チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第二章~国持ち大名~

焦りと発展8

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「神威様はわしら領民のことを家族だと仰って下さいます。こんな御領主様今まで見たことがありません。」

「俺達はこの人のためなら命だって惜しくはありません。皆喜んで死んでいくでしょう。」

そんな領民達の声に6人は一言も発することが出来ないでいた。

「こらこら、命を粗末にしてはいけないよ?皆がいるからこそ俺達武士は旨い飯が食えるんだ。みんなにはこれからも幸せに暮らしてもらわないとここを任せてくれている家康様に会わせる顔がなくなるじゃないかー。」

刹那は抱っこして子を下ろすと6人に近寄って、

「私にとって領民達は搾取する者でも組従えるものでもありません。同じ国で暮らす家族のようなものです。私は徳川のこれからを担う皆さんにこれだけはどうしても伝えたい。領民を疎かにするような者に良き国は作れない。いざと言うときに手足となって動いてくれるのは家臣だけではない、領民達です。それをわかってもらうために皆さんには寺子屋で領民に読み書きを教えるようにと命を出しました。」

刹那がそこまで言うと守綱がその場に座り頭を下げた。

「刹那様、そのような意図があるとも露知らず不満ばかりを申しまして誠に申し訳ありませんでした。やはり刹那様は殿が信頼を置くのも当然なお方にございました。」

「守綱殿、頭をおあげください。皆が見ておりますよ。」

「いえ、そのようなこと小さきことにございます。今は刹那様のことを軽んじた発言をしていたことをどうしても謝りたく。」

それを見ていた元忠はあれほどまでに武人として誇りを持っていた守綱が領民の前で土下座をしているのを見てここまで人の心を動かす刹那に尊敬の念を更に深めるのであった。

この一件から5人は領民のことを第一に考えるようになり、領民からの支持も高まった。
そして昌幸も刹那を尊敬し出来る限りのいろんなことを学ぼうと教えをこうことが増えたのである。

刹那はたびたび6人を連れて領内を見て回り改革が進んでいることを確認して回った。

「やはり、自分の目で見て回るのが一番理解できていいな。」

「殿、それもよろしゅうございますが、こんな少人数で鳥羽城まで来て。左近殿が帰ってきて知られたら怒られますぞ?」

「まぁ、そう言うな嘉隆。久々に海を見たくなったのだ。それに神威水軍の視察に来たと言えば左近もそう怒らないさ。うちは山賊や海賊も出ないように見回りをさせているんだから。」

「まぁ、そうでございますな。」

そう、刹那は霧山御所から鳥羽城までやってきて今船に乗っていた。

幼い貞昌は「すごいです。」と興奮しっぱなしであった。
昌幸もまた神威水軍の大きな船に驚いていた。

「徳川はこれほどの水軍を持っているのですか。これだけの水軍があれば敵などいないのでは。」

「いや、まだこれで俺は満足していないよ。」

「殿はこれ以上に水軍をどのようにするおつもりなのですか?」

「今の神威水軍は小早と関船、安宅船で構成されているが、毛利の傘下にある村上水軍にはまだまだ劣るだろう。それは数だけでなく、船頭の力量などもあちらが格段と上なんだ。それでは困る。だから更に強い水軍を作ることにした。だからこそ神威水軍の棟梁である嘉隆に鳥羽城を与えたんだ。」

「刹那殿はこれよりも水軍を強くにはどうすれば良いとお考えなのですか?」

昌幸と刹那の会話を聞いていた元忠が素朴な疑問として聞いてきた。

「それはですね、元忠殿。鉄板で固めた船を造るんですよ。」

「刹那様、それは不可能ではないでしょうか。」

「康政はどうしてそのように思うんだい?」

「木は水に浮かびますが、鉄は沈みます。木でできた船でも鉄を多く使えばそれは沈むしかありません。」

「まぁ、普通に考えればそうだろうね。しかし、それができるとしたらどうだろう?」

「それができるのであれば火にも強く敵の焙烙にも恐れることがなくなり強いと思います。」

「そんな船が造れるんだよ。浮力の計算をきちんとすればね。」

そこから刹那は浮力など、鉄甲船を作るために必要な知識を教えていった。
6人は静かに話を聞いてその知識を吸収していた。
そして話が終わると

「刹那様は内政、軍略だけにとどまらず水軍のことに関しても優れていらっしゃるのですね。」

「様々なことを知っていれば何かの役に立つ。知らなければ知っている者に教えをこう。それが自分より身分が低い者だろうとね。」

刹那の凄まじい知識や人柄に6人は惚れ込み、元忠と昌幸を除いた4人はそれから刹那を師匠と呼ぶようになり、刹那は静かに「忠勝のほかにも弟子が増えてしまったな。」と笑うのであった。
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