32 / 157
第二章~国持ち大名~
珍客到来
しおりを挟む
刹那がいつものように政務に取り組んでいると大和と伊勢と繋ぐ街道の整備をしているはずの直親が霧山御所にやってきた。
「あっ、義兄上はおられるかっ。」
「ん?直親殿か。ここにおりますよ。」
「義兄上、一大事にございます。お時間よろしいでしょうか。」
直親の真面目な顔に緊急な用だと悟った刹那は左近を呼び、政務を任せた。
「街道拡張で何か問題でも起きましたか?」
「いっ、いえ、そちらは長安殿の元滞りなく進んでおります。」
「そうですか。あの慌てようでしたから何か起きたのかと思いましたよ。」
刹那の緊迫した表情が少し和らいだ。
しかし、直親の表情は変わらずであった。
「実は義兄上にあっていただきたい方々がおるのです。」
「わかりました。直親殿がそこまで言うのであればお会いしましょう。どこに行けばいいですか?」
「別室に待機していただいておりますので。お呼びしてもよろしいでしょうか。」
「お願いします。」
刹那がそう言うと直親は部屋から出て行った。
少しすると直親は二人の男を連れて戻ってきた。
「義兄上、この方々が義兄上にお会いしたいと来られた方です。」
直親がそう言うと二人は頭を下げて挨拶を始めた。
「お初にお目にかかります。某、雑賀衆の長を務めております。鈴木重秀と申します。普段は雑賀孫市の名で傭兵を営んでおります。」
「わしは伊賀の忍びの長を務める百地丹波と申す。こたび我らは神威刹那殿にお話があって参りました。」
二人の自己紹介に刹那は言葉を飲んだ。
「まっ、誠に雑賀孫市殿と百地丹波殿なのですか。」
刹那の反応に不思議に思いながらも二人は頷いた。
「しっ、失礼しました。あまりに有名なお二人がいらっしゃったので驚いてしまいました。」
刹那がそう言うと納得しているような顔の孫市と首を傾げる丹波。
「ひとつお伺いしてもよろしいだろうか。」
「はい。なんでしょうか?」
「孫市殿は傭兵として名が知られているが、わしの名を知るもの少ないはず。なぜにご存知なのか。」
「それはわたしが忍びも大きな戦力であると認識しているからでしょう。日本において忍びと言えば伊賀、甲賀は別格のほど有名です。それに主を持たず忍びを生業としているのはそう多くはありませんから。」
「わしらのことをそれほど高く買ってくださっているとは噂通りの人物なのかもしれんな。」
「噂ですか?」
「いや、わしらのことだ、お気になさらず。」
「して、お二人がわざわざこちらに来られたのは何用でしょうか。しかもお二人揃って。」
刹那がそう言うと孫市が話を切り出した。
「我ら雑賀衆と伊賀忍者は織田に支配されるのを良しとはできませぬ。しかし、我らが刃向かおうと潰されるだけでしょう。そこで某と丹波殿で話し合い、解決策を見つけました。」
「神威殿、わしらをあなたの傘下に加えてはもらえないだろうか。」
「えっ。」
刹那はあまりの驚きに言葉が出なかった。
刹那が固まっていると直親が
「私も義兄上は徳川家の家臣だからと散々申したのですが、お二人がどうしてもと譲らないので義兄上にご判断をあおごうかとお連れしたのです。」
「丹波殿、孫市殿。どうしてその結論に至ったか教えていただけませんか。」
「ふむ。我らが傭兵を行っているのはご存知だと思います。そのため各地からさまざまな大名の情勢が入ってきます。それだけではなく今回は伊賀の忍び達も我らと情報交換を行いました。そこで織田に支配されることなく、穏便に済むためには徳川につくのが間違いないと相成りました。」
「そのためわしらが率先して徳川のことを調べました。その中で三河の小大名であった徳川がいかにして三河、遠江、駿河、伊勢、志摩、そして大和を治める大名になったのかを特に。するとその中で出てきた人物こそが徳川にこの人ありと噂されるほどの神威刹那殿であった。」
「そこで、雑賀衆と伊賀の忍が頼るべきなのは神威殿ではないかと話し合い、密かに神威殿の身辺を調べることにしました。」
「上忍を使い気取られることなく調べれば情報の精密さは間違いない。神威殿の治世や徳川での発言力などを総合的に判断し、あなたに仕えるのが一番と判断致しました。」
「どうか某達を配下に加えてはいただけないでしょうか。」
そう言うと二人は頭を下げた。
刹那は少し考えた後
「私の一存では決められません。なのでお二人にはお手間ではありますが私と共に浜松まで行っていただきたい。」
刹那がそう言うと二人は「はっ。」と返事をするのであった。
それから刹那は政務を直盛に任せると浜松へと向かった。
「あっ、義兄上はおられるかっ。」
「ん?直親殿か。ここにおりますよ。」
「義兄上、一大事にございます。お時間よろしいでしょうか。」
直親の真面目な顔に緊急な用だと悟った刹那は左近を呼び、政務を任せた。
「街道拡張で何か問題でも起きましたか?」
「いっ、いえ、そちらは長安殿の元滞りなく進んでおります。」
「そうですか。あの慌てようでしたから何か起きたのかと思いましたよ。」
刹那の緊迫した表情が少し和らいだ。
しかし、直親の表情は変わらずであった。
「実は義兄上にあっていただきたい方々がおるのです。」
「わかりました。直親殿がそこまで言うのであればお会いしましょう。どこに行けばいいですか?」
「別室に待機していただいておりますので。お呼びしてもよろしいでしょうか。」
「お願いします。」
刹那がそう言うと直親は部屋から出て行った。
少しすると直親は二人の男を連れて戻ってきた。
「義兄上、この方々が義兄上にお会いしたいと来られた方です。」
直親がそう言うと二人は頭を下げて挨拶を始めた。
「お初にお目にかかります。某、雑賀衆の長を務めております。鈴木重秀と申します。普段は雑賀孫市の名で傭兵を営んでおります。」
「わしは伊賀の忍びの長を務める百地丹波と申す。こたび我らは神威刹那殿にお話があって参りました。」
二人の自己紹介に刹那は言葉を飲んだ。
「まっ、誠に雑賀孫市殿と百地丹波殿なのですか。」
刹那の反応に不思議に思いながらも二人は頷いた。
「しっ、失礼しました。あまりに有名なお二人がいらっしゃったので驚いてしまいました。」
刹那がそう言うと納得しているような顔の孫市と首を傾げる丹波。
「ひとつお伺いしてもよろしいだろうか。」
「はい。なんでしょうか?」
「孫市殿は傭兵として名が知られているが、わしの名を知るもの少ないはず。なぜにご存知なのか。」
「それはわたしが忍びも大きな戦力であると認識しているからでしょう。日本において忍びと言えば伊賀、甲賀は別格のほど有名です。それに主を持たず忍びを生業としているのはそう多くはありませんから。」
「わしらのことをそれほど高く買ってくださっているとは噂通りの人物なのかもしれんな。」
「噂ですか?」
「いや、わしらのことだ、お気になさらず。」
「して、お二人がわざわざこちらに来られたのは何用でしょうか。しかもお二人揃って。」
刹那がそう言うと孫市が話を切り出した。
「我ら雑賀衆と伊賀忍者は織田に支配されるのを良しとはできませぬ。しかし、我らが刃向かおうと潰されるだけでしょう。そこで某と丹波殿で話し合い、解決策を見つけました。」
「神威殿、わしらをあなたの傘下に加えてはもらえないだろうか。」
「えっ。」
刹那はあまりの驚きに言葉が出なかった。
刹那が固まっていると直親が
「私も義兄上は徳川家の家臣だからと散々申したのですが、お二人がどうしてもと譲らないので義兄上にご判断をあおごうかとお連れしたのです。」
「丹波殿、孫市殿。どうしてその結論に至ったか教えていただけませんか。」
「ふむ。我らが傭兵を行っているのはご存知だと思います。そのため各地からさまざまな大名の情勢が入ってきます。それだけではなく今回は伊賀の忍び達も我らと情報交換を行いました。そこで織田に支配されることなく、穏便に済むためには徳川につくのが間違いないと相成りました。」
「そのためわしらが率先して徳川のことを調べました。その中で三河の小大名であった徳川がいかにして三河、遠江、駿河、伊勢、志摩、そして大和を治める大名になったのかを特に。するとその中で出てきた人物こそが徳川にこの人ありと噂されるほどの神威刹那殿であった。」
「そこで、雑賀衆と伊賀の忍が頼るべきなのは神威殿ではないかと話し合い、密かに神威殿の身辺を調べることにしました。」
「上忍を使い気取られることなく調べれば情報の精密さは間違いない。神威殿の治世や徳川での発言力などを総合的に判断し、あなたに仕えるのが一番と判断致しました。」
「どうか某達を配下に加えてはいただけないでしょうか。」
そう言うと二人は頭を下げた。
刹那は少し考えた後
「私の一存では決められません。なのでお二人にはお手間ではありますが私と共に浜松まで行っていただきたい。」
刹那がそう言うと二人は「はっ。」と返事をするのであった。
それから刹那は政務を直盛に任せると浜松へと向かった。
10
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる