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三章「遭遇」
#3
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((((……!))))
全員が緊張に身を固くする。
現れたのは、鎧を着た若い男だった。
年の頃は、二十代の半ばくらい。
暗いのではっきりはしないが、髪の毛の色は明るく、西洋的な顔立ちだ。
そして――腰には剣。
思わず息を呑む。
剣を下げてこんなところに一人でいるということは、きっと強いのだろう。
もし僕たちの存在に気づいて、戦いになったら。
(……勝てるか……?)
どう考えても、勝てる気はしなかった。
なにせ相手は大人だ。武器も僕たちが持っているような木刀や鉄パイプじゃない。
本物の剣だ。
男は、何かを探すようにキョロキョロと見回している。
(僕たちを探している……とか?)
もし見つかったらどうなるのだろうかと考えて、ブルリと震える。
モンスターと戦うことには慣れたけれど、人と戦うことなど考えたこともなかったのだ。
しかし。
(なんで「大人ダイチ」が出てこないんだよ……)
そうなのだ。いつも僕たちが危険に晒されたときは必ず「大人ダイチ」が現れた。
現れたというか、まぁぼくなんだけど……こういうときこそに出てきてくれないと!
(肝心なときに出てきてくれないんじゃ、意味がないじゃないか!)
……と、そこまで考えて、気づく。
(いつの間にか、ぼく自信が「大人ダイチ」に頼り切りになっている……?)
それは――何か不味い気がする。
そんなことを考えている間も、男はガシャガシャと歩き回り――この足音は、鎧が立てる音だったのだ――噴水に腰掛ける。
そして、ゴソゴソと腰に下げた袋から何かを取り出して、口に運んでモグモグと口を動かしている。
(食事してる……)
モンスターは食事をしない。というよりは、モンスターはダンジョンに迷い込んだ人間以外は食わない。
大人ダイチ曰く、ダンジョン内でモンスターにやられたりして斃れると、あっという間にモンスターに群がられて、数分で骨まで食われて跡形も残らないという。
つまり、この男は少なくともモンスターではないということだ。
人の形をしたモンスターも居ると聞く。
冗談みたいな話だけれど、人の骨だけのモンスターや、ゾンビみたいなのもいるんだそうだ。
しかし、目の前でのんきに(?)食事をする鎧の男は、少なくともモンスターではない。
(何者だろう)
そんなことを思いつつ、ぼくたちはとにかく気づかれないように息をひそめ続けるしかない。
ぼくたちの緊張をよそに、男は食事を続ける。
どうやらパンのようなものをかじっているようだ。
見た目で判断することはできないけれど、ごく普通の人間にしか見えない。
それも、横顔を見る限りは目付きが鋭いとかいうこともなく、どちらかというと人の良さそうな顔に見える。
もちろん、だからといって安心することなどできるわけがなかった。
人の良さそうな顔をして、僕たちを見つけたとたんに豹変して剣を抜くかもしれないのだ。
五分か、三十分か、それとも一時間か。
実際はそう長くない短い時間なのかもしれない。
でも、ぼくたちはじっとしていることに慣れていない。
とにかくとてつもなく長い時間じっとしているような、息苦しい時間だった。
しかしその苦痛な時間は、ようやく終わりを告げる。
男が食事を終えて立ち上がる。
そして「うん」と小さな声を出して背筋を伸ばし、もと来た道を戻っていった。
「facem(灯りよ)」の光がだんだんと遠ざかり、ガシャガシャいう足音も消えても、ぼくたちはしばらく動けなかった。
そのうちコータが「はーっ」と息を吐いて、ぼくたちはようやく危機が去ったことを知った。
全員が緊張に身を固くする。
現れたのは、鎧を着た若い男だった。
年の頃は、二十代の半ばくらい。
暗いのではっきりはしないが、髪の毛の色は明るく、西洋的な顔立ちだ。
そして――腰には剣。
思わず息を呑む。
剣を下げてこんなところに一人でいるということは、きっと強いのだろう。
もし僕たちの存在に気づいて、戦いになったら。
(……勝てるか……?)
どう考えても、勝てる気はしなかった。
なにせ相手は大人だ。武器も僕たちが持っているような木刀や鉄パイプじゃない。
本物の剣だ。
男は、何かを探すようにキョロキョロと見回している。
(僕たちを探している……とか?)
もし見つかったらどうなるのだろうかと考えて、ブルリと震える。
モンスターと戦うことには慣れたけれど、人と戦うことなど考えたこともなかったのだ。
しかし。
(なんで「大人ダイチ」が出てこないんだよ……)
そうなのだ。いつも僕たちが危険に晒されたときは必ず「大人ダイチ」が現れた。
現れたというか、まぁぼくなんだけど……こういうときこそに出てきてくれないと!
(肝心なときに出てきてくれないんじゃ、意味がないじゃないか!)
……と、そこまで考えて、気づく。
(いつの間にか、ぼく自信が「大人ダイチ」に頼り切りになっている……?)
それは――何か不味い気がする。
そんなことを考えている間も、男はガシャガシャと歩き回り――この足音は、鎧が立てる音だったのだ――噴水に腰掛ける。
そして、ゴソゴソと腰に下げた袋から何かを取り出して、口に運んでモグモグと口を動かしている。
(食事してる……)
モンスターは食事をしない。というよりは、モンスターはダンジョンに迷い込んだ人間以外は食わない。
大人ダイチ曰く、ダンジョン内でモンスターにやられたりして斃れると、あっという間にモンスターに群がられて、数分で骨まで食われて跡形も残らないという。
つまり、この男は少なくともモンスターではないということだ。
人の形をしたモンスターも居ると聞く。
冗談みたいな話だけれど、人の骨だけのモンスターや、ゾンビみたいなのもいるんだそうだ。
しかし、目の前でのんきに(?)食事をする鎧の男は、少なくともモンスターではない。
(何者だろう)
そんなことを思いつつ、ぼくたちはとにかく気づかれないように息をひそめ続けるしかない。
ぼくたちの緊張をよそに、男は食事を続ける。
どうやらパンのようなものをかじっているようだ。
見た目で判断することはできないけれど、ごく普通の人間にしか見えない。
それも、横顔を見る限りは目付きが鋭いとかいうこともなく、どちらかというと人の良さそうな顔に見える。
もちろん、だからといって安心することなどできるわけがなかった。
人の良さそうな顔をして、僕たちを見つけたとたんに豹変して剣を抜くかもしれないのだ。
五分か、三十分か、それとも一時間か。
実際はそう長くない短い時間なのかもしれない。
でも、ぼくたちはじっとしていることに慣れていない。
とにかくとてつもなく長い時間じっとしているような、息苦しい時間だった。
しかしその苦痛な時間は、ようやく終わりを告げる。
男が食事を終えて立ち上がる。
そして「うん」と小さな声を出して背筋を伸ばし、もと来た道を戻っていった。
「facem(灯りよ)」の光がだんだんと遠ざかり、ガシャガシャいう足音も消えても、ぼくたちはしばらく動けなかった。
そのうちコータが「はーっ」と息を吐いて、ぼくたちはようやく危機が去ったことを知った。
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