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束の間の休息
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大小様々な石を渡った先には透き通った水が打ち寄せていた。遠目には暗い緑色に見えた湖も、こうして近くまで来ると透明でその底にある小石までもが綺麗に見える。
セシリアは風になびく髪を押さえながら、湖とその向こうに広がる景色を必死で目に焼き付けようとしていた。
「リア様、それ以上行くと濡れちゃうよ?」
「すみません、水は冷たいと仰っていましたものね…。」
一歩後ろに下がるとジークフリートが隣に並んだ。
「そんなに一生懸命に何を探していたんだ?」
「鳥?魚?」
「いえ、特に何か探していた訳ではありません。そう見えましたか?」
ジークフリートとレジナルドは顔を見合わせて頷いている。
「今見えているこの景色を全部覚えていたいと思って。」
「それでそんなに…?」
「あ、そう言えば今朝もリア様窓から一生懸命俺達のこと見てたよね?」
セシリアがレジナルドの言葉に赤くなり俯くと、ジークフリートがからかうように続けた。
「あれはな、私たちに見惚れていたそうだよ。白馬に乗った王子様がお気に召したそうだ。」
「何だ、惚気か?」
「二人の王子様だ、残念ながら…。」
「俺も?」
「早朝の湖の神秘的な雰囲気に見とれていたらいきなりお二人の姿が見えたものですから…つい…。」
ジークフリートが優しい顔でセシリアの手を取った。
「リアの目には全てのことが新しく映っているんだな、少しだけ羨ましい…。」
「あ…。」
何かを思い出したようにレジナルドが絶句すると、セシリアは再び遠くの山へ視線を動かした。
「お二人が私にこんなにも美しい世界を見せて下さっているんです、だから忘れないようにしっかりと目に焼き付けておきたいと思って。」
「そんな事言うな…。」
ジークフリートは切なそうにセシリアの肩を抱き寄せた。
「そうだよ、忘れたらまた一緒に来ればいいだけじゃん。」
「新しい街も美しい景色も、これからまだまだ見せて回りたい場所が沢山ある。覚悟を決めておくんだぞ?」
セシリアはジークフリートの肩に頭を預けると、黙って頷いた。二人の優しさと、湖の美しい景色に感動して何故だか泣き出したい気分だった。
「なんか俺もらい泣きしそう…。」
珍しい事にしんみりとしたレジナルドの声が隣から聞こえた。
「私の手はもう埋まっているからな、期待するな?」
「も~、出そうだった涙も引っ込むようなこと言わないでよ!」
「…お二人とも、ありがとうございます、もう大丈夫です。」
セシリアはジークフリートの肩から頭を離すとそう言えばと何かを思い出したようにジークフリートを見上げた。
「そういえば、この場所にわざわざ連れて来られたのには何か理由があったのですか?」
「…いや、ただ石がある湖岸に降りられる場所で一番近かったのがここだっただけだ。」
「嘘つくなよ、今朝リア様の気に入るような場所をあれだけ探し回ってたくせに…。」
「…」
セシリアは見上げたジークフリートの耳が少しだけ赤いのを確認すると、レジナルドの方を向いて唇に人差し指を立ててみせた。
「レジー様、あんまりいじめちゃダメです!」
「えぇっ?もう、なんだよそれ。リア様には叶わないな…。」
「──次来た時には舟に乗りたいな。確か離宮にあったはずだ。」
ジークフリートはレジナルドの視界から隠すようにセシリアを抱き寄せると、わざとらしく話を逸らした。
セシリアは風になびく髪を押さえながら、湖とその向こうに広がる景色を必死で目に焼き付けようとしていた。
「リア様、それ以上行くと濡れちゃうよ?」
「すみません、水は冷たいと仰っていましたものね…。」
一歩後ろに下がるとジークフリートが隣に並んだ。
「そんなに一生懸命に何を探していたんだ?」
「鳥?魚?」
「いえ、特に何か探していた訳ではありません。そう見えましたか?」
ジークフリートとレジナルドは顔を見合わせて頷いている。
「今見えているこの景色を全部覚えていたいと思って。」
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「あれはな、私たちに見惚れていたそうだよ。白馬に乗った王子様がお気に召したそうだ。」
「何だ、惚気か?」
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「俺も?」
「早朝の湖の神秘的な雰囲気に見とれていたらいきなりお二人の姿が見えたものですから…つい…。」
ジークフリートが優しい顔でセシリアの手を取った。
「リアの目には全てのことが新しく映っているんだな、少しだけ羨ましい…。」
「あ…。」
何かを思い出したようにレジナルドが絶句すると、セシリアは再び遠くの山へ視線を動かした。
「お二人が私にこんなにも美しい世界を見せて下さっているんです、だから忘れないようにしっかりと目に焼き付けておきたいと思って。」
「そんな事言うな…。」
ジークフリートは切なそうにセシリアの肩を抱き寄せた。
「そうだよ、忘れたらまた一緒に来ればいいだけじゃん。」
「新しい街も美しい景色も、これからまだまだ見せて回りたい場所が沢山ある。覚悟を決めておくんだぞ?」
セシリアはジークフリートの肩に頭を預けると、黙って頷いた。二人の優しさと、湖の美しい景色に感動して何故だか泣き出したい気分だった。
「なんか俺もらい泣きしそう…。」
珍しい事にしんみりとしたレジナルドの声が隣から聞こえた。
「私の手はもう埋まっているからな、期待するな?」
「も~、出そうだった涙も引っ込むようなこと言わないでよ!」
「…お二人とも、ありがとうございます、もう大丈夫です。」
セシリアはジークフリートの肩から頭を離すとそう言えばと何かを思い出したようにジークフリートを見上げた。
「そういえば、この場所にわざわざ連れて来られたのには何か理由があったのですか?」
「…いや、ただ石がある湖岸に降りられる場所で一番近かったのがここだっただけだ。」
「嘘つくなよ、今朝リア様の気に入るような場所をあれだけ探し回ってたくせに…。」
「…」
セシリアは見上げたジークフリートの耳が少しだけ赤いのを確認すると、レジナルドの方を向いて唇に人差し指を立ててみせた。
「レジー様、あんまりいじめちゃダメです!」
「えぇっ?もう、なんだよそれ。リア様には叶わないな…。」
「──次来た時には舟に乗りたいな。確か離宮にあったはずだ。」
ジークフリートはレジナルドの視界から隠すようにセシリアを抱き寄せると、わざとらしく話を逸らした。
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