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街で出会う
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「朝だよー、起きてー!」
「朝だ! 街だ!」
目を覚ました瞬間から、昨日の興奮が続いていた。
⸻
朝食を食べると、すぐに出発。
街までは徒歩で約5時間。
行きは歩き、帰りは荷物が増えるので馬車を借りる予定だ。
馬車は維持費がかかるため、常に所有するより、必要なときに借りる方が安いらしい。
⸻
トコトコ歩きながら、脇道を鑑定する。
色々なものはあるけれど、
山に生えているものと、あまり変わらないな……と思っていた、そのとき。
(ん?)
生姜だ。
「母さん! あれ取りたい!」
興奮気味に伝えると、驚きつつも許可が出た。
土魔法で周りを掘り、根を傷つけないように引っこ抜く。
地面を元に戻し、生姜にクリーン。
持って歩いていると、母さんがカバンに入れてくれた。
そんな感じで、ニラや生姜をいくつか収穫しながら歩くこと5時間。
街に到着。
⸻
いつも山を歩き回っているおかげか、道のりは意外と平気だった。
……とはいえ、少し疲れたので回復魔法をかけておく。
街をぶらぶらしながら買い物。
最後に、重たい肉とパンを購入。
日用品も揃えつつ、果物屋を見つけた。
この世界の通貨は、1リ、2リ……と数えるのは知っている。
でも、相場はまだよく分からない。
りんご1個500リ。
バナナ1本100リ。
(現世より、倍くらいかな?)
⸻
「お腹すいたな……」
ぼそっと呟くと、母さんが言った。
「そうね。屋台で何か食べましょう」
どこを見ても、
肉を焼いた串や、硬いパンに肉を挟んだものばかり。
……その中で。
(ん?)
何か、いい匂いがする。
「母さん、この匂いなに?」
「本当ね。いい匂いがするわ」
――これ、絶対味噌だ。
匂いに引っ張られるように進むと、屋台が一つあった。
「あれ食べよう!」
1串100リ。
母さんを急かして買ってもらい、一口。
……うまい!
この世界にも、うまい食べ物があったのか!?
……とはいえ、正直、味噌を塗っただけだ。
(でも、可能性がある)
⸻
「これにつけてるのって、どこで手に入りますか?」
背伸びしてカウンターを覗き込みながら聞く。
「米とか麦を売ってるとこだな。
この先、突き当たりを右だ」
「ありがとうございます!」
⸻
走り出す。
母さんに呼び止められているのは分かっているけど、足が止まらない。
「早く、早く……!」
看板が見えた。
家畜の餌豆・米・麦
中を覗くと、おじさんが少し驚いた顔でこちらを見る。
「味噌が欲しいんです!」
勢いよく叫ぶと、怪訝な顔。
「……味噌?」
「肉に塗ってたやつ!」
必死に説明していると、母さんが追いついた。
「すみません、息子が興奮してしまって。
屋台で串肉を食べたら美味しくて、それが欲しいみたいで」
「あー、アレか!」
おじさんは納得したように頷く。
「蔵いっぱいに出来ちまってな。
腐ったかと思ったが、いい匂いがしたんで使ってみたんだ」
「それ、味噌って言うんです!」
「そうかそうか。
じゃあ安くしてやる。1樽500リでいい」
「あと、麦も欲しいんですが……」
「麦は1キロ1000リだ」
……悩む。
「僕、お小遣い1000リしかなくて……」
「ん? じゃあ、常連になってくれるなら全部で1000リにしとくか」
「来ます! また来ます!
お金いっぱい持ってきます! ありがとうございます!」
⸻
嬉しさが抑えきれず、
阿波踊りっぽい、でも全然違う踊りを踊りながら、
(麻婆豆腐作れる……!)
と、一人で大喜び。
⸻
帰り道。
カバンや服を売っている店に入る。
色々並んでいたけれど、
なぜか目が吸い寄せられる鞄があった。
腰につける革鞄。
振り回されないように、足を通すベルト付き。
(これだ)
「これ、いくらですか?」
「小さくて物が入らないから人気なくてね。
150リでいいよ」
安い。
即決。
……ただし、父さんにもらったお金は使い切っていたので、母さんが出してくれた。
⸻
馬車を借り、荷物を積み込む。
ホクホク顔で、家路につく。
(街、最高)
「朝だ! 街だ!」
目を覚ました瞬間から、昨日の興奮が続いていた。
⸻
朝食を食べると、すぐに出発。
街までは徒歩で約5時間。
行きは歩き、帰りは荷物が増えるので馬車を借りる予定だ。
馬車は維持費がかかるため、常に所有するより、必要なときに借りる方が安いらしい。
⸻
トコトコ歩きながら、脇道を鑑定する。
色々なものはあるけれど、
山に生えているものと、あまり変わらないな……と思っていた、そのとき。
(ん?)
生姜だ。
「母さん! あれ取りたい!」
興奮気味に伝えると、驚きつつも許可が出た。
土魔法で周りを掘り、根を傷つけないように引っこ抜く。
地面を元に戻し、生姜にクリーン。
持って歩いていると、母さんがカバンに入れてくれた。
そんな感じで、ニラや生姜をいくつか収穫しながら歩くこと5時間。
街に到着。
⸻
いつも山を歩き回っているおかげか、道のりは意外と平気だった。
……とはいえ、少し疲れたので回復魔法をかけておく。
街をぶらぶらしながら買い物。
最後に、重たい肉とパンを購入。
日用品も揃えつつ、果物屋を見つけた。
この世界の通貨は、1リ、2リ……と数えるのは知っている。
でも、相場はまだよく分からない。
りんご1個500リ。
バナナ1本100リ。
(現世より、倍くらいかな?)
⸻
「お腹すいたな……」
ぼそっと呟くと、母さんが言った。
「そうね。屋台で何か食べましょう」
どこを見ても、
肉を焼いた串や、硬いパンに肉を挟んだものばかり。
……その中で。
(ん?)
何か、いい匂いがする。
「母さん、この匂いなに?」
「本当ね。いい匂いがするわ」
――これ、絶対味噌だ。
匂いに引っ張られるように進むと、屋台が一つあった。
「あれ食べよう!」
1串100リ。
母さんを急かして買ってもらい、一口。
……うまい!
この世界にも、うまい食べ物があったのか!?
……とはいえ、正直、味噌を塗っただけだ。
(でも、可能性がある)
⸻
「これにつけてるのって、どこで手に入りますか?」
背伸びしてカウンターを覗き込みながら聞く。
「米とか麦を売ってるとこだな。
この先、突き当たりを右だ」
「ありがとうございます!」
⸻
走り出す。
母さんに呼び止められているのは分かっているけど、足が止まらない。
「早く、早く……!」
看板が見えた。
家畜の餌豆・米・麦
中を覗くと、おじさんが少し驚いた顔でこちらを見る。
「味噌が欲しいんです!」
勢いよく叫ぶと、怪訝な顔。
「……味噌?」
「肉に塗ってたやつ!」
必死に説明していると、母さんが追いついた。
「すみません、息子が興奮してしまって。
屋台で串肉を食べたら美味しくて、それが欲しいみたいで」
「あー、アレか!」
おじさんは納得したように頷く。
「蔵いっぱいに出来ちまってな。
腐ったかと思ったが、いい匂いがしたんで使ってみたんだ」
「それ、味噌って言うんです!」
「そうかそうか。
じゃあ安くしてやる。1樽500リでいい」
「あと、麦も欲しいんですが……」
「麦は1キロ1000リだ」
……悩む。
「僕、お小遣い1000リしかなくて……」
「ん? じゃあ、常連になってくれるなら全部で1000リにしとくか」
「来ます! また来ます!
お金いっぱい持ってきます! ありがとうございます!」
⸻
嬉しさが抑えきれず、
阿波踊りっぽい、でも全然違う踊りを踊りながら、
(麻婆豆腐作れる……!)
と、一人で大喜び。
⸻
帰り道。
カバンや服を売っている店に入る。
色々並んでいたけれど、
なぜか目が吸い寄せられる鞄があった。
腰につける革鞄。
振り回されないように、足を通すベルト付き。
(これだ)
「これ、いくらですか?」
「小さくて物が入らないから人気なくてね。
150リでいいよ」
安い。
即決。
……ただし、父さんにもらったお金は使い切っていたので、母さんが出してくれた。
⸻
馬車を借り、荷物を積み込む。
ホクホク顔で、家路につく。
(街、最高)
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