当たり能力1個より、ハズレ能力10個の方が良いに決まってる

俺には丁度いい

３２話 旅

妙な夢を見てから一週間後
遂に妹と旅行に向かう
楽しみで昨日はあまり眠れなかった
遠足目前の小学生さながら
準備をしている時間も楽しかった
授業は数日間休む事になるが、これも俺宛のプレゼント
命懸けで人を助けたんだ
少しぐらい休暇が欲しかった
ちなみに、肩の方はほぼ完治した
最新を通り越した医療で、穴は塞がり骨も繋がる
つくづく当たりは凄いと思う
俺にそんな能力があったら、重すぎるリスクを恐れ使えなかっただろう
当たりに頼った、、のは仕方ない
温泉に浸かれないのは嫌だ
遊んで過ごす日も大切
精一杯遊んでこようと思う
妹もなんだかんだ疲れているだろう
能力が与えられてから数ヶ月
女性全般は変化に戸惑い、男に引きずられてきた
この頃では地位も回復しているらしいが
まあとにかく、この旅行は普通にしたい
前と同じように、温泉に入って遊園地で遊んで
のんびり過ごすんだ、、
妹に手を引かれ家を出る
絶対楽しい日になるはずだ
そう、信じていたのだが、、、




駅で電車に乗りこみ、数時間揺られて到着した
電車内での出来事？
事件が起こったが、それ以外は普通だ
その話はまた後日する事にしようか
ちなみに、俺は全く活躍していない
皆を救ったのは1人の少年だった



とにかく無事に到着した
和風の外装に、落ち着いた家具の数々
妹も俺も、騒がしいのは苦手だ
なので、今回泊まるのはこの旅館にした
落ち着いていて、泊まるには最適だ
それでいて隣には大きな遊園地がある
名前も知られた大型テーマパークだ
2日目3日目はそこで遊ぶ
初日は時間も体力もすっかり奪われた
少し勿体ない気もするが、今日は寝よう
ホテルのチェックインを済ませ、部屋まで案内してもらう
木のような造形の広い廊下
綺麗に管理されている事がよく伝わってきた
ここからでも檜のいい匂いがした
和風とは安らぎをくれる代表者だ

「こちらになります。保護者の方は、こちらをお持ちになって下さい」

鍵を渡された
部屋の鍵もカードキーではない
普通の形状の鍵だ
木にくっついているタイプの
それでもどことなく清潔感を感じた
ここでなら、静かに過ごせそうだ、、、