2 / 3
怪事件
しおりを挟む
ある男が言った。
「俺は命令されたんだ。神様から命令されたんだ!神様に会ったんだよ俺は!だから・・・だからあいつを殺したんだ!」
警視庁刑事部特別捜査官の城崎誠(きのさき まこと)は自分の担当している事件の犯人、田原正和(たはら まさかず)からこの言葉を聞いた。逮捕する瞬間に叫んだ言葉だ。それを叫んだっきり田原は黙り込んでしまい、いまだ取り調べにも応じていない。
「おい、城崎~昼飯いかねーか?」
同僚の柴田(しばた)に声をかけられ時計を見るともうすでに昼の2時を回るところだった。どうりで腹が減ったわけだ。
「お、行く行く」
軽く返事をしてジャケットを羽織る。柴田の後ろを追いかけて、外に出ると柴田は待ってましたと言わんばかりの顔で俺に話しかけてきた。
「お前の担当してた事件なんだっけ?あのー神様がなんちゃらかんちゃらってやつ。あれどーなった?」
「どーにもこーにも犯人の田原が何にも喋りゃしない。置物ですかーってくらいにな。本当に困ったもんだよ。」
そう、本当に困っている。そうそうに犯人逮捕には至ったものの現場の状況や動機辻褄合わせには田原の証言が欲しい。そろそろ上からの早くしろという圧力も強くなってくる頃だろう。
「本当にそいつが犯人なのか?まぁ実行犯がそいつだとしても動機も全くないんだろ?」
柴田の言う通りだ。田原に動機は無い。俺ら担当刑事も、田原が神様となのる人物がいてその人物が計画し、田原に実行するよう命じたのでは無いかと考えた。しかしどれだけ捜査してもそんな人物一人も出でこない。
そんなことを話しているうちにいきつけの定食屋についた。俺は好物の生姜焼き定食を頼んだ。
「もう一度事件の概要教えてくれよ」
柴田にそう聞かれた時、ちょうど俺の生姜焼き定食と柴田の頼んだハムカツ定食がきた。
「食べながらでもいいなら聞くか?」
「あまり気持ちいいもんじゃないがきくよ笑」
「わかった。まずは事件が起こったのは今からちょうど二週間前の7月1日午前2時。東京都渋谷区の路地裏に死体が発見された。被害者は大手家電メーカーの副社長、雨宮駿介(あまみや しゅんすけ)。死体はひどく損傷していたが一番の死因は首の大きな穴だ。」
「穴・・・?」
「ああ。首筋の頸動脈のあたりに500円玉くらいの穴が開いていたんだ。どうやって開けたのかはいまいちわかってないのが現状だ。でも鑑識に聞いたところによると金属でできたなにかで開けられているらしい。そしてその首筋に被害者のものではない血痕が残っていた。」
「それが田原のだったと」
「そういうこと。」
「なんでわかったんだ?」
「被害者の雨宮は宗教団体クロシエスにはいっていたらしい。」
宗教団体クロシエスとは犯罪撲滅をモットーとして汚れた社会をクリーンにしたいという目的から集まった人たちで作られた。その設立者は雨宮の父親だった。
「そのクロシエスの幹部の中に田原もいたんだ。」
「そこでつながるってわけか。」
「クロシエスは各地の病院に貢献するため、幹部は全員献血を行っていた。その血を全て調べたところヒットしたんだ。」
「その幹部会の時にお前が捕まえた・・・と。その時に叫んだっきり何も話さないんだよなぁ、不思議なやつだ。」
犯人は捕まえたのにこんなにすっきりしないのは初めてだ。なぜ田原は自供しないのか。ただ刑期が伸びるだけなのに。
「さ、飯も食い終わったし帰るか!今日は俺がおごるよ。」
柴田がおごってくれるだなんて珍しい。今日はラッキーな日なのかもしれない。田原のことでうじうじ考えるのはやめよう。
俺は前を向き店の外に出た。大きな深呼吸をして。
「俺は命令されたんだ。神様から命令されたんだ!神様に会ったんだよ俺は!だから・・・だからあいつを殺したんだ!」
警視庁刑事部特別捜査官の城崎誠(きのさき まこと)は自分の担当している事件の犯人、田原正和(たはら まさかず)からこの言葉を聞いた。逮捕する瞬間に叫んだ言葉だ。それを叫んだっきり田原は黙り込んでしまい、いまだ取り調べにも応じていない。
「おい、城崎~昼飯いかねーか?」
同僚の柴田(しばた)に声をかけられ時計を見るともうすでに昼の2時を回るところだった。どうりで腹が減ったわけだ。
「お、行く行く」
軽く返事をしてジャケットを羽織る。柴田の後ろを追いかけて、外に出ると柴田は待ってましたと言わんばかりの顔で俺に話しかけてきた。
「お前の担当してた事件なんだっけ?あのー神様がなんちゃらかんちゃらってやつ。あれどーなった?」
「どーにもこーにも犯人の田原が何にも喋りゃしない。置物ですかーってくらいにな。本当に困ったもんだよ。」
そう、本当に困っている。そうそうに犯人逮捕には至ったものの現場の状況や動機辻褄合わせには田原の証言が欲しい。そろそろ上からの早くしろという圧力も強くなってくる頃だろう。
「本当にそいつが犯人なのか?まぁ実行犯がそいつだとしても動機も全くないんだろ?」
柴田の言う通りだ。田原に動機は無い。俺ら担当刑事も、田原が神様となのる人物がいてその人物が計画し、田原に実行するよう命じたのでは無いかと考えた。しかしどれだけ捜査してもそんな人物一人も出でこない。
そんなことを話しているうちにいきつけの定食屋についた。俺は好物の生姜焼き定食を頼んだ。
「もう一度事件の概要教えてくれよ」
柴田にそう聞かれた時、ちょうど俺の生姜焼き定食と柴田の頼んだハムカツ定食がきた。
「食べながらでもいいなら聞くか?」
「あまり気持ちいいもんじゃないがきくよ笑」
「わかった。まずは事件が起こったのは今からちょうど二週間前の7月1日午前2時。東京都渋谷区の路地裏に死体が発見された。被害者は大手家電メーカーの副社長、雨宮駿介(あまみや しゅんすけ)。死体はひどく損傷していたが一番の死因は首の大きな穴だ。」
「穴・・・?」
「ああ。首筋の頸動脈のあたりに500円玉くらいの穴が開いていたんだ。どうやって開けたのかはいまいちわかってないのが現状だ。でも鑑識に聞いたところによると金属でできたなにかで開けられているらしい。そしてその首筋に被害者のものではない血痕が残っていた。」
「それが田原のだったと」
「そういうこと。」
「なんでわかったんだ?」
「被害者の雨宮は宗教団体クロシエスにはいっていたらしい。」
宗教団体クロシエスとは犯罪撲滅をモットーとして汚れた社会をクリーンにしたいという目的から集まった人たちで作られた。その設立者は雨宮の父親だった。
「そのクロシエスの幹部の中に田原もいたんだ。」
「そこでつながるってわけか。」
「クロシエスは各地の病院に貢献するため、幹部は全員献血を行っていた。その血を全て調べたところヒットしたんだ。」
「その幹部会の時にお前が捕まえた・・・と。その時に叫んだっきり何も話さないんだよなぁ、不思議なやつだ。」
犯人は捕まえたのにこんなにすっきりしないのは初めてだ。なぜ田原は自供しないのか。ただ刑期が伸びるだけなのに。
「さ、飯も食い終わったし帰るか!今日は俺がおごるよ。」
柴田がおごってくれるだなんて珍しい。今日はラッキーな日なのかもしれない。田原のことでうじうじ考えるのはやめよう。
俺は前を向き店の外に出た。大きな深呼吸をして。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる