チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第五章~近畿大波乱~

織田包囲網始動8

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「信玄、そして孫市、この二人が口を揃えてこう言うのですから神威殿が民思いの方であるのはよくわかりました。しかし、信長のことはまた別の話。徳川がその味方であると言うならば敵対するしかありませんな。」

謙信は毅然とした態度でそう言い放った。

「謙信公の言われることは最もだと思います。しかし、これだけはお伝えしたい。私が望むのは民が平和で笑顔で暮らせるような世を作ること。今私が織田家側にいるのは殿がそう決めたからです。しかし、もしも織田家が民のことを蔑ろにするような情報が私の耳に入れば私は殿を説き伏せ織田との縁を切らせる覚悟です。」

「それが主を裏切る行為だとしてもか。」

「その時に殿に恨まれようとも私は殿に民のことを第一に考えられる天下人になってほしいと思っています。そのためならば私は悪役にでも喜んでなります。」

そう言っている刹那の目をじっと見ていた謙信

「今申した言葉に嘘偽りはないようですね。目がそう訴えている。」

「はい。嘘を言っているつもりはありません。しかし、我が主がそのような愚かなことをしないと信じているからこそそう言えます。」

「ふっ。良いでしょう。私は信長を好きにはなれません。相容れない存在でしょう。しかし、刹那殿、あなたは信用に値する人物だと思います。よってあなたを信じ上杉家は動かないでいることを約束しましょう。」

「ありがとうございます。」

「しかし、それには条件があります。今から私が言う条件をすべて飲んでいただいたら上杉は織田を攻めることをせず、徳川とも敵対しないと言うことにします。」

「はい。殿より上杉家との交渉事に関しての全権を任されておりますのでご安心を。」

「では。まず一つ。徳川家は上杉家と同盟を結んでいただきたい。不戦協定ではなく、有事の際には援軍を出し合うような軍事同盟をです。二つ、当家の直江兼続を神威殿の元に置き様々なことを学ばさせていただきたい。そして三つ、刹那殿、あなたは私の友となっていただきたい。この三つの条件を飲んでいただけるのであれば上杉家は動かないことを約束しましょう。刹那殿、いかがかな?」

謙信が条件を出すと言った時からどのような最悪な条件を出されるか覚悟をしながら聞いていた刹那は謙信の出した条件を聞いて驚くのだった。

あまりにも簡単な事ばかりであると。

「けっ、謙信公。その条件、お戯れなどではないのですよね?」

「ええ。上杉家当主として真面目に出したつもりです。」

「軍事同盟を結ぶことはわかります。しかし、重臣である直江兼続殿を私の元に置くと言うこと。そして謙信公と私が友になると言う条件。さすがに耳を疑いました。」

「確かに重臣である兼続を手放すように思えることですから驚かれるとは思いました。しかし、それは兼続に今以上の広い世界を見せることで成長してくれると思うからこそです。兼続には私の次に上杉家を導く景勝の補佐としてしっかりしてもらわねばなりませんから。名君と噂される刹那殿の元に置くのは後々は当家のためになることです。」

「しかし、友になると言うのはどうゆうことでしょうか?」

「それは。そのほうが私も色々と面白いと思ったからです。」

謙信はそう言いながら笑った。

「面白い・・・ですか?」

「ええ、信玄が仕えようと思えるほどの人物がつまらないわけがない。そう確信したからこそ私はあなたと友となり、様々なことを語りたいと思いました。上杉家当主、徳川家筆頭家老としてではなく、一人の友としてあなたを見てみたい。そう思ったまでのことですよ。それで、私の出した条件を徳川家は飲んでくださいますかな?」

刹那は少し間を置いてからゆっくりと応えた。

「すべての条件。徳川家は承諾致します。よって、徳川家と上杉家は同盟を結ぶことを徳川家当主徳川家康にかわり神威刹那がお答えいたします。」

こうして上杉家と徳川家は同盟を結ぶことになり、徳川家は越後への警戒をする必要がなくなり、兵を動かすことが可能となったのである。
また、直江兼続が神威家の元に来ることになり、左近にしごかれることに決まった。
そしてなぜだか、興味をもたれた刹那は謙信と友人となったのである。

上杉家とのことを無事に済ませた刹那が家康の元に戻り事の次第を伝えて大笑いされたのは言うまでもない。

家康はひとしきり笑い終えると当主の顔に戻り、軍をまとめ甲斐から浜松へと戻ることにした。

「皆、今回の武田攻めご苦労であった。一度自領に戻り兵たちに休みを与えるが良い。しかし、いつまた兵を動かさねばならぬかわからん状態にあることに変わりはないだろう。何かあればすぐにまた出陣できるようにと兵たちを統率しておくように致せ。」

家康のこの一言を聞いた家臣たちはすべて自領へと戻ったが、自領に戻っても平時のようにのんびりとした状況に戻る中にもすぐに招集に答えられるような心構えだけはなくさずにいた。
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