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第五章~近畿大波乱~
織田包囲網始動9
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霧山御所に戻った刹那は半蔵を呼んだ。
「半蔵、頼んでいたことは調べられたか。」
「はい。殿が甲斐遠征中の織田軍の各地の戦況を配下の者を使い事細かに調べさせました。」
「では、一つずつ教えてくれ。」
「はっ。まず、三好の残党についてですが、どうやら裏で長宗我部とのつながりがあるようです。四国で磐石な地盤を築いた長宗我部と敵対することは最早無意味と感じた三好の残党は逆に結託し、支援を求めたそうです。長宗我部もそれにのり三好に織田を倒すようにけしかけ物資などを送っている様子。」
「して、細かな戦況は?」
「織田軍の総大将は次男織田信雄殿で、補佐に丹羽長秀殿を置いており、当初は阿波へと攻め込んでいたのですが、地の利を活かした戦いをする三好軍相手に敗戦を繰り返し、今は逆に淡路を取られました。」
「なに、それでは和泉に攻め寄せるのも時間の問題ではないか。そうなれば摂津の本願寺と協力して更に厄介なことになるぞ!!」
「その可能性は高いと思われます。丹羽殿が今それをさせないために本願寺を包囲している嫡男信忠殿と連携を図っております。」
「そうか。で、三好は紀伊に手を出してきたか?」
「はい。少数ではありましたが、何度か兵を向けてきましたが、牽制だけで戦は起こっておりません。」
「そうか、それなら良い。どうせ我らが攻めてこないか気にしておるのだろう。」
「そして本願寺ですが、信忠殿が滝川一益殿に命じ包囲を行っており、小競り合いは数多くあれば大きな戦闘はなく膠着状態が続いております。どうやら兵糧攻めを行うつもりのようです。」
「本願寺相手に兵糧攻めをしたところであそこは蓄えも多ければ、海上に面しており瀬戸内海を使って毛利あたりが兵糧を運んでくるだろう。」
「その毛利にございますが、羽柴秀吉殿が総大将となり、播磨を境に宇喜多勢と対峙しております。戦況は膠着しており、今すぐに崩れることはないかと。」
「羽柴殿は計算高い者だ。何かしら策がなければ無謀なことはせんであろう。しかし、播磨か。別所家あたりが注意しておかねばならんな。三木城が毛利方につけば羽柴勢は孤立する。」
「丹波は明智光秀殿が総大将となり、波多野家と戦を行っております。こちらは織田家が有利にことを進めてはおりますが、まだ平定はではいたっておりません。」
「波多野家は当主こそ有能ではないが、家臣に赤井直正、籾井教業がいる。ともに丹波の赤鬼と青鬼として恐れられる武将だ。いくら明智殿でも平定するには骨が折れるぞ。」
「最後に浅井、朝倉には信長殿本人が当たられておりますが、ほかのところに兵を割いている分十分な兵力を有しておらず戦況を変えることができぬ状況でございます。」
「それに浅井家にはお市の方様がおる。信長殿が溺愛しておられる妹君だ。それもあって攻勢に出づらいのであろう。」
「織田家の各地の戦況はこのような状況になっております。」
「よく調べてくれた。礼を言う。」
「いえ、お役に立てたのであれば何よりにございます。」
「また、どこかで動きがあれば知らせてくれ。」
「はっ。」
半蔵はそう一言応えると音もなく姿を消した。
半蔵がいなくなり一人になった刹那は半蔵からの情報を頭の中で一度整理してからこれからのことについて考え始めた。
「織田家にとって厄介なのは中央にいる浅井、朝倉。そして西に大国を持つ毛利の二つ。東は徳川がすべて抑えた。今まで武田への備えとして残していたであろう軍をすべてそちらに回せるとしても毛利のあの勢い相手では苦戦は必死だろう。そしてここに来て厄介になりそうなのはもしかしたら長宗我部なのかもしれない。今はまだ本州に進んではいないが淡路を取ったということは少なからず海路は抑えたと言うことだ。」
刹那は一人でいろんなことに頭を回しているとそこに空姫が母であるおとわを引っ張る形で入ってきた。
「ちちうえー。」
空はそう言うと刹那にタックルを仕掛けてきた。
「空?うわっ!!」
急なことに対処出来ずに刹那は空姫を抱えたまま押し倒される形になった。
「あなた!!大丈夫ですか?こら、空!!」
「おー、びっくりした。空、どうした?」
「そらね、ちちうえにはやくあいたかったのー。」
空姫はそう言うと刹那に思いっきり抱きついた。
「父上が帰ってきたと知って空が会いに行くときかなくて。何かお考えだったようなのに申し訳ありません。」
「いや、構わないよ。気分転換にもなった。それに父上も空に会いたかったからなー。」
後継ぎである直虎には厳しく接してきたつもりの刹那も娘には甘く空姫にベタ惚れであった。
刹那は空を抱いたまま目線をおとわに移し
「松姫は大丈夫かい?」
義父に実家を滅ぼされて心境穏やかではないであろう松姫のことを聞いた。
「はい。出陣当初は不安そうにしておりましたが、義信殿が高野山送りになった知らせを聞いた時はほっとしたようでございました。今頃は直虎と二人で話をしているのではないでしょうか。」
「半蔵、頼んでいたことは調べられたか。」
「はい。殿が甲斐遠征中の織田軍の各地の戦況を配下の者を使い事細かに調べさせました。」
「では、一つずつ教えてくれ。」
「はっ。まず、三好の残党についてですが、どうやら裏で長宗我部とのつながりがあるようです。四国で磐石な地盤を築いた長宗我部と敵対することは最早無意味と感じた三好の残党は逆に結託し、支援を求めたそうです。長宗我部もそれにのり三好に織田を倒すようにけしかけ物資などを送っている様子。」
「して、細かな戦況は?」
「織田軍の総大将は次男織田信雄殿で、補佐に丹羽長秀殿を置いており、当初は阿波へと攻め込んでいたのですが、地の利を活かした戦いをする三好軍相手に敗戦を繰り返し、今は逆に淡路を取られました。」
「なに、それでは和泉に攻め寄せるのも時間の問題ではないか。そうなれば摂津の本願寺と協力して更に厄介なことになるぞ!!」
「その可能性は高いと思われます。丹羽殿が今それをさせないために本願寺を包囲している嫡男信忠殿と連携を図っております。」
「そうか。で、三好は紀伊に手を出してきたか?」
「はい。少数ではありましたが、何度か兵を向けてきましたが、牽制だけで戦は起こっておりません。」
「そうか、それなら良い。どうせ我らが攻めてこないか気にしておるのだろう。」
「そして本願寺ですが、信忠殿が滝川一益殿に命じ包囲を行っており、小競り合いは数多くあれば大きな戦闘はなく膠着状態が続いております。どうやら兵糧攻めを行うつもりのようです。」
「本願寺相手に兵糧攻めをしたところであそこは蓄えも多ければ、海上に面しており瀬戸内海を使って毛利あたりが兵糧を運んでくるだろう。」
「その毛利にございますが、羽柴秀吉殿が総大将となり、播磨を境に宇喜多勢と対峙しております。戦況は膠着しており、今すぐに崩れることはないかと。」
「羽柴殿は計算高い者だ。何かしら策がなければ無謀なことはせんであろう。しかし、播磨か。別所家あたりが注意しておかねばならんな。三木城が毛利方につけば羽柴勢は孤立する。」
「丹波は明智光秀殿が総大将となり、波多野家と戦を行っております。こちらは織田家が有利にことを進めてはおりますが、まだ平定はではいたっておりません。」
「波多野家は当主こそ有能ではないが、家臣に赤井直正、籾井教業がいる。ともに丹波の赤鬼と青鬼として恐れられる武将だ。いくら明智殿でも平定するには骨が折れるぞ。」
「最後に浅井、朝倉には信長殿本人が当たられておりますが、ほかのところに兵を割いている分十分な兵力を有しておらず戦況を変えることができぬ状況でございます。」
「それに浅井家にはお市の方様がおる。信長殿が溺愛しておられる妹君だ。それもあって攻勢に出づらいのであろう。」
「織田家の各地の戦況はこのような状況になっております。」
「よく調べてくれた。礼を言う。」
「いえ、お役に立てたのであれば何よりにございます。」
「また、どこかで動きがあれば知らせてくれ。」
「はっ。」
半蔵はそう一言応えると音もなく姿を消した。
半蔵がいなくなり一人になった刹那は半蔵からの情報を頭の中で一度整理してからこれからのことについて考え始めた。
「織田家にとって厄介なのは中央にいる浅井、朝倉。そして西に大国を持つ毛利の二つ。東は徳川がすべて抑えた。今まで武田への備えとして残していたであろう軍をすべてそちらに回せるとしても毛利のあの勢い相手では苦戦は必死だろう。そしてここに来て厄介になりそうなのはもしかしたら長宗我部なのかもしれない。今はまだ本州に進んではいないが淡路を取ったということは少なからず海路は抑えたと言うことだ。」
刹那は一人でいろんなことに頭を回しているとそこに空姫が母であるおとわを引っ張る形で入ってきた。
「ちちうえー。」
空はそう言うと刹那にタックルを仕掛けてきた。
「空?うわっ!!」
急なことに対処出来ずに刹那は空姫を抱えたまま押し倒される形になった。
「あなた!!大丈夫ですか?こら、空!!」
「おー、びっくりした。空、どうした?」
「そらね、ちちうえにはやくあいたかったのー。」
空姫はそう言うと刹那に思いっきり抱きついた。
「父上が帰ってきたと知って空が会いに行くときかなくて。何かお考えだったようなのに申し訳ありません。」
「いや、構わないよ。気分転換にもなった。それに父上も空に会いたかったからなー。」
後継ぎである直虎には厳しく接してきたつもりの刹那も娘には甘く空姫にベタ惚れであった。
刹那は空を抱いたまま目線をおとわに移し
「松姫は大丈夫かい?」
義父に実家を滅ぼされて心境穏やかではないであろう松姫のことを聞いた。
「はい。出陣当初は不安そうにしておりましたが、義信殿が高野山送りになった知らせを聞いた時はほっとしたようでございました。今頃は直虎と二人で話をしているのではないでしょうか。」
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