少女は淑女で最強不死者

きーぱー

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都市税争奪対抗戦編

47話 抽選会 その2

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 一時、騒然となった抽選会場。
 
 何事も無かったように椅子に座る風音の一言で、1回戦の抽選が始まる。前回、準優勝のマリルの代表がテーブルに設置された箱の中に手を入れて1枚の紙を取り出した。
 取り出した紙を本部長アドルフに手渡す。

 アドルフは、折り畳まれた紙を開き番号を読む。

 「マリル! 5番!! 続いて、前回3位のトロレス代表 引いてくれ」

 トロレス代表が、紙をアドルフに渡す。

 「トロレス! 1番!! 次、アーデラル 引いてくれ」

 アーデラル代表から紙を渡されるアドルフ。

 「アーデラル! 6番!! 1組が決まった!! 第3試合はマリル対アーデラルだ」

 「「「おおっ!! 」」」
 「こりゃ、好カードだ!! 」
 「おーい! 第3試合はマリルとアーデラルだ!! 」

 試合を観戦目的で、王都に来た客や冒険者達から歓声が沸く。

 「次! ドリボラとトレイルの代表前へ サイの目が多い方が先だ」

 まずは、ドリボラの代表がサイコロを振る。 出目は、5。続けて、トレイルの代表の出目は6。

 「トレイル 引いてくれ」

 出目の多い、トレイルが抽選の箱から1枚の紙を取り出す。
 アドルフは、トレイル代表から紙を受け取り一呼吸置いた。紙を開く…

 「トレイル! 2番! これで全組み合わせが決まった 1回戦、第1試合 トロレス対トレイル 第2試合 ドリボラ対メイドス 第3試合 マリル対アーデラルとなった! みんな、各都市の誇りと意地をかけ戦ってくれ! 抽選会は以上だ 今夜は、前夜祭を楽しんでくれ! 」

 「「「「「うおぉぉぉぉーーー!! 」」」」」

 トレイルが2番を引いた事で、自然と第2試合の空白にドリボラとメイドスが組み込まれ全ての対戦相手が決まったのだ。

 俺達は、風音の元に集まる。

 「かざねさん… もう大丈夫なのか? 」
 「うむ 心配いらん とっくに塞がっておる」
 「マジでびっくりしたよ あいつら生きていたんだね」
 「そのようじゃのう… まぁ、きっちり止めを刺さなかった わしの自業自得じゃ クックク それよりも、相手はドリボラじゃ 後で会議する」
 「「「了解」」」

 「さて 本部長 行くとするかのう」

 風音は、本部長の前に行くと剣獣殺の賞金を受け取りにギルド本部へと促す。

 「そうしよう すぐに準備させる」

 風音と本部長は、歩幅を合わせギルド本部へ向かった。俺達もギルド本部まで付いて行く事にする。今は、都市税争奪対抗戦の期間中。相手はドリボラに決まり何があるか解らない。
 単独行動は、持っての他だ。
 俺達に緊張が張り詰めるが、風音は今まで通りに見えた。

 風音と本部長を先頭に、俺達はギルド本部へ入って行く。カウンターで受け取るだけと思っていたが本部長室に招かれる。今は、この通り冒険者が溢れ返っている。剣獣殺についても話が聞きたいと本部長が言い出したのだ。

 本部長室の、ソファーに座ると早速質問がはじまった。

 何故、剣獣殺に襲われたのか。
 その理由を風音は答える。
 以前、メイドスの北で追い剥ぎにあった件を本部長に話した。腕を引き千切り、両足を切断した事も…

 「わしも鬼ではない 殺意が無い者にチャンスを上げたつもりじゃったが どうやら、甘かったようじゃのう 今回の件は、自業自得じゃ」

 「なるほど… それでは、次の質問良いかな? 何故、あの場で特務機関に任せず殺害したのかを聞きたい」
 「簡単じゃ あの特務とやらでは無理じゃ 取り押さえに失敗すれば多くの犠牲者を出していたぞ 特務もそうじゃが周りの冒険者共も尻込みしてたではないか もっと冷静に状況を把握せい」

 風音は静かに、諭すまでとはいかない言葉であったが本部長を嗜めるように答えた。その時

 コンコン

 本部室長のドアをノックする音がした。ドアの外から受付嬢の声がする。

 「本部長 言われた物を用意しました。」
 「解った 入ってくれ」

 受付嬢は、袋に入った金貨300枚の袋を両手に1袋づつ持ってきた。

 「エミル君、ご苦労様 下がっていいよ。 かざねくん 賞金の金貨600枚だ 改めてくれ」
 「ゼス 数えてくれ」

 風音は、隣にいたゼスに金貨の枚数を確認させる。

 「間違いない かざねさん 金貨600枚だ」
 「うむ… 他に聞きたい事はあるか? 本部長」
 「いや… 個人的な事になるから今は止めておこう」
 「そうか 機会があれば話してやろう 皆、行くぞ」

 俺達が、ギルド本部の1階フロアーに行くと冒険者達がヒソヒソと抽選会での出来事を噂していた。

 「おい… あいつらか? 8人か… 剣獣殺も8人相手じゃ分が悪かったのか」
 「いや、俺が聞いた話だと1人だったらしいぜ? 」
 「たった1人で?… もし、それが本当なら相当な手足れだな」
 「いくらなんでも1人じゃ無理だろ 本当にあいつらがやったのか? 」
 「ハッ 眉唾物だぜ そんな話」

 まぁ、好き勝手な話をしているみたいでこっちにとっては好都合だ。油断して貰えるとありがたい…

 風音は、1階のカウンターに寄り金貨を500枚預ける。同時に、冒険者登録証を袖口から出そうとした時だった。横を向き、何やらしゃべりだした。

 「行儀が悪いのう… 今すぐ、この場から立ち去れば今回だけ見逃してやるが どうする? 時間は無いぞ… 」

 「どうしたの? 風音」

 俺は、様子が可笑しい風音に声をかけた。

 「どっかのアサシンが透明化で わしの横に立って覗き込んでおった 一体、何処のアサシンだったんじゃろうな クックク もう出て行きおったわ」

 剣獣殺との、現場を見た誰かが風音をマークしているのは間違いない。しかし、風音をマークしたところでどうなる訳でもないのに…
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