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第三章~筆頭家老としての行動 関東編~
関東遠征2
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「確かに北に謙信がいるかぎり我らも大軍を率いて上野の侵攻をすることは出来なかった。氏康が黙っているわけがないからな。」
「しかし、徳川がその本隊を相手している間であれば我らも少ない兵のみで上野を手に入れることができ、守りの兵を置いたままであるために上杉からの攻撃を危惧する必要もなし。」
「ふっふっふっ。刹那はやはり敵にしてはならんやつだ。若いのによく頭が切れる。幸隆の息子も刹那の元で大きくなることだろう。」
「はい。そう願っております。」
それからほどなくして武田本陣に伝令が届き、信玄は沼田城と厩橋城が落城したことを知るのであった。
互いの戦況は忍を介して伝えられ、徳川と武田の合力はバランスよく行われていた。
見事な連携に焦ったのはその両家を同時に相手しなければならない北条氏康であった。
「徳川だけでも手一杯だと言うのに武田まで兵を進めてくるとは計算外であったわ。しかも武田は上杉への備えも本国に残している様子これでは上杉に援軍を頼んだとて戦況は変わらんではないか。」
「父上、いかが致しましょう。小田原は徳川に奪われ、玉縄、三崎にも兵を進めているとか。それに武田が沼田、厩橋を落としたそうにございますし。」
「今は武田の動きはどうでも良い。信玄も馬鹿ではない。あの兵力でこちらまで更に兵を進めることはないはずだ。問題は徳川だ。なんだあの兵の強さは、それにあの鉄砲の数は。やつらはどれだけあれを集めている言うのだ。」
そう、普通であれば武田は上杉の動きに気を配る必要があるために思うように兵を動かすことは出来ない。それは徳川もわかっていたことである。
しかし、この戦は徳川と武田の連合軍だからこそ周りに与えるイメージがでかいことを刹那は良く把握きていた。
そのために刹那は自分が育てた兵を留守居役として海津城に駐屯させていた。
武田が上杉のことを気にすることなく多くの兵を動かせるように。
しかし、それは極秘に行われたために北条も上杉もその動きを知らなかった。
そのため、氏康は兵を徳川のほうへ集中させ北からの侵攻に対する備えを減らしていた。
武田が上野を押さえたことを知った家康は義堯に命じて下総を攻めさせた。
それに合わせ徳川軍は玉縄城と三崎城への攻撃を本格的に進めたのである。
この動きに氏康は焦りだした。
「玉縄、三崎だけでなく里見が下総を攻め始めただとっ。」
「はっ。ただ今そのように知らせが参りました。また上野のほうでも進軍の動きありと知らせが入って来ております。」
「まさか、これ以上に武田が動くことがあると言うのかっ。信玄は気でも狂ったのか、今これ以上に兵を進めたところで無駄な動きではないかっ。」
「殿、いかが致しましょう。」
「急ぎ上杉に援軍を頼むのだ。そして佐竹に使者を送れ。共に関東の害悪を討ち滅ぼそうとな。」
「はっ。」
氏康は同盟国の上杉への援軍要請、また敵であるはずの佐竹に対しても同盟を持ちかけなければならないほど焦っていた。
氏康の要請を承諾した上杉はすぐに武田へと兵を向けた。
氏康から援軍の使者が来ることがわかっていた謙信は既に軍をまとめており知らせの翌日には出陣した。
川中島付近まで上杉軍であったが、謙信はそこで驚くべき光景を目にすることになった。
それは、一直線上に並べられた高さ3mはあろうかという馬防柵であった。
「なんだあれは。」
謙信が一言そうつぶやくのも無理はない。馬防柵の前には深さが1.8mほどの空堀が掘られていたのである。
「殿の命通りに10尺の馬防柵と6尺の空堀を合わせて馬でも人でも容易には攻めれぬ守りを固めた陣構えだ。さすがの上杉でもこれほどの備えは見たことがあるまい。」
そう言いながらにやりとする左近。
「最初に話を聞いた時は殿はなにをおっしゃっているのかと思いましたが、殿はこれを予期していたのですね。」
「昌幸殿も殿の元で様々なことを学び更に良き武将になられよ。」
「さぁて、そろそろ上杉勢も攻めてくる頃であろう。皆、恐れることはない。普段通りの動きを心がけよ。」
「「「「「はっ。」」」」」
一方攻めての上杉勢では謙信が攻めるか様子を見るか悩んでいた。
「なにやら不気味だ。しかし、ここで止まっていては北条の要請に応えたことにはならん。」
「お館様、この景家に先陣をご命じくださりませ。敵の備えなど、切り崩して見せまする。」
「ふむ、あいわかった。景家に任せる。だが、無理はするな。様子を見ることに注視しろ。」
謙信から出陣の許可を得た景家は手勢を率いて左近が待ち構える神威勢に攻めかかった。
「伝令、上杉勢、こちらに向かってくる模様です。」
「ほら来たぞ。皆、私の指示を待てっ。」
「しかし、徳川がその本隊を相手している間であれば我らも少ない兵のみで上野を手に入れることができ、守りの兵を置いたままであるために上杉からの攻撃を危惧する必要もなし。」
「ふっふっふっ。刹那はやはり敵にしてはならんやつだ。若いのによく頭が切れる。幸隆の息子も刹那の元で大きくなることだろう。」
「はい。そう願っております。」
それからほどなくして武田本陣に伝令が届き、信玄は沼田城と厩橋城が落城したことを知るのであった。
互いの戦況は忍を介して伝えられ、徳川と武田の合力はバランスよく行われていた。
見事な連携に焦ったのはその両家を同時に相手しなければならない北条氏康であった。
「徳川だけでも手一杯だと言うのに武田まで兵を進めてくるとは計算外であったわ。しかも武田は上杉への備えも本国に残している様子これでは上杉に援軍を頼んだとて戦況は変わらんではないか。」
「父上、いかが致しましょう。小田原は徳川に奪われ、玉縄、三崎にも兵を進めているとか。それに武田が沼田、厩橋を落としたそうにございますし。」
「今は武田の動きはどうでも良い。信玄も馬鹿ではない。あの兵力でこちらまで更に兵を進めることはないはずだ。問題は徳川だ。なんだあの兵の強さは、それにあの鉄砲の数は。やつらはどれだけあれを集めている言うのだ。」
そう、普通であれば武田は上杉の動きに気を配る必要があるために思うように兵を動かすことは出来ない。それは徳川もわかっていたことである。
しかし、この戦は徳川と武田の連合軍だからこそ周りに与えるイメージがでかいことを刹那は良く把握きていた。
そのために刹那は自分が育てた兵を留守居役として海津城に駐屯させていた。
武田が上杉のことを気にすることなく多くの兵を動かせるように。
しかし、それは極秘に行われたために北条も上杉もその動きを知らなかった。
そのため、氏康は兵を徳川のほうへ集中させ北からの侵攻に対する備えを減らしていた。
武田が上野を押さえたことを知った家康は義堯に命じて下総を攻めさせた。
それに合わせ徳川軍は玉縄城と三崎城への攻撃を本格的に進めたのである。
この動きに氏康は焦りだした。
「玉縄、三崎だけでなく里見が下総を攻め始めただとっ。」
「はっ。ただ今そのように知らせが参りました。また上野のほうでも進軍の動きありと知らせが入って来ております。」
「まさか、これ以上に武田が動くことがあると言うのかっ。信玄は気でも狂ったのか、今これ以上に兵を進めたところで無駄な動きではないかっ。」
「殿、いかが致しましょう。」
「急ぎ上杉に援軍を頼むのだ。そして佐竹に使者を送れ。共に関東の害悪を討ち滅ぼそうとな。」
「はっ。」
氏康は同盟国の上杉への援軍要請、また敵であるはずの佐竹に対しても同盟を持ちかけなければならないほど焦っていた。
氏康の要請を承諾した上杉はすぐに武田へと兵を向けた。
氏康から援軍の使者が来ることがわかっていた謙信は既に軍をまとめており知らせの翌日には出陣した。
川中島付近まで上杉軍であったが、謙信はそこで驚くべき光景を目にすることになった。
それは、一直線上に並べられた高さ3mはあろうかという馬防柵であった。
「なんだあれは。」
謙信が一言そうつぶやくのも無理はない。馬防柵の前には深さが1.8mほどの空堀が掘られていたのである。
「殿の命通りに10尺の馬防柵と6尺の空堀を合わせて馬でも人でも容易には攻めれぬ守りを固めた陣構えだ。さすがの上杉でもこれほどの備えは見たことがあるまい。」
そう言いながらにやりとする左近。
「最初に話を聞いた時は殿はなにをおっしゃっているのかと思いましたが、殿はこれを予期していたのですね。」
「昌幸殿も殿の元で様々なことを学び更に良き武将になられよ。」
「さぁて、そろそろ上杉勢も攻めてくる頃であろう。皆、恐れることはない。普段通りの動きを心がけよ。」
「「「「「はっ。」」」」」
一方攻めての上杉勢では謙信が攻めるか様子を見るか悩んでいた。
「なにやら不気味だ。しかし、ここで止まっていては北条の要請に応えたことにはならん。」
「お館様、この景家に先陣をご命じくださりませ。敵の備えなど、切り崩して見せまする。」
「ふむ、あいわかった。景家に任せる。だが、無理はするな。様子を見ることに注視しろ。」
謙信から出陣の許可を得た景家は手勢を率いて左近が待ち構える神威勢に攻めかかった。
「伝令、上杉勢、こちらに向かってくる模様です。」
「ほら来たぞ。皆、私の指示を待てっ。」
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