住すると? 」
「この街を拠点にするつもりじゃ 支部長はゼスの家を知っているか? あれの5倍はある広さで、2階建ての建物 風呂は2つ欲しいかのう」
「うーん…」
「隣に立派な建物があるじゃろ あれはいくらする? 」
「普通に出せば3000… 3000はするだろうね」
「ふむ… なんとかなるかのう 実はまだ誰にも話しておらんのじゃが やつらに内緒で動いて欲しいんじゃ もちろんただじゃない 交渉して値引いた分をそっくり支部長にくれてやる どうじゃ? 」
「いいのかい? かざねくん」
「王都から戻ったら金は前払いじゃ やるか? 」
「い… いいのか? 本当に」
「かまわん そのかわりゼス達には内緒じゃ 驚かせてやるつもりじゃからな クックク 約束できるか? 」
「は… はっは もちろんだ! 」
「これも縁というものじゃ… それとな、どんな形になるのか一度見せてくれぬか 紙に書いて」
「図面のことだね わかった 打ち合わせは王都から戻ってから」
俺達が知らないところで、風音と支部長がこんな話を進めていたとは…
『屋敷』を見るまで知る由もなかった。
▽▽▽
2階の応接室から降りてきた風音が合流する。
「ゼス 皆に説明はしたのか? 」
「ああ 何の話をしてたんだ? かざねさん」
「いやな… 剣獣殺の話は託也に聞いたんじゃろ? 」
「あ… ああ 細かくは聞いてないが もう現れないだろうとは聞いている」
「うむ それで、何であんな辺鄙なところで追い剥ぎをしていたと思う? おかしいと思わんか」
「言われてみれば… 確かに」
「まあ 少し話を聞いただけじゃ この話は内緒じゃ支部長に聞くのは駄目じゃぞ? いいな? ゼス」
「ああ 了解だ かざねさん」
風音は後ろを向き舌を出す。
「カリナ」
「はい 風音様」
「お前達もちゃんと準備しておけよ 回復する薬とやらを必ず持て 今回は人を相手にするかもしれんからのう…」
「えっ!? 」
「なんじゃ ゼスは話しておらんのか… 」
「その辺はまだ… すまない」
「ふむ… ちと人がいない方へ移動するかのう」
俺達は、人気の無い場所に移動すると改めてゼスが説明を始めた。
…… …
「わかりました」
「要は、追加の手足れ2名に気を付けていれば良い 途中変更あれば伝える」
「はい! 」
「それとゼス 今回は黒蓮に荷は引かせん わしが単独で馬を使う ゼスと託也はアルマ達と一緒に1台の馬車に乗り込めいいな? 」
「わかった」
「了解だ」
この後も、風音の指示でカリナは今から透明化してゼスの家に戻り何時でも戦闘出来る状態で待機。カーベル達も必要な回復アイテム等を買ってゼスの家で待機するよう言われた。
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