秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に

カイエ

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三章「遭遇」

#2

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 この日、ぼくたちは新しい道を見つけて探索していた。

 ほとんど一本道が続いて、そのうちに少し広い八差路に出る。
 いつかカナちゃんとアリサを連れて見つけた広場に近いけれど、今日見つけた広場には真ん中に噴水らしきものがあった。
 噴水は水が枯れていたが、ちょっといい雰囲気の場所だったので、ぼくたちはここで食事を兼ねて休憩することにした。

「はい、サンドイッチ持ってきたよ」

 アリサがカバンをゴソゴソやって、包を取り出す。
 洋食屋をやってるアリサの家では、たまに材料が余ってしまう事があるらしく、そんなときにはアリサが料理して持ってきてくれる。

「お、サンキュ、うまそ!」

 ケンゴが真っ先にてをだそうとして、コータがその手をぱちんと叩いた。

「先に頂きます、でしょ!」
「お、おぅ、すまねぇ。アリサ、頂くぜ」

 いつもやり取りをして、ケンゴがサンドイッチにかぶりつく。
 ぼくも一切れもらって、口に運ぶ。

「うわ旨っ!」

 思わずそんな言葉を口にする。
 薄切りのハムが大量に挟まっていて、本当に旨い。

「ホントだ、美味しいね!」

 カナちゃんも喜んでもくもくとサンドイッチを口に運ぶ。
 小動物のようでとてもかわいい。

「うちのパパ、いつも材料の仕入れに失敗すんのよ……今日の材料もそう」

 勿体無いったら……とアリサがブツブツ文句を言いつつ、自分もサンドイッチを食べる。
 みんなでサンドイッチを食べながら、周りを見回す。

「こんな噴水みたいなものもあるんだね」
「水はないけどな」
「どうにかしたら、水が現れたりしないかな」
「どうだろ」

 壁を見ると、照明のようなものもある。もちろん光ってはいないけど。
 天井を見ると、ちょっとしたドームのようになっていた。

「あっ」

 カナちゃんが小さく声を上げる。

「……星?」
「「「え?」」」

 みんな一斉に空を見上げる。

「ほら、星……なわけはないんだけど」

 カナちゃんがそう言って、facem(灯りよ) で生まれた光の玉に手をかざし、光を消す。
 辺りが一気に暗くなり、

「わぁ……」

 アリサが声を漏らす。

 空は、まるで満天の星空のようだった。
 ドームには、点々と光の粒。
 描かれたものには見えない。
 窓の外に広がる夜空のような、ごく自然な星明かりだった。

 うおお……と感嘆の声を上げるぼくたち。

「これも、魔術とやらで出来てるのかな」
「ダンジョンだぞ? 何のために?」
「わかんねぇけど、そもそもダンジョン自体が魔法でてきてんだろ?」
「そういえば、ダンジョンって何のために作られたのかな」
「目的がはっきりしないけど、見た目が綺麗でも、僕らを殺すためにあるってダイチが言ってたな」
「ますます、こんなに綺麗にする意味がわからないね」

 皆で上をむいて、しばらく見とれる。

 こうして見ると、とても洞窟の中だとは思えない。
 なぜか薄っすらと周りが見えるし、空はさらに明るく星空が広がっている。
 魔法というのは、すごいものなんだな……。

 どのくらいそうしていただろうか。
 突然コータが真剣な顔になり、「しっ!」ぼくたちに注意を促した。

「……コータ?」
「モンスターか?」

 アリサとケンゴが小声で様子を伺うも、

「静かにして……ううん、多分モンスターじゃない。とにかく、みんな、こっちへ……音を立てないで」

 そう言ってコータは立ち上がると、もと来た道へ忍び足で向かう。

 コータの索敵能力は信用できる。
 いつだって、隠れたところにいる敵を真っ先に見つけるのがコータだ。
 だから全員余計なことは言わず、静かにその後を追う。

「みんな壁に寄って。なるべく音を立てず、息も鼻じゃなく、口でして」
「わかった」

 皆、素直にコータの言うとおりにする。

「何も起きねぇぞ」

 聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でケンゴがコータに尋ねるも、コータは怒ったような顔で口に人差し指を持っていく。「黙れ」という意味だ。
 と、反対側の通路が、ぼんやりと明るくなった。

(この光は……「facem(灯りよ)」?)

 灯り魔法? このダンジョンで、僕たち以外の?

 モンスターは光を必要としない。
 つまり、この光は――。

 はたして光に少し遅れて、ガシャ、ガシャ、と規則的な音が聞こえてくる。

(足音……?)

 皆はコータに言われるまでもなく、必死に息を潜めている。
 今居る通路は暗い。
 魔法の星空の光が届かないので、こちらから噴水は見えるが、噴水側からこちらは見えないはずだ。

 足音はだんだんと大きくなる。
 おそらく二足歩行。
 たまに立ち止まるように音が止むが、またガシャ、ガシャと音がして、それはだんだん大きくなる。

 そして――光が現れ、続いて一人の男が姿を見せた。
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