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第五章~近畿大波乱~
織田包囲網始動6
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武田の旧領に関しては甲斐には武田勝頼が入り、信濃に鳥居元忠が移り、上野は大久保忠佐が入った。
また、今回の武田攻めで徳川家に加わった武田四天王はそのまま勝頼の傘下に加えられ、原昌胤は本人の希望で海玄のいる神威家の家臣になることになった。
また、家康は徳川家の嫡男で妻に織田家の姫を持つ信康に駿河の地を治めさせることにし、補佐に傅役である平岩親吉と重臣の石川数正をつけた。
また、黒川金山を直轄地にしそこから金の製造を始めた。
「殿、これからのことにございますが。」
「あぁ、上杉に攻め入るかここに一度とどまるかと言うことであろう?」
「はい。現在上杉家は織田包囲網に参加をしているものの実質的には織田に敵対するそぶりを見せてはおりません。その状態の時に我らが攻めるのは大義名分を上杉に与えることになります。」
「だが、このままにらみ合いというわけにも行くまい。我らは順調に武田を降したが、織田は本願寺、毛利、浅井、朝倉を相手にしてどこも苦戦を強いられているようだ。また三好も今は戦を起こしておらんがよからぬ噂もあるとのことだ。手をこまねいている暇はないぞ。」
「はい。それは重々承知致しております。しかし、我らも上杉に睨みを効かせながら西に援軍を送ることはできません。上杉だけでなく、東にはまだ、伊達や蘆名と言った力を持つ大名家がおりますゆえ。」
「ではどうする。なにか良い案はないか?」
「試してみたい策はございますが、うまくいく保証がございません。」
「その策とはなんだ。言ってみるだけ言ってみよ。」
家康も今織田家と言う同盟国を失うわけにはいかないのでどんな策でもいいからと聞いてみることにした。
「私が上杉の本拠、春日山城に行き謙信と会ってきます。」
それを聞いた家康は
「刹那、おまえ正気かっ!!」
と激怒した。
「おまえは徳川家の筆頭家老と言う自覚があるのか!!今の徳川にとって神威刹那という存在がどれだけ大切な存在なのか。おまえはわかっているのか!!自ら敵の本拠に行くなど、もしものことがあればおまえに預けている五ヵ国はどうなると思うのだ。それに北条、佐竹、里見、武田、筒井。これがわしの力ではなく刹那、おまえの力に恐れ徳川に降ったのもわしがわからないとでも思っているのか!!」
「殿のお怒りも重々承知しておりますっ。しかし、このまま手をこまねいていては織田は滅びましょう。私の予想ではこの状況が後半年、続いてしまえば毛利が攻勢に転じ京までの道を切り開き、その勢いに乗じ、浅井、朝倉、三好が織田の要所を落としにかかります。そうなれば織田家は持ちません。それに、今の当家にとって織田家がなくなるのは西の防波堤がなくなるが如し、警戒を強めねばならなくなる箇所が全体に渡り、殿の天下統一が危ぶまれます。」
「だが、なにもおまえが行かなくてもよいではないか。ほかの者に任せ刹那はこちらで状況を見守れば良いではないか。」
「殿、私の名が使える時なのでございます。徳川家の筆頭家老が行くからこそ、上杉も話を聞く気にもなりましょう。ほかの誰でもいけないのです。それは殿なら本当はお分かりのはず。」
刹那の言っていることを本当は理解している家康は言葉が出てこない。
「殿、私が殿を天下人にするとお話したのを覚えておいでですか?」
「あぁ、もちろんだ。」
「私はそれを叶えるまでけして殿のお側を離れません。どうか、私を信じてはもらえませんか。」
「刹那。必ず戻ってきてくれるか?」
そう言う家康の顔は初めて出会った時の幼さが久々に見えた。
「必ず。」
刹那はそれに微笑みながらそう返すのであった。
それなら家のことを直虎たち若手に任せると刹那は海玄、そして志願してきた雑賀孫市を引き連れて三人で春日山城に向かった。
家康が先に面会を望む書状を謙信に送っていたためすんなりと越後に入ることができた。
越後に入ると国境に迎えの者が来ていた。
「お初にお目にかかります。上杉家家臣、直江兼続にございます。」
「おぉ、あなたが直江兼続殿ですか。私は徳川家家臣、神威刹那です。」
「あなたがあの神威殿ですか。まさか徳川家の筆頭家老殿がご使者とは驚きました。」
「当家でも上杉家とのことは大きなことと考えておりますので私が参りました。」
「ではここから春日山城までは我らがお連れ致します。」
兼続に案内をしてもらった刹那たちは今春日山城の大広間で平伏して謙信が来るのを待っていた。
謙信が現れ上座に座った。
「面を上げられよ。」
「お初にお目にかかります。徳川家家臣、神威刹那と申します。」
「上杉家当主、上杉謙信と申す。まさか筆頭家老殿が来られたと兼続から聞いて驚いたが、この度はどのような用かな?我らは今敵対しているはずだが。」
「本日は謙信公の今回の織田包囲網の参加についてどのようなお考えがあるのかを伺うために参りました。」
「ほう、考えを聞くためと。」
「はい。誠に包囲網に参加するつもりであれば当家が武田を攻めた時点で武田に援軍を送るはず。または越前方面へ兵を進め浅井朝倉と共闘し安土を目指すものだと考えます。しかし上杉家はどちらもなさらず越後に留まっている。これは謙信公になにか考えがあるのではと思いまして。」
また、今回の武田攻めで徳川家に加わった武田四天王はそのまま勝頼の傘下に加えられ、原昌胤は本人の希望で海玄のいる神威家の家臣になることになった。
また、家康は徳川家の嫡男で妻に織田家の姫を持つ信康に駿河の地を治めさせることにし、補佐に傅役である平岩親吉と重臣の石川数正をつけた。
また、黒川金山を直轄地にしそこから金の製造を始めた。
「殿、これからのことにございますが。」
「あぁ、上杉に攻め入るかここに一度とどまるかと言うことであろう?」
「はい。現在上杉家は織田包囲網に参加をしているものの実質的には織田に敵対するそぶりを見せてはおりません。その状態の時に我らが攻めるのは大義名分を上杉に与えることになります。」
「だが、このままにらみ合いというわけにも行くまい。我らは順調に武田を降したが、織田は本願寺、毛利、浅井、朝倉を相手にしてどこも苦戦を強いられているようだ。また三好も今は戦を起こしておらんがよからぬ噂もあるとのことだ。手をこまねいている暇はないぞ。」
「はい。それは重々承知致しております。しかし、我らも上杉に睨みを効かせながら西に援軍を送ることはできません。上杉だけでなく、東にはまだ、伊達や蘆名と言った力を持つ大名家がおりますゆえ。」
「ではどうする。なにか良い案はないか?」
「試してみたい策はございますが、うまくいく保証がございません。」
「その策とはなんだ。言ってみるだけ言ってみよ。」
家康も今織田家と言う同盟国を失うわけにはいかないのでどんな策でもいいからと聞いてみることにした。
「私が上杉の本拠、春日山城に行き謙信と会ってきます。」
それを聞いた家康は
「刹那、おまえ正気かっ!!」
と激怒した。
「おまえは徳川家の筆頭家老と言う自覚があるのか!!今の徳川にとって神威刹那という存在がどれだけ大切な存在なのか。おまえはわかっているのか!!自ら敵の本拠に行くなど、もしものことがあればおまえに預けている五ヵ国はどうなると思うのだ。それに北条、佐竹、里見、武田、筒井。これがわしの力ではなく刹那、おまえの力に恐れ徳川に降ったのもわしがわからないとでも思っているのか!!」
「殿のお怒りも重々承知しておりますっ。しかし、このまま手をこまねいていては織田は滅びましょう。私の予想ではこの状況が後半年、続いてしまえば毛利が攻勢に転じ京までの道を切り開き、その勢いに乗じ、浅井、朝倉、三好が織田の要所を落としにかかります。そうなれば織田家は持ちません。それに、今の当家にとって織田家がなくなるのは西の防波堤がなくなるが如し、警戒を強めねばならなくなる箇所が全体に渡り、殿の天下統一が危ぶまれます。」
「だが、なにもおまえが行かなくてもよいではないか。ほかの者に任せ刹那はこちらで状況を見守れば良いではないか。」
「殿、私の名が使える時なのでございます。徳川家の筆頭家老が行くからこそ、上杉も話を聞く気にもなりましょう。ほかの誰でもいけないのです。それは殿なら本当はお分かりのはず。」
刹那の言っていることを本当は理解している家康は言葉が出てこない。
「殿、私が殿を天下人にするとお話したのを覚えておいでですか?」
「あぁ、もちろんだ。」
「私はそれを叶えるまでけして殿のお側を離れません。どうか、私を信じてはもらえませんか。」
「刹那。必ず戻ってきてくれるか?」
そう言う家康の顔は初めて出会った時の幼さが久々に見えた。
「必ず。」
刹那はそれに微笑みながらそう返すのであった。
それなら家のことを直虎たち若手に任せると刹那は海玄、そして志願してきた雑賀孫市を引き連れて三人で春日山城に向かった。
家康が先に面会を望む書状を謙信に送っていたためすんなりと越後に入ることができた。
越後に入ると国境に迎えの者が来ていた。
「お初にお目にかかります。上杉家家臣、直江兼続にございます。」
「おぉ、あなたが直江兼続殿ですか。私は徳川家家臣、神威刹那です。」
「あなたがあの神威殿ですか。まさか徳川家の筆頭家老殿がご使者とは驚きました。」
「当家でも上杉家とのことは大きなことと考えておりますので私が参りました。」
「ではここから春日山城までは我らがお連れ致します。」
兼続に案内をしてもらった刹那たちは今春日山城の大広間で平伏して謙信が来るのを待っていた。
謙信が現れ上座に座った。
「面を上げられよ。」
「お初にお目にかかります。徳川家家臣、神威刹那と申します。」
「上杉家当主、上杉謙信と申す。まさか筆頭家老殿が来られたと兼続から聞いて驚いたが、この度はどのような用かな?我らは今敵対しているはずだが。」
「本日は謙信公の今回の織田包囲網の参加についてどのようなお考えがあるのかを伺うために参りました。」
「ほう、考えを聞くためと。」
「はい。誠に包囲網に参加するつもりであれば当家が武田を攻めた時点で武田に援軍を送るはず。または越前方面へ兵を進め浅井朝倉と共闘し安土を目指すものだと考えます。しかし上杉家はどちらもなさらず越後に留まっている。これは謙信公になにか考えがあるのではと思いまして。」
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