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三章「遭遇」
#14
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「ダイチ! 相手は格上だ! 殺すくらいのつもりで本気で行け!」
オレが声をかけるとダイチは「ヒュッ」と変な息を吐き、カインは「怖いな」と言って笑う。
「でも、そこの彼の言うとおりだ。私は無手でいい。モンスターを倒すつもりで、本気でかかってくるといい」
そう言って、構えることもなく、ただ「突っ立って」ダイチに笑いかけるカイン。
ふふふ、カインめ、度肝抜かれるなよ?
「あの、本当に大丈夫ですか? 一応防御用に剣を構えるとか……」
「残念ながら、守るべき対象であるキミに対して、抜く剣は持っていない。それよりもケンゴくん。手を抜かずに本気で来るんだ」
「いいんですね?」
「ああ。万一私がやられたとしても治癒魔術がある。どのみち心配はいらない」
いたずらっぽいウィンク。
「……分かりました」
ダイチが木刀を正眼に構える。
シン、と空気が変わるのを感じ取ってか、カインが「おっ」と小さい声を上げる。
ケンゴは何度か木刀を軽く動かし、カインを睨み……「ヒュッ」と息を吐いて、右足で地面を蹴り……、ピタ、と止まった。
「どうした?」
カインが不思議そうに首をかしげる。
ケンゴはフッと肩の力を抜いて、剣先を下ろす。
「駄目だわ、これ」
「ん? 駄目? 駄目とは?」
「カインさん、突っ立ってるだけなのに、スキがなさすぎ。どこに打ち込んでもやり返されるしかないのがわかる」
「……光栄だね。でも、もし私がモンスターだったとしたらどうする?」
「……打ち込みます」
「じゃあ、かかってきなさい。私は「モンスターを倒すつもりでかかってこい」と言ったはずだ」
それとも、怖くてできないか?と挑発するようにカインが手をクイと動かす。
「……分かりました」
そう言って、ケンゴがもう一度木刀を構える。
ピン、と空気が張り詰める。
「――ほう」
カインが関心した表情を見せた。
「……行きます」
「キミは、モンスターにもいちいち断りを入れて斬りかかるのかい?」
カインの挑発を無視して、ケンゴは冷静に相手を見据える。
「……スーーーー…」
ケンゴの緊張が高まるのがわかる。
対して、カインは相変わらず突っ立っているだけ。
「ダイチ……アレって本当にスキがないの? あたしにはただ単に突っ立ってるだけに見えるんだけど……」
「突っ立ってるだけだからな」
「ケンゴは『スキがない』って言ってたけど」
「カイン……あの騎士は、完全にスキだらけの状態からでも、いきなりの攻撃に余裕を持って応戦できるだけの実力がある。ケンゴはそれを感じ取っているんだろう」
「……あたしじゃわからない領域の話なのね」
アリサがため息を付く。
そんなことを話していると、
「ッリャァアアアアアアアアアアッッッッッッッツ!!!」
ケンゴが気合を入れ、右足から爆発的な加速を産み、
「ンッ面ェエエエエエエエーーーーーーン!!!!」
鍛え上げた体に、毎日欠かさず振り続けた竹刀の切れ味。
加えて、それなりのモンスターを斃して手に入れた位階による力。
「おっ?!」
驚いたように目を見開くカインに、木刀が振り降ろされる!
それは地球であれば、よほどの剣の達人でもなければ避けようもない鋭い剣閃。
しかして。
(まぁ相手は王国騎士だしな)
木刀の切っ先がカインの額を捉えたと見えたが、その瞬間カインの姿が掻き消え、
「ちょっ……!? 子供だと思って侮ったな……! 驚いたよ」
焦り混じりの苦笑で、カインがケンゴの後ろから、木刀をつかんでいた。
オレが声をかけるとダイチは「ヒュッ」と変な息を吐き、カインは「怖いな」と言って笑う。
「でも、そこの彼の言うとおりだ。私は無手でいい。モンスターを倒すつもりで、本気でかかってくるといい」
そう言って、構えることもなく、ただ「突っ立って」ダイチに笑いかけるカイン。
ふふふ、カインめ、度肝抜かれるなよ?
「あの、本当に大丈夫ですか? 一応防御用に剣を構えるとか……」
「残念ながら、守るべき対象であるキミに対して、抜く剣は持っていない。それよりもケンゴくん。手を抜かずに本気で来るんだ」
「いいんですね?」
「ああ。万一私がやられたとしても治癒魔術がある。どのみち心配はいらない」
いたずらっぽいウィンク。
「……分かりました」
ダイチが木刀を正眼に構える。
シン、と空気が変わるのを感じ取ってか、カインが「おっ」と小さい声を上げる。
ケンゴは何度か木刀を軽く動かし、カインを睨み……「ヒュッ」と息を吐いて、右足で地面を蹴り……、ピタ、と止まった。
「どうした?」
カインが不思議そうに首をかしげる。
ケンゴはフッと肩の力を抜いて、剣先を下ろす。
「駄目だわ、これ」
「ん? 駄目? 駄目とは?」
「カインさん、突っ立ってるだけなのに、スキがなさすぎ。どこに打ち込んでもやり返されるしかないのがわかる」
「……光栄だね。でも、もし私がモンスターだったとしたらどうする?」
「……打ち込みます」
「じゃあ、かかってきなさい。私は「モンスターを倒すつもりでかかってこい」と言ったはずだ」
それとも、怖くてできないか?と挑発するようにカインが手をクイと動かす。
「……分かりました」
そう言って、ケンゴがもう一度木刀を構える。
ピン、と空気が張り詰める。
「――ほう」
カインが関心した表情を見せた。
「……行きます」
「キミは、モンスターにもいちいち断りを入れて斬りかかるのかい?」
カインの挑発を無視して、ケンゴは冷静に相手を見据える。
「……スーーーー…」
ケンゴの緊張が高まるのがわかる。
対して、カインは相変わらず突っ立っているだけ。
「ダイチ……アレって本当にスキがないの? あたしにはただ単に突っ立ってるだけに見えるんだけど……」
「突っ立ってるだけだからな」
「ケンゴは『スキがない』って言ってたけど」
「カイン……あの騎士は、完全にスキだらけの状態からでも、いきなりの攻撃に余裕を持って応戦できるだけの実力がある。ケンゴはそれを感じ取っているんだろう」
「……あたしじゃわからない領域の話なのね」
アリサがため息を付く。
そんなことを話していると、
「ッリャァアアアアアアアアアアッッッッッッッツ!!!」
ケンゴが気合を入れ、右足から爆発的な加速を産み、
「ンッ面ェエエエエエエエーーーーーーン!!!!」
鍛え上げた体に、毎日欠かさず振り続けた竹刀の切れ味。
加えて、それなりのモンスターを斃して手に入れた位階による力。
「おっ?!」
驚いたように目を見開くカインに、木刀が振り降ろされる!
それは地球であれば、よほどの剣の達人でもなければ避けようもない鋭い剣閃。
しかして。
(まぁ相手は王国騎士だしな)
木刀の切っ先がカインの額を捉えたと見えたが、その瞬間カインの姿が掻き消え、
「ちょっ……!? 子供だと思って侮ったな……! 驚いたよ」
焦り混じりの苦笑で、カインがケンゴの後ろから、木刀をつかんでいた。
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