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158話 隠し事 24
しおりを挟む「南原さんが、好き、だから...」
「......は? 」
言葉にした途端、体がカタカタと震えた。
緊張、羞恥、それとも恐怖?
きっと全部だ。
でももう、後には引けない。
「ぐすっ...ひっ...南原さんが好きだから、側にいたいし、ふぇっ...今日のこともっ...俺の気持ちを知ってる西村さん達がっ...俺と南原さんの仲を進展させるために協力っ...してっ...」
ばかだ俺。
あんなに必死に耐えて、隠し通そうとしていたことを、「もう関わるな」と言われただけで、あっさり打ち明けてしまうなんて。
「うぅ...南原さんは、もう俺のことなんて飽きたかもしれないけれど、俺は、俺はっ...! 」
「協力...なるほど、そういうことか。それならお前が最近妙に俺に話しかけて来たのも頷ける。だが...」
「え...わっ...!? 」
うつむいて涙を流していると、不意に強い力で肩を掴まれ、強引にベッドへ押し倒される。
あまりに突然で、あっけにとられていると、南原さんが俺の腹に馬乗りになってきた。
「あの...南原さん? 」
「俺のことが好きだと? ふざけるな。そんなもの、お前の勘違いに決まっている。お前は俺の本性を知らないんだからな。」
「え...」
「どうせ、俺に玩具にされるうちに、少し情がうつった程度のものだろう。そんな中途半端な感情さっさと捨てて、彼女でも作ればいいよ。もう俺には関わるな。」
なんで、なんでそんなこと言うの?
「や、やだ、俺、ほんとうに、南原さんが...。本性とか、よく分からないけど、俺が知らないことがあるなら知りたいですし、そのためにも、もっと一緒にいたいです!」
「へぇー? 知りたい、ね。だったら教えてやるよ、俺の本性。」
「っ...?」
瞳の奥に、吸い込まれそうな闇を映した南原さん。その口元は、怖いほどに綺麗な弧を描いているが、笑顔と呼ぶにはあまりにも真っ黒な雰囲気を醸し出す表情だった。
「もう二度と俺に近づこうなんて思えないぐらい、酷く抱いてやる。」
「ひっ...!」
伸びてきた手が乱暴に俺の顎を捕らえ、上から噛みつくようなキスが落とされる。
鬼畜生徒会長全開の南原さんは怖いけど、俺に触れる手がいつになく冷たくて、少し心許ないような、そんな気がした。
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