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第四章~内務~

妊娠、そして結婚へ4

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「普段から刹那は織田の動きを警戒していたからな。縁戚になるのを嫌うと思っていたぞ。」

「私が織田を警戒しているのは徳川にとって不利な状況にならないためです。力関係に差が出来れば織田は徳川を従属しているように扱う可能性がありますゆえ。」

「ではそのために領土を広げることを刹那は行うようにしてきたのか?」

「はい。まぁ、殿が関東遠征をおっしゃるとは計算しておりませんでしたが。」

刹那はそう言いながら笑った。

「今回の縁組は信長殿が殿を恐れたためと考えることもできます。それだけ敵にはしまくなかったのでしょう。」

「それを見越して今回の縁組に反対をしなかったと言うことか。」

「そうゆうことにございます。」

それから数ヶ月後に徳川信康の元に織田徳が嫁入りし、織田家と徳川家は縁戚関係になった。

刹那はその間に領内で更なる改革を進め、養鶏、養豚などの畜産産業を行ったり、医療体制を更に強化して領民も気軽に使える国営の病院を建設するなど行った。
その効果もあり神威が治める領内では赤子の死亡率が格段と下がり、子供がすくすくと育つ国へと変わった。

これは子供の死亡率が高かった戦国時代では大変珍しいことだったが、刹那はイギリスの「揺りかごから墓場まで」を見習った政策を行っていたために「徳川家の神威様の元で暮らせば裕福で安全な生活ができる」と噂がたち他国から移民が詰め寄せた。
当時のイギリスで問題になった資金問題は徳川家が潤沢に得ている資金をあてる形にする他にほかの戦国大名より低くしてあった年貢を少しだけ値上げして領民への負担を願い出る形を取った。
当初、年貢を上げることに反対が起きるのではないかと懸念があったが、元々の年貢が低かったことと、上げる理由が領民自身のためになると刹那をはじめとする武将達が自領で説いて回ったために領民からはむしろ支持を得ることができた。

自領での成功を元に刹那は家康に進言し政策の範囲を徳川領内に広めた。

また、徳川傘下の大名家にもその知識は広められ、徳川への忠誠、刹那への尊敬の念は更に増していくのであった。

刹那は忙しい合間にも頼まれれば関東へも遠征し、内政の助言を行った。

刹那が自領にいない間は一門の直盛と直親が代行を務めたりもした。
そのかいもあり徳川が治める領内では飢えで苦しむ者などいないと言われるほど裕福になった。

刹那が忙しい日々を迎えていると伊勢に久々に信玄と幸隆が訪れた。

「これはこれは信玄公、幸隆殿お久しぶりにございます。」

「刹那殿、あの時の約束を果たしに来たぞ。」

そう信玄が笑みを浮かべながら言った。

「はぁ?約束とは?」

「ほれ、直虎が元服した折に言った嫁探しの件じゃ。」

「あぁ。あの件にございましたか。良き姫を見つけて下さったのですか?」

「うむ。刹那殿聞いて驚かれるな。お館様の六女、松姫様を直虎殿の嫁にと。」

それを聞いた刹那もさすがに驚いた。家中からと言う話だったので、重臣の娘ぐらいだと考えていたのである 。

「そっ、それは誠に光栄なことではございますが。そうなれば殿にお伺いを立てなければなりませぬ。徳川と武田が縁戚関係になることを示すものになりますゆえ。」

「そこは既にわしから家康殿に話を通しておる。家康殿おおいに賛成してくれたぞ。」

信玄は自慢気にそう言った。

「さっ、左様でございましたか。」

「それにな、刹那殿は政略結婚は望まぬと聞いたからな。直虎殿と松姫様が話をできるようにお館様が松姫様を連れてきて下さっておるぞ。」

準備万端で伊勢にやってきた二人を見て刹那は軽く呆れるのであった。

刹那はその場に直虎を呼ぶと事情を話し、松姫と会ってみるように進めた。

直虎は松姫に会うことを承諾し、急遽直虎と松姫のお見合いが執り行われることになったのである。

「こたびは遠いところをよくお出でくださった。神威刹那が嫡男、神威直虎と申します。」

「お初にお目にかかります。武田信玄が娘、松にございます。」

松姫はそう言いながら頭を上げて直虎の顔を見て。
その瞬間に松姫は顔を赤らめ視線をすぐに反らしてしまった。

それを見た直虎は何か気にくわないことでもしてしまったのかと少し落ち込むが、松姫が直虎の格好良い顔を見て照れただけだと言うのを女性経験のない直虎には理解することなどできるはずもなかった。

それから二人は他愛もない話をして親睦を深めた。
別室でずっと信玄達の相手をしていた刹那の元に二人がやってきたのはそれから2時間ほどしてからのことで、その日は信玄達は霧山御所にそのまま泊まることになった。

その夜、刹那は直虎を呼び、松姫について思うところを聞くことにした。

「直虎、松姫と話をして見てどう思った?素直に答えてよい。もし合わぬのであればそれで良い。私は政略結婚をお前にさせるつもりはないからな。」

「父上。私は松姫を良いと思いました。今日、少しの時間ではありましたが、二人で様々なことを話、可愛らしい素敵な姫だと思いました。できればもっと話をしてみたいとも。」

「そうか。では松姫を嫁にしたいと思ったと言うことだな?」

「そこまでは正直申せばよくわかりませぬ。ですが、あのように女子と話して落ち着いた気持ちになれたのは母上とお話をしている時だけでございます。」
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