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一章「秘密基地をダンジョンに」
#17
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「ケイゴ!下がれ!」
ケイゴを引き倒すついでに、その手にある木の枝を奪う。
「ダイチ!?」
「下がってろ!」
そこに居たのはジャイアントタランチュラ、蜘蛛型のモンスターだ。
大きさは小型犬程度で動きもさほど素早くないが、毒にやられると麻痺して動けなくなる。
1対1でやられると生きたまま捕食されるが、複数人いれば全く怖くない敵だ。
しかし、雑魚とはいえ武器のない子供が倒せるほど弱いわけではない。
ここはオレが確実に狩って、恐れることはないと皆に教えてやったほうが良いだろう。
オレは正確に敵の目玉に枝を突き立て、思いっきり蹴っ飛ばす。
ヂギヂギと不快な音と立てて、ジャイアントタランチュラはあっという間に絶命する。
この間5秒程度。うん、やはり子供の手足だけにリーチが短いのがネックだ。
だが、ちょっと時間をかけすぎた。
恐怖ですくんでいる皆のほうを向いて「もう大丈夫だ」と告げる。
「な、なな、ななな」
腰を抜かしたままのケンゴが、意味不明の呟きを漏らす。
これはフォローが必要だな。
「なんだケンゴ、あんな雑魚にびびっててどうする。剣道の実力を見せるチャンスだったのに惜しいことをしたな?」
そう言って肩を竦めると、
「何なんだ、今の!?」
ケンゴが少し復活して、人語を発した。
『な』だけでは何が言いたいのかわからんからな。
「何って、ジャイアントタランチュラだろう。最弱のモンスターの一種だな」
言っている間にモンスターは形を失って崩れ落ちる。
まるで砂山を海が削るかのような光景だ。
オレはゆっくりと近寄って残った赤い魔石を拾い上げる。
「赤か。ラッキーだな」
そう言ってポケットに仕舞う。
そこにはジャイアントタランチュラがいた形跡は何もない。
魔法生物であるモンスターは死ぬとただの魔力に戻り、ダンジョンに還元される。
広場に戻ると、全員石化でもかけられたかのように固まっていた。
「おい、どうした?」
オレが声をかけると、全員「はーっ」と息を吐いて、
「い、今のは……?」
「さっきケンゴに説明しただろう、アリサ。ジャイアントタランチュラだ。慣れれば子供でも石をぶつけて倒せる程度の雑魚モンスターだ」
「……モンスター?」
コータも呆然としている。
「コータ。アリサやカナが驚くのはわかる。後ろから襲われかけたケンゴが腰を抜かしたのもまぁ分からないでもないが……なぜコータまで驚いているんだ?」
「だ、だって、モンスターなんて、本当にいるなんて思わないよ」
「何を言ってるんだ? ダンジョンにモンスターがいるのは当たり前だ。これまではエンカウントしなかったが……ダンジョンを探索するならモンスターとの遭遇を想定するのは当然だろう?」
オレがそう言うと、コータは、呆然としたままコクコクと頷く。
「ダイチくん、ここには他のモンスターもいるの?」
「……お前はあまり驚いていないな、カナ。一番冷静に見える」
「驚いてます。びっくりしすぎて体が動きません」
オレは笑って、肩にポンと手を置く。
すると、気が抜けたようにカナがヘナヘナと座り込む。
「他のモンスターがいるのかと言ったが、もちろんいる。ただ、ここの魔力量からして雑魚しか生息できないだろうから、まぁ気をつけていれば怪我する心配はない」
オレがそう言うと、
「「「「いやいやいや」」」」
ときれいにハモって全員からツッコまれた。
「ダイチ、モンスターなんて危ないのがいるなら、なんでダンジョンに入るのを止めなかったの?」
「何を言ってるんだ? ダンジョン探索をしたいと言ったのはおまえたちだろう。この階層では魔石も雑魚モンスターのものしか手に入らないし、ドロップにも期待はできないが……遊び場としては最適だろ」
「「「「いやいやいやいや」」」」
どうも、こいつらの言いたいことがわからん。
いや、それよりも……
「それより皆、ここから出よう。さっきカナが選んだ一番左の道は何かがおかしい。あそこだけ魔力が異様に高い。俺たちが足を踏み入れたことで何かのスイッチが入ったのかもしれん。先ほどの雑魚もその影響の可能性がある」
そう言うと、皆は慌てて立ち上がってあたりを見回す。
「そう心配しなくてもモンスターがいれば気配でわかる。今のところ近くには居ない。さあ進むぞ」
オレが先を促すと皆は慌てて付いてくる。
あの雑魚によほど驚いたのか、みな固まって、おそるおそる歩いている。
そのせいで、進みが遅い。
「おい」
オレは皆に発破をかける。
「モンスターがいればわかると言ってるだろう。ぐずぐず歩くとそれだけ遭遇率は上がるぞ?」
そう言うと、今度は慌てたように小走りになる。
「いや、そこまで急ぐ必要もない……ああ、もしかして足元が暗くて歩き辛いのか?」
仕方がない。手に入れたばかりの魔石だが、雑魚のだし構わないか。
「lumen(光あれ)」
魔石を消費して、灯りに変える。
くそ、石の質が悪くて、暗いな。
「何それ?!」
アリサが驚いて目を見張る。
「何って……松明代わりの魔法だが……」
「「「「魔法?!」」」」
皆の声がハモる。
一体何を驚いているんだ……?
何故か呆然とした顔の皆を連れて先を急ぐ。
と。
少し先に、さきほどと同じモンスターがいるのに気づく。
「止まれ。……いるぞ」
オレが言うと、全員が緊張するのがわかった。
「どうする?」
オレは、ケンゴに言う。
「ケンゴの腕なら簡単に倒せると思うが、オレがやったほうがいいか?」
ああいった「不意を食らって不覚を取った経験」は早めに解消しておいたほうがいい。
とはいえ、ケンゴはまだ十歳だ。無理をする必要はない。
ケンゴは、棒きれを握りしめたまま、震えている。
これは……無理っぽいな。
「よし、無理はするな、オレがやろう。武器をよこせ」
オレがそう言うと、ケンゴは、ぐっと口を一文字に結んで、オレを睨む。
「やらせてくれ……!」
「ケンゴ?!」
叫んだのはアリサだった。
ああ、そうか、アリサはケンゴのことが好きだったな。
「よし、じゃあ任せる」
オレは一歩後ろに下がる。
ケンゴは棒きれを構え、両つま先を前にむける。
剣道の構えだ。
(ふむ……)
まだスキだらけだが、十歳の少年とは思えない安定した構えだ。
「いいか? ジャイアントタランチュラは雑魚だ。八つある目のうち、内側の四つのどれかに思いっきり打ち込め。目に直接当てなくとも、そのあたりに当たればダメージ判定されるから気軽に振れ。だが、当たりどころによっては即死しないからすぐに下がれ。当たりさえすれば即座に追撃はない。万一外しても所詮雑魚だ。仮にやられても死にはしない」
オレが言うことに一つ一つ頷きながら、ケンゴは前を睨む。
まだジャイアントタランチュラの姿は見えない。
「ケンゴ……」
アリサの不安そうな声。
そう心配してやるな。男にはプライドってもんがあるからな。
そして、ジャイアントタランチュラが姿を見せた。
「「ひっ」」
小さな悲鳴が聞こえる。
この程度で大げさな……とは言わない。
うちの親父も、台所でゴキブリを見ただけで悲鳴を上げるからな。
ジャイアントタランチュラの青い目が赤く光り始め、攻撃態勢にはいったのがわかる。
カシャカシャと威嚇音。
「ケンゴ、行け!」
おれが声をかけると、ケンゴは「ひっ」と変な呼吸音を出して、しかし動けなかった。
「どうした?」
もう一度声をかける。
返事はない。
これは……ダメか。
仕方なく、武器ナシでジャイアントタランチュラを倒すことを考えるが、その時後ろから大声が。
「ケンゴ! 行けぇ!」
アリサの声! 途端に、ケンゴの左足が地面を蹴る!
「っしゃぁああああああ!!!」
剣道特有の甲高い掛け声。と同時に、ジャイアントタランチュラもケンゴに飛びかかる!
まずい、と思ったが、ケンゴは慌ててはいなかった。
その目はしっかりと敵を見据え、
「んんんめぇえええーーーっんッツ!!!!」
パァン! と子君いい音。
ケンゴの振り下ろした枝は、ジャイアントタランチュラの頭部を粉砕した。
「やったか!」
思わずガッツポーズ。
地面に叩きつけられるジャイアントタランチュラ。即死だ。
と、ケンゴはそのままトットット……と敵の横を抜けて、向こうまで行って、クルリとこちらに向き直す。
完全に剣道の試合の動作だった。
思わず笑う。
「雑魚だと言ったろ、やりすぎだ」
言う間に、ジャイアントタランチュラが形を失う。
もちろんケンゴの勝利だ。
剣道の試合で、竹刀で激しく打ち合う経験を積んでいるのだ。
この程度の雑魚に負ける要素はない。
「「「「おおおおおおおーーーー!!!!」」」」
一斉に上がる歓声。
ケンゴはまだ構えたまま放心している。いや、残心、といったか。
アリサとカナは抱き合って飛び跳ねているし、コータは座り込んでガッツポーズだ。
おれは溶けて消え去ったジャイアントタランチュラのあとに残された魔石を拾う。
「ケンゴ!」
オレが声をかけると、ケンゴはハッと放心状態から復帰した。
「戦利品だ」
魔石を投げると
「うぉっとっとっと!?」
ケンゴは左手で枝を握りしめたまま、右手で魔石を受け取る。
「やったな」
そう言って笑ってやると、
「と、当然だ!」
ケンゴも笑い返してきた。
==========
今日はもう一話更新します。
ケイゴを引き倒すついでに、その手にある木の枝を奪う。
「ダイチ!?」
「下がってろ!」
そこに居たのはジャイアントタランチュラ、蜘蛛型のモンスターだ。
大きさは小型犬程度で動きもさほど素早くないが、毒にやられると麻痺して動けなくなる。
1対1でやられると生きたまま捕食されるが、複数人いれば全く怖くない敵だ。
しかし、雑魚とはいえ武器のない子供が倒せるほど弱いわけではない。
ここはオレが確実に狩って、恐れることはないと皆に教えてやったほうが良いだろう。
オレは正確に敵の目玉に枝を突き立て、思いっきり蹴っ飛ばす。
ヂギヂギと不快な音と立てて、ジャイアントタランチュラはあっという間に絶命する。
この間5秒程度。うん、やはり子供の手足だけにリーチが短いのがネックだ。
だが、ちょっと時間をかけすぎた。
恐怖ですくんでいる皆のほうを向いて「もう大丈夫だ」と告げる。
「な、なな、ななな」
腰を抜かしたままのケンゴが、意味不明の呟きを漏らす。
これはフォローが必要だな。
「なんだケンゴ、あんな雑魚にびびっててどうする。剣道の実力を見せるチャンスだったのに惜しいことをしたな?」
そう言って肩を竦めると、
「何なんだ、今の!?」
ケンゴが少し復活して、人語を発した。
『な』だけでは何が言いたいのかわからんからな。
「何って、ジャイアントタランチュラだろう。最弱のモンスターの一種だな」
言っている間にモンスターは形を失って崩れ落ちる。
まるで砂山を海が削るかのような光景だ。
オレはゆっくりと近寄って残った赤い魔石を拾い上げる。
「赤か。ラッキーだな」
そう言ってポケットに仕舞う。
そこにはジャイアントタランチュラがいた形跡は何もない。
魔法生物であるモンスターは死ぬとただの魔力に戻り、ダンジョンに還元される。
広場に戻ると、全員石化でもかけられたかのように固まっていた。
「おい、どうした?」
オレが声をかけると、全員「はーっ」と息を吐いて、
「い、今のは……?」
「さっきケンゴに説明しただろう、アリサ。ジャイアントタランチュラだ。慣れれば子供でも石をぶつけて倒せる程度の雑魚モンスターだ」
「……モンスター?」
コータも呆然としている。
「コータ。アリサやカナが驚くのはわかる。後ろから襲われかけたケンゴが腰を抜かしたのもまぁ分からないでもないが……なぜコータまで驚いているんだ?」
「だ、だって、モンスターなんて、本当にいるなんて思わないよ」
「何を言ってるんだ? ダンジョンにモンスターがいるのは当たり前だ。これまではエンカウントしなかったが……ダンジョンを探索するならモンスターとの遭遇を想定するのは当然だろう?」
オレがそう言うと、コータは、呆然としたままコクコクと頷く。
「ダイチくん、ここには他のモンスターもいるの?」
「……お前はあまり驚いていないな、カナ。一番冷静に見える」
「驚いてます。びっくりしすぎて体が動きません」
オレは笑って、肩にポンと手を置く。
すると、気が抜けたようにカナがヘナヘナと座り込む。
「他のモンスターがいるのかと言ったが、もちろんいる。ただ、ここの魔力量からして雑魚しか生息できないだろうから、まぁ気をつけていれば怪我する心配はない」
オレがそう言うと、
「「「「いやいやいや」」」」
ときれいにハモって全員からツッコまれた。
「ダイチ、モンスターなんて危ないのがいるなら、なんでダンジョンに入るのを止めなかったの?」
「何を言ってるんだ? ダンジョン探索をしたいと言ったのはおまえたちだろう。この階層では魔石も雑魚モンスターのものしか手に入らないし、ドロップにも期待はできないが……遊び場としては最適だろ」
「「「「いやいやいやいや」」」」
どうも、こいつらの言いたいことがわからん。
いや、それよりも……
「それより皆、ここから出よう。さっきカナが選んだ一番左の道は何かがおかしい。あそこだけ魔力が異様に高い。俺たちが足を踏み入れたことで何かのスイッチが入ったのかもしれん。先ほどの雑魚もその影響の可能性がある」
そう言うと、皆は慌てて立ち上がってあたりを見回す。
「そう心配しなくてもモンスターがいれば気配でわかる。今のところ近くには居ない。さあ進むぞ」
オレが先を促すと皆は慌てて付いてくる。
あの雑魚によほど驚いたのか、みな固まって、おそるおそる歩いている。
そのせいで、進みが遅い。
「おい」
オレは皆に発破をかける。
「モンスターがいればわかると言ってるだろう。ぐずぐず歩くとそれだけ遭遇率は上がるぞ?」
そう言うと、今度は慌てたように小走りになる。
「いや、そこまで急ぐ必要もない……ああ、もしかして足元が暗くて歩き辛いのか?」
仕方がない。手に入れたばかりの魔石だが、雑魚のだし構わないか。
「lumen(光あれ)」
魔石を消費して、灯りに変える。
くそ、石の質が悪くて、暗いな。
「何それ?!」
アリサが驚いて目を見張る。
「何って……松明代わりの魔法だが……」
「「「「魔法?!」」」」
皆の声がハモる。
一体何を驚いているんだ……?
何故か呆然とした顔の皆を連れて先を急ぐ。
と。
少し先に、さきほどと同じモンスターがいるのに気づく。
「止まれ。……いるぞ」
オレが言うと、全員が緊張するのがわかった。
「どうする?」
オレは、ケンゴに言う。
「ケンゴの腕なら簡単に倒せると思うが、オレがやったほうがいいか?」
ああいった「不意を食らって不覚を取った経験」は早めに解消しておいたほうがいい。
とはいえ、ケンゴはまだ十歳だ。無理をする必要はない。
ケンゴは、棒きれを握りしめたまま、震えている。
これは……無理っぽいな。
「よし、無理はするな、オレがやろう。武器をよこせ」
オレがそう言うと、ケンゴは、ぐっと口を一文字に結んで、オレを睨む。
「やらせてくれ……!」
「ケンゴ?!」
叫んだのはアリサだった。
ああ、そうか、アリサはケンゴのことが好きだったな。
「よし、じゃあ任せる」
オレは一歩後ろに下がる。
ケンゴは棒きれを構え、両つま先を前にむける。
剣道の構えだ。
(ふむ……)
まだスキだらけだが、十歳の少年とは思えない安定した構えだ。
「いいか? ジャイアントタランチュラは雑魚だ。八つある目のうち、内側の四つのどれかに思いっきり打ち込め。目に直接当てなくとも、そのあたりに当たればダメージ判定されるから気軽に振れ。だが、当たりどころによっては即死しないからすぐに下がれ。当たりさえすれば即座に追撃はない。万一外しても所詮雑魚だ。仮にやられても死にはしない」
オレが言うことに一つ一つ頷きながら、ケンゴは前を睨む。
まだジャイアントタランチュラの姿は見えない。
「ケンゴ……」
アリサの不安そうな声。
そう心配してやるな。男にはプライドってもんがあるからな。
そして、ジャイアントタランチュラが姿を見せた。
「「ひっ」」
小さな悲鳴が聞こえる。
この程度で大げさな……とは言わない。
うちの親父も、台所でゴキブリを見ただけで悲鳴を上げるからな。
ジャイアントタランチュラの青い目が赤く光り始め、攻撃態勢にはいったのがわかる。
カシャカシャと威嚇音。
「ケンゴ、行け!」
おれが声をかけると、ケンゴは「ひっ」と変な呼吸音を出して、しかし動けなかった。
「どうした?」
もう一度声をかける。
返事はない。
これは……ダメか。
仕方なく、武器ナシでジャイアントタランチュラを倒すことを考えるが、その時後ろから大声が。
「ケンゴ! 行けぇ!」
アリサの声! 途端に、ケンゴの左足が地面を蹴る!
「っしゃぁああああああ!!!」
剣道特有の甲高い掛け声。と同時に、ジャイアントタランチュラもケンゴに飛びかかる!
まずい、と思ったが、ケンゴは慌ててはいなかった。
その目はしっかりと敵を見据え、
「んんんめぇえええーーーっんッツ!!!!」
パァン! と子君いい音。
ケンゴの振り下ろした枝は、ジャイアントタランチュラの頭部を粉砕した。
「やったか!」
思わずガッツポーズ。
地面に叩きつけられるジャイアントタランチュラ。即死だ。
と、ケンゴはそのままトットット……と敵の横を抜けて、向こうまで行って、クルリとこちらに向き直す。
完全に剣道の試合の動作だった。
思わず笑う。
「雑魚だと言ったろ、やりすぎだ」
言う間に、ジャイアントタランチュラが形を失う。
もちろんケンゴの勝利だ。
剣道の試合で、竹刀で激しく打ち合う経験を積んでいるのだ。
この程度の雑魚に負ける要素はない。
「「「「おおおおおおおーーーー!!!!」」」」
一斉に上がる歓声。
ケンゴはまだ構えたまま放心している。いや、残心、といったか。
アリサとカナは抱き合って飛び跳ねているし、コータは座り込んでガッツポーズだ。
おれは溶けて消え去ったジャイアントタランチュラのあとに残された魔石を拾う。
「ケンゴ!」
オレが声をかけると、ケンゴはハッと放心状態から復帰した。
「戦利品だ」
魔石を投げると
「うぉっとっとっと!?」
ケンゴは左手で枝を握りしめたまま、右手で魔石を受け取る。
「やったな」
そう言って笑ってやると、
「と、当然だ!」
ケンゴも笑い返してきた。
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今日はもう一話更新します。
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