29 / 140
魔物討伐隊 立入制限区域レベル6にて
経験不足 2
しおりを挟む
メイは腕を組んで、2人の魔力を観察していた。
ランドルフは統合部隊随一の魔力量を持つ。
本来ならば、ランドルフから大量の魔力を送られれば、あっという間に魔力過多となり、重度の病魔ストレス症状が出てしまう。
しかし、ノエルはランドルフの魔力を全て受け取ってなおかつ、自分の魔力もランドルフに送っていた。
魔力の交換にもキスにも慣れていないノエルだが、慣れれば、より強力な治癒魔術や、病魔ウィルスに対する免疫力などを施す治療術が可能かもしれない。そんな考えが、メイの頭を巡った。
ランドルフも、ノエルが自分の魔力を全て受け取ったことに改めて驚きながらも、ノエルの経験の浅い慣れていない可愛らしい様子を堪能していた。
理性を持って押し留めているが、許されるならば、このまま押し倒してもっとノエルの身体の深いところまで入り込んで魔力の交換をしたいという欲望にかられる。
「…っ、はい、大丈夫です。失礼しました」
ノエルは、はっと意識を戻し、ランドルフに下ろしてくださいとお願いをする。
前回ランドルフと魔力交換をしたときは、主に自分の魔力を送るだけだった為、今回のような身体の中心が熱く火照るような刺激は起こらなかった。
ノエルは、失敗した…と、不安げにメイの方に視線を向けた。
「お前の能力はわかった。今回の特別機動部隊の帯同については…検討する。正直、経験不足が否めない感があるからな。使えるかどうか…他の戦略と併せて見極めていく必要がある」
メイはノエルにそう伝えると、ノエルに近付く。
そして、ノエルの肩に手をおいて、屈みながらノエルにキスをした。
「ん…!!」
ノエルは目を見開く。メイの閉じられた瞳がすぐにそこにあって、銀色のまつ毛がキラキラと光る。
すぐにメイの魔力がノエルの身体の中を巡り、ランドルフとの魔力交換で僅かに溜まったストレスを消していく。
簡単そうにみえるが、僅かなストレスを探ってそれを解消するという高度な治癒魔術だった。
ちゅっと音を立てて、メイは、唇を離した。
「これくらいで、ぽーっと意識飛ばしてるようじゃ…現場では使えねぇんだよ」
突然のキスで、自分の魔力を上書きされたランドルフはむっとしてメイに声をかける。
「その治癒魔術は、俺が今からノエルにしようと思ったんだけど」
「ランドは治癒魔術は得意じゃねぇからな。俺の方が早いし確実だ」
フフンと、メイは得意げな目でランドルフを見る。ランドルフは、本当のことだったのか、くっ…と言葉に詰まる。
イスタは、急に学生のノリのように軽口を叩き合う隊長達2人を眺め、役得?据え膳?隊長達ズルいよなぁ…と思っていた。そして、同時にノエルの魔力に強い興味を持っていた。
ノエルはというと、ランドルフの強い魔力と、メイの治癒魔術に圧倒され、経験不足と、実務レベルの格の違いに密かに打ちのめされていたのだった…
***
(やられた…!!)
ノエルがメイの執務室から退出した後、研修を受けていた部屋に戻ると、荷物を預けるためにノエルが使用していたロッカーが少し開いていた。
不審に思ったノエルは中にある自分の荷物を確認すると、大事な…討伐第2部隊のラボを使用するためにリッツェンからもらったピンバッチが無いことにすぐ気づいた。そして、ロッカーのドアにはメモ紙が貼り付けられていた。
『返してほしければ、第2武器収容庫に来い』
そして…ノエルは、もっと信じられないことに気づいてしまった。
ロッカーには、最近の嫌がらせもあって用心して通常の鍵と、そこまで難しくはないが念の為簡単に解錠できないように魔術をかけていた。
それを解除して、ロッカーを開ける為には、魔術を使用しなければいけなかったはずだ。
魔術を使用した痕がある。
「どうして…?」
「何してるのさ」
後ろから声をかけられ、ノエルは勢いよく振り返った。
そこには、新人治療士コニー・ユーストマが怪訝な表情を浮かべノエルを見ていた。
「ううん…何でもない」
ノエルはコニーを部屋に置いて、第2武器収容庫に向かった。
ランドルフは統合部隊随一の魔力量を持つ。
本来ならば、ランドルフから大量の魔力を送られれば、あっという間に魔力過多となり、重度の病魔ストレス症状が出てしまう。
しかし、ノエルはランドルフの魔力を全て受け取ってなおかつ、自分の魔力もランドルフに送っていた。
魔力の交換にもキスにも慣れていないノエルだが、慣れれば、より強力な治癒魔術や、病魔ウィルスに対する免疫力などを施す治療術が可能かもしれない。そんな考えが、メイの頭を巡った。
ランドルフも、ノエルが自分の魔力を全て受け取ったことに改めて驚きながらも、ノエルの経験の浅い慣れていない可愛らしい様子を堪能していた。
理性を持って押し留めているが、許されるならば、このまま押し倒してもっとノエルの身体の深いところまで入り込んで魔力の交換をしたいという欲望にかられる。
「…っ、はい、大丈夫です。失礼しました」
ノエルは、はっと意識を戻し、ランドルフに下ろしてくださいとお願いをする。
前回ランドルフと魔力交換をしたときは、主に自分の魔力を送るだけだった為、今回のような身体の中心が熱く火照るような刺激は起こらなかった。
ノエルは、失敗した…と、不安げにメイの方に視線を向けた。
「お前の能力はわかった。今回の特別機動部隊の帯同については…検討する。正直、経験不足が否めない感があるからな。使えるかどうか…他の戦略と併せて見極めていく必要がある」
メイはノエルにそう伝えると、ノエルに近付く。
そして、ノエルの肩に手をおいて、屈みながらノエルにキスをした。
「ん…!!」
ノエルは目を見開く。メイの閉じられた瞳がすぐにそこにあって、銀色のまつ毛がキラキラと光る。
すぐにメイの魔力がノエルの身体の中を巡り、ランドルフとの魔力交換で僅かに溜まったストレスを消していく。
簡単そうにみえるが、僅かなストレスを探ってそれを解消するという高度な治癒魔術だった。
ちゅっと音を立てて、メイは、唇を離した。
「これくらいで、ぽーっと意識飛ばしてるようじゃ…現場では使えねぇんだよ」
突然のキスで、自分の魔力を上書きされたランドルフはむっとしてメイに声をかける。
「その治癒魔術は、俺が今からノエルにしようと思ったんだけど」
「ランドは治癒魔術は得意じゃねぇからな。俺の方が早いし確実だ」
フフンと、メイは得意げな目でランドルフを見る。ランドルフは、本当のことだったのか、くっ…と言葉に詰まる。
イスタは、急に学生のノリのように軽口を叩き合う隊長達2人を眺め、役得?据え膳?隊長達ズルいよなぁ…と思っていた。そして、同時にノエルの魔力に強い興味を持っていた。
ノエルはというと、ランドルフの強い魔力と、メイの治癒魔術に圧倒され、経験不足と、実務レベルの格の違いに密かに打ちのめされていたのだった…
***
(やられた…!!)
ノエルがメイの執務室から退出した後、研修を受けていた部屋に戻ると、荷物を預けるためにノエルが使用していたロッカーが少し開いていた。
不審に思ったノエルは中にある自分の荷物を確認すると、大事な…討伐第2部隊のラボを使用するためにリッツェンからもらったピンバッチが無いことにすぐ気づいた。そして、ロッカーのドアにはメモ紙が貼り付けられていた。
『返してほしければ、第2武器収容庫に来い』
そして…ノエルは、もっと信じられないことに気づいてしまった。
ロッカーには、最近の嫌がらせもあって用心して通常の鍵と、そこまで難しくはないが念の為簡単に解錠できないように魔術をかけていた。
それを解除して、ロッカーを開ける為には、魔術を使用しなければいけなかったはずだ。
魔術を使用した痕がある。
「どうして…?」
「何してるのさ」
後ろから声をかけられ、ノエルは勢いよく振り返った。
そこには、新人治療士コニー・ユーストマが怪訝な表情を浮かべノエルを見ていた。
「ううん…何でもない」
ノエルはコニーを部屋に置いて、第2武器収容庫に向かった。
136
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる