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第五章~近畿大波乱~
織田包囲網始動11
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「そうゆうことだったのか。良く判断してくれた。三好の残党の中に長宗我部の兵もいるのだろう。長宗我部が我らをどのように見ているのか。甘くみて攻めてくるようであれば孫市、思う存分蹴散らしてやれ。今回に関しては思う存分やってよい。」
「ほう。殿がそこまで申されますか。これはむしろ攻めてきてくれたほうが良くなりましたな。」
「三好の残党に混じるようであれば長宗我部の重臣はおらん。だが、その兵がやられたとあれば長宗我部も徳川に牙を向くことがどのような行為であるか理解するであろう。」
「徳川と言うよりも神威にと思うでしょうがね。」
孫市は笑いながらそう返した。
刹那に連れられ紀伊まで同行していた直江兼続はその光景を後ろから見て驚いていた。
「なぜこのように戦の前かも知れぬというのに笑っていられるのか。」
そう思っていた。
それから数日後、淡路にいた三好勢が動いた。
その矛先は。
【三好勢、紀伊に向け進軍。】
神威家が治める雑賀城であった。
「殿、来ましたな。」
「あぁ。思う存分やってくれ。」
「全滅手前できちんと止めますので。」
「よろしく。」
その二人の会話に疑問を覚えた兼続は話に混ざってきた。
「刹那様、お聞きしてもよろしいでしょうか。」
「ん?兼続どうした。」
「どうして全滅手前なのでしょうか?可能であるのであればすべて倒したほうが良いのでは。」
「それは違うよ兼続。すべて倒さないのにはきちんとした理由がある。」
「理由にございますか。」
「兼続殿、殿が敵の兵を残すのには二つの理由がある。1つは無駄な殺生はしないこと。もう1つは兵を残して撤退させることによって当家の強さを本国の兵に伝えさせるため。」
「そう。二つ目が特に重要なんだよ。帰った兵は必ず敵であるこちらの情報を伝える。しかし、その情報が恐怖心の塊になるような情報であればどうなる?」
「こちらを警戒します。」
「それだけじゃない。警戒すると共に必ず怖じ気付く。それほどの敵に勝てるのかと疑心暗鬼にもなる。その人の心の弱さに漬け込むことでこちらの戦力を本来よりも多く計算してしまう。人は恐怖するものだ。その恐怖が敵を大きく見せる。そうなれば体も動かない。戦う気力をなくすことができる。そうすれば無駄な殺生をしないに繋がるんだよ。」
「そこまでお考えになって刹那様は戦に挑まれていたのですね。」
「俺は人を殺めるのが嫌いなんでね。できるだけ無駄な殺生はしたくない。もちろん殿のために必要であれば手を汚すことも厭わないけど。」
刹那の思いを聞いた兼続は自分の未熟さを改めて感じ、謙信が刹那の元に兼続を遣わした理由を理解するのである。
「この方からは学ぶべきことが山ほどある。」
と。
刹那は采配のほとんどを孫市に任せて兼続と二人で城の最上階から三好勢が攻めてくるのを見ていた。
「刹那様、采配を振るわなくて良いのですか?」
「あぁ。孫市に任せてあるから大丈夫だよ。」
「ですが、こちらの手勢は雑賀城の兵4000と我らが連れてきた3000の合わせて7000。それに対してあちらは見ただけでもざっと2万はおります。この状況で家臣に任せてこのように日和見してよろしいのでしょうか。」
「兼続。家臣を信じるのも主の力量。孫市は俺にお任せを。と言ったんだ。そう家臣が言うなら主は任せて信じなくてはならないよ。それに、孫市は雑賀衆の頭領だ。無謀なことはしないし出来ないことをできるとは言わない。配下を無駄死にさせることは絶対にないよ。」
「そうゆうものなのですか。」
不安そうにしている兼続に刹那は
「ま、それにほかの家の兵の強さがどれだけのものかはわからないけど、俺が鍛えた兵たちは強いよ。数なんて押し返せるほどにね。」
笑みを浮かべながらそう言った。
そうこうしている間に三好勢が上陸し雑賀城に攻め寄せてきた。
孫市率いる雑賀衆が得意とするゲリラ戦を行い上陸したばかりの三好勢を混乱させている。
しかし、長宗我部の兵も混じっているためかそれで大崩することもなく段々も城に近付いてきていた。
「ほう、三好は別として長宗我部の兵はよく訓練されているようだね。」
「はい。ですが上杉の兵よりは弱いと思います。」
「そうだね、屈強さで言えば長宗我部のほうが強そうだけど戦に関しては上杉が上だな。」
謙信の期待する若武者は戦が始まるとさっきまでの不安そうな顔から武士の顔に変わっていた。
「(へぇー、さすがは謙信公が期待を寄せる直江兼続だ。さっきまでの顔とは全然違う。軍師的な顔つきだな。)」
「刹那様、孫市殿が後退していますが、もしや何かの策が?」
「良く気が付いたね。孫市はじりじり負けているように後退しているが本当は計算しているんだよ。」
刹那がそう言ってからまもなく勢いに乗じて攻めてを強めている三好勢の横っ腹を鉛玉の雨が襲った。
「ふっ、伏兵だぁぁぁぁぁぁ。」
三好勢の兵がそう叫ぶと同時くらいに孫市が
「全軍、反転して一斉に攻めかかれ!!」
と声をあげた。
「なんと言う見事な策だ。」
「ほう。殿がそこまで申されますか。これはむしろ攻めてきてくれたほうが良くなりましたな。」
「三好の残党に混じるようであれば長宗我部の重臣はおらん。だが、その兵がやられたとあれば長宗我部も徳川に牙を向くことがどのような行為であるか理解するであろう。」
「徳川と言うよりも神威にと思うでしょうがね。」
孫市は笑いながらそう返した。
刹那に連れられ紀伊まで同行していた直江兼続はその光景を後ろから見て驚いていた。
「なぜこのように戦の前かも知れぬというのに笑っていられるのか。」
そう思っていた。
それから数日後、淡路にいた三好勢が動いた。
その矛先は。
【三好勢、紀伊に向け進軍。】
神威家が治める雑賀城であった。
「殿、来ましたな。」
「あぁ。思う存分やってくれ。」
「全滅手前できちんと止めますので。」
「よろしく。」
その二人の会話に疑問を覚えた兼続は話に混ざってきた。
「刹那様、お聞きしてもよろしいでしょうか。」
「ん?兼続どうした。」
「どうして全滅手前なのでしょうか?可能であるのであればすべて倒したほうが良いのでは。」
「それは違うよ兼続。すべて倒さないのにはきちんとした理由がある。」
「理由にございますか。」
「兼続殿、殿が敵の兵を残すのには二つの理由がある。1つは無駄な殺生はしないこと。もう1つは兵を残して撤退させることによって当家の強さを本国の兵に伝えさせるため。」
「そう。二つ目が特に重要なんだよ。帰った兵は必ず敵であるこちらの情報を伝える。しかし、その情報が恐怖心の塊になるような情報であればどうなる?」
「こちらを警戒します。」
「それだけじゃない。警戒すると共に必ず怖じ気付く。それほどの敵に勝てるのかと疑心暗鬼にもなる。その人の心の弱さに漬け込むことでこちらの戦力を本来よりも多く計算してしまう。人は恐怖するものだ。その恐怖が敵を大きく見せる。そうなれば体も動かない。戦う気力をなくすことができる。そうすれば無駄な殺生をしないに繋がるんだよ。」
「そこまでお考えになって刹那様は戦に挑まれていたのですね。」
「俺は人を殺めるのが嫌いなんでね。できるだけ無駄な殺生はしたくない。もちろん殿のために必要であれば手を汚すことも厭わないけど。」
刹那の思いを聞いた兼続は自分の未熟さを改めて感じ、謙信が刹那の元に兼続を遣わした理由を理解するのである。
「この方からは学ぶべきことが山ほどある。」
と。
刹那は采配のほとんどを孫市に任せて兼続と二人で城の最上階から三好勢が攻めてくるのを見ていた。
「刹那様、采配を振るわなくて良いのですか?」
「あぁ。孫市に任せてあるから大丈夫だよ。」
「ですが、こちらの手勢は雑賀城の兵4000と我らが連れてきた3000の合わせて7000。それに対してあちらは見ただけでもざっと2万はおります。この状況で家臣に任せてこのように日和見してよろしいのでしょうか。」
「兼続。家臣を信じるのも主の力量。孫市は俺にお任せを。と言ったんだ。そう家臣が言うなら主は任せて信じなくてはならないよ。それに、孫市は雑賀衆の頭領だ。無謀なことはしないし出来ないことをできるとは言わない。配下を無駄死にさせることは絶対にないよ。」
「そうゆうものなのですか。」
不安そうにしている兼続に刹那は
「ま、それにほかの家の兵の強さがどれだけのものかはわからないけど、俺が鍛えた兵たちは強いよ。数なんて押し返せるほどにね。」
笑みを浮かべながらそう言った。
そうこうしている間に三好勢が上陸し雑賀城に攻め寄せてきた。
孫市率いる雑賀衆が得意とするゲリラ戦を行い上陸したばかりの三好勢を混乱させている。
しかし、長宗我部の兵も混じっているためかそれで大崩することもなく段々も城に近付いてきていた。
「ほう、三好は別として長宗我部の兵はよく訓練されているようだね。」
「はい。ですが上杉の兵よりは弱いと思います。」
「そうだね、屈強さで言えば長宗我部のほうが強そうだけど戦に関しては上杉が上だな。」
謙信の期待する若武者は戦が始まるとさっきまでの不安そうな顔から武士の顔に変わっていた。
「(へぇー、さすがは謙信公が期待を寄せる直江兼続だ。さっきまでの顔とは全然違う。軍師的な顔つきだな。)」
「刹那様、孫市殿が後退していますが、もしや何かの策が?」
「良く気が付いたね。孫市はじりじり負けているように後退しているが本当は計算しているんだよ。」
刹那がそう言ってからまもなく勢いに乗じて攻めてを強めている三好勢の横っ腹を鉛玉の雨が襲った。
「ふっ、伏兵だぁぁぁぁぁぁ。」
三好勢の兵がそう叫ぶと同時くらいに孫市が
「全軍、反転して一斉に攻めかかれ!!」
と声をあげた。
「なんと言う見事な策だ。」
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