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209話 期末テスト 5
しおりを挟む翌日の放課後。
昨夜、南原さんにめちゃくちゃにされて、まだ少し体が怠かったけど、約束どおり高橋と勉強会を開いた。
俺が一人暮らしをしているアパートで、テーブルを挟んで向かい合い、絨毯の上に座って勉強道具を一式ひろげる。
高橋が持ってきてくれたおかしと、俺が出したジュースもテーブルの上に置いた。
「頼むぜ坂北。お前だけが頼りだ。」
「うん、俺もできるだけ協力するよ。」
不安そうな高橋に、ニコリと微笑み返す。
俺が辛かったとき、高橋が心配して色々世話を焼いてくれたみたいに、俺もできることはやってあげたい。
でも、その前に確かめておかなくちゃならないことがある。勝負の内容だ。
それが分からないまま闇雲に協力するわけにはいかない。
「ところで高橋、なんで東山さんと勝負なんてすることになったの? 」
「っ...!? ゲホッ、は、はぁ!? おまっ、なんでそれっ...! 」
高橋に遠回しなやり取りは不要。そう思った俺はいきなり直球で聞くと、高橋は飲んでいたジュースで分かりやすくむせてしまった。
「南原さんに聞いた。話してくれないと協力できないよ。」
意地悪で言ってるんじゃなくて、わけも分からず協力なんて、いくらただのテスト勉強だっていっても、できない。
俺の気持ち、高橋なら分かってくれるはずだ。
「っ...くそ。そうだよな...。」
高橋は、くしゃりと顔をしかめながらも、渋々事情を話し始めた。
* * * * * * * * *
《高橋 直輝side》
「あー、うぜぇ!! ついてくんな東山! 」
数日前、遊園地へ行ってきてから、東山のうっとおしさに拍車がかかっていた。
下校中の今も、俺にくっついて離れない東山にイライラしている。
「好きな子を家まで送ってやるのは当然だろ? 」
「っ...! 意味わかんねぇっ! 」
そもそも俺は、今日直帰するつもりじゃなかった。坂北は最近、南原と帰ってしまうから、宮野達を誘ってどっか遊びに行くつもりだったのに。東山が現れた途端、みんなビビって逃げるから、帰るしかなくなったのだ。
今日だけじゃない。そんなことが何度も重なれば、もう我慢の限界だ。
「いい加減、つきまとうのやめろ! 迷惑なんだよ! 」
気がつくと俺は、そういい放っていた。
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