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25話 お前がいい
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「で?お前ら二人は一体何をしてるんだ。俺は今回、お前たちまでお仕置きに参加しろなんて言ってないと思うけど。」
口元は笑っているのに、氷のように冷たい視線が西村さんと東山さんを貫く。
南原さん怒ってる、のかな...。機嫌が悪そうだ。でも、なんで?
「えー?だって、いつもお仕置きしてるのは、目つきが悪くて暴言を吐きまくるような不良くん達ばっかりなのに、今日はこんなに可愛らしい子が捕まってたんだもん。」
しかし、少しも慌てる様子がなく、ふてくされたように答える西村さん。
「それで自分のやるべき仕事も終わらせず遊んでいたのか。」
「別にいいじゃん。どうせこの子も泣かせるつもりだったんでしょ?仕事はこれからやるし。」
言いながら立ち上がって俺から離れていく西村さん。東山さんもそれに続く。
やっと離れてくれた...。俺は少しだけホッとして脱力した。
「...だが今後、あまり勝手なことはするな。でなければ次はお前達がお仕置きを受けることになる。」
「チッえらそーに...。」
「あ?東山、なにか言ったか?」
「...いや何も。」
あ、そうか。南原さんは自分が逆らわれて勝手なことをされるのが嫌だっただけで、俺のために怒ってくれてたわけじゃない。
分かってはいたけど、俺はまだピンチであることに変わりはないのだと思い知らされる。
「坂北くん。」
「っ!!!はっ...はぃ...。」
突然呼ばれて肩が跳ねた。
「この二人は生徒会の三役でね。西村は生徒会副会長、東山は書記。二人は俺と同じく生徒会の仕事や、校則違反した奴をお仕置きしたりしてる。俺の下僕のようなものだ。だから無関係って訳ではない。」
「ちょ、下僕って酷くない?そこは、仲間とか同志とか言って欲しかったなー。」
「しかし、今日のことは俺の監督不行き届きだ。すまなかったね。」
西村さんを無視して俺に語りかけられる言葉たち。
すまなかった、その謝罪の言葉には、一切の感情がこもっていないように感じる。この人の心は冷たい。
「ククッ...それにしても、汚い顔してるな。涙やら汗やらでぐちゃぐちゃだ。二人にされるのは、そんなに嫌だったのか?」
...嫌だったに決まってる。南原さんなんかに助けを求めてしまうほどに、とてつもなく怖かった。いや、今だって怖い。まだ縛られたままだ。俺は、なにも言わず目をそらして俯いた。
「まぁそりゃそうか。昨日もあれだけ怖がっていたしな。」
吸い込まれそうな瞳に見つめられて寒気がする。もういいかげん解放して欲しい。
その時、爆弾のようなセリフが投下された。
「こいつはお前がいいんだってさ。南原。」
「...は?」
「...っえ...?」
東山さんの一言に、南原さんは驚いたのか少しだけ目を開く。俺もそんな事を言われるなんて思ってなくて、東山さんの方に顔を向けた。
西村さんの楽しそうな笑い声だけが、生徒会室に響いている。
口元は笑っているのに、氷のように冷たい視線が西村さんと東山さんを貫く。
南原さん怒ってる、のかな...。機嫌が悪そうだ。でも、なんで?
「えー?だって、いつもお仕置きしてるのは、目つきが悪くて暴言を吐きまくるような不良くん達ばっかりなのに、今日はこんなに可愛らしい子が捕まってたんだもん。」
しかし、少しも慌てる様子がなく、ふてくされたように答える西村さん。
「それで自分のやるべき仕事も終わらせず遊んでいたのか。」
「別にいいじゃん。どうせこの子も泣かせるつもりだったんでしょ?仕事はこれからやるし。」
言いながら立ち上がって俺から離れていく西村さん。東山さんもそれに続く。
やっと離れてくれた...。俺は少しだけホッとして脱力した。
「...だが今後、あまり勝手なことはするな。でなければ次はお前達がお仕置きを受けることになる。」
「チッえらそーに...。」
「あ?東山、なにか言ったか?」
「...いや何も。」
あ、そうか。南原さんは自分が逆らわれて勝手なことをされるのが嫌だっただけで、俺のために怒ってくれてたわけじゃない。
分かってはいたけど、俺はまだピンチであることに変わりはないのだと思い知らされる。
「坂北くん。」
「っ!!!はっ...はぃ...。」
突然呼ばれて肩が跳ねた。
「この二人は生徒会の三役でね。西村は生徒会副会長、東山は書記。二人は俺と同じく生徒会の仕事や、校則違反した奴をお仕置きしたりしてる。俺の下僕のようなものだ。だから無関係って訳ではない。」
「ちょ、下僕って酷くない?そこは、仲間とか同志とか言って欲しかったなー。」
「しかし、今日のことは俺の監督不行き届きだ。すまなかったね。」
西村さんを無視して俺に語りかけられる言葉たち。
すまなかった、その謝罪の言葉には、一切の感情がこもっていないように感じる。この人の心は冷たい。
「ククッ...それにしても、汚い顔してるな。涙やら汗やらでぐちゃぐちゃだ。二人にされるのは、そんなに嫌だったのか?」
...嫌だったに決まってる。南原さんなんかに助けを求めてしまうほどに、とてつもなく怖かった。いや、今だって怖い。まだ縛られたままだ。俺は、なにも言わず目をそらして俯いた。
「まぁそりゃそうか。昨日もあれだけ怖がっていたしな。」
吸い込まれそうな瞳に見つめられて寒気がする。もういいかげん解放して欲しい。
その時、爆弾のようなセリフが投下された。
「こいつはお前がいいんだってさ。南原。」
「...は?」
「...っえ...?」
東山さんの一言に、南原さんは驚いたのか少しだけ目を開く。俺もそんな事を言われるなんて思ってなくて、東山さんの方に顔を向けた。
西村さんの楽しそうな笑い声だけが、生徒会室に響いている。
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