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第五章~近畿大波乱~
織田包囲網始動12
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「これが釣り野伏せ。薩摩の島津家が得意とする戦法だよ。上杉家が車懸かりの陣形を使うのと同じお家芸ってところかな。本隊を囮にして伏兵が待ち構える場所へ誘導して伏兵が左右から攻撃を加えると同時に反転して三方向から攻撃、迎撃する策だよ。」
「釣り野伏。凄まじい威力です。」
「孫市は簡単そうにこの策を決めたけど、本来は相当な訓練された兵でなければできない策だ。後退の早さを誤れば本隊が全滅、または策だと感付かれて攻め寄せてこないからね。」
「つまりは他家が簡単にできる技ではないと。」
「そうゆうこと。うちは様々な兵法にも対応できるような兵の育成を行っているけど、それには莫大な資金と時間がかかる。これが可能なのはうちくらいだと思うよ。」
だが、見事に釣り野伏を決めた神威勢だが、倍以上ある戦力で攻めてきた三好勢に次第に押され始めた。
「刹那様、この状況まずいのでは。」
「さすがに4000では2万は相手できないか。」
「ならばわしが出るとするかのぉ。」
後ろから聞こえたその声に反応して振り返るとそこには井伊直盛の姿があった。
「直盛殿、どうしてこちらへ?」
「直虎に頼まれてな。伊勢から参ったのだ。」
「ふっ、そうでしたか。直虎も親の心配をするくらい成長したのですね。」
「直虎が父上に伝えてくれと申しておったぞ。もっと補佐を付けてくださいとな。」
「ふふ、そうですね。さすがに主な武将が私と兼続だけではこうゆう時に少しめんどうですね。」
「まったく、兼続殿は客将なのだから気を使ってやらんといかんぞ?」
「そうですね。」
「では殿、わしが出ても構わぬかな?」
「はい。お願いします。兵2000で構いませんか?」
「いや、1000でけっこう。どうせ全滅をさせるわけではないのだからな。だが一門の側近を連れていっても構わぬかな?」
「えぇ。それでお願いします。」
「では行ってくるとするかのぉ。」
そう言って直盛は出て行った。
「よっ、よろしいのですか?敵の数がまだあれほどいるのに1000の増援で。」
「あぁ。大丈夫だよ。うちの一門衆を連れていったから。500でも問題ないくらいじゃないかな?」
「500でですかっ!!一門衆とはいったい。」
「簡単に言うと当主を守るために鍛えられた近衛兵かな?神威家の兵はほかの大名家よりも厳しい訓練を日々しているんだけど、その中でも優れた身体能力を持っている者を集めて更に鍛えた兵たちなんだよ。それに彼らの武装はほかとちょっと違う。」
「どのように違うのですか?」
「まず、彼らの武器は西洋の刀であるロングソードを持たせている。これは両刃の剣でね。刀よりも使いやすい。ただ、強度は名刀と呼ばれるものに比べると劣ってしまうけれどそんなものを持っている者はそうはいないから問題ない。そして盾を持たせているんだ小型のね。これで相手の攻撃を防ぎながらこちらは切りかかるってこと。」
「確かに鍛えられた兵が身軽に使える武器を振り回したらとてつもない強さを持ちますね。」
「そうゆうこと。数で勝ろうとも個々の強さを誇る一門衆が負けるわけがないってこと。」
「素晴らしいです。この兼続感服いたしました。」
「まぁ、直盛殿も歳をとってはきたがまだまだ若者には負けぬと一門衆の訓練に参加したりしてるくらいだからね。」
「直盛殿は凄まじいのですね。」
「そうだね。兼続も帰ったら一門衆の訓練を受けてみるかい?」
「是非っ!!受けてみとうございますっ!!」
「よし、なら帰ったら楽しみにしておいてよ。」
「はいっ。」
兼続は後にこの自分の軽薄さに後悔することになるがそれはまだ先の話である。
城を出た直盛率いる一門衆は本隊である孫市の部隊を分断して敵の真正面に進んだ。
それを見た孫市は左右に500ずつ兵を回し残りの兵と孫市本人は一門衆を補佐するように動いた。
「さすが孫市、一番良い動きを一瞬のうちに行ったか。」
「なんて隙のない動きだ。」
兼続は兵の動きに一切の無駄を見ることができず感動していた。
「まぁ、雑賀衆は元々傭兵業を営んでいた集団だ。戦には慣れている。それにうちの訓練を孫市がさせているから余計だろうね。」
中央に入った直盛は瞬く間に敵軍の勢いを削ぎ逆に攻勢に転じた。
「よし、皆、神威家最高戦力、一門衆の力を見せてやれっ!!」
「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」
直盛の鼓舞に応えるように一門衆の攻撃は更に過激になり三好勢は恐怖した。
「なっ、なんだあの軍勢は!!化け物か!!」
「くっ、くるなぁぁぁ。」
三好勢の勢いがなくなったのを確認した孫市はすぐに
「今だ、追い討ちをかけよっ。三好勢を倒しまくれ!!」
孫市のこの命令と共に神威勢は勢いを更に増した。
「釣り野伏。凄まじい威力です。」
「孫市は簡単そうにこの策を決めたけど、本来は相当な訓練された兵でなければできない策だ。後退の早さを誤れば本隊が全滅、または策だと感付かれて攻め寄せてこないからね。」
「つまりは他家が簡単にできる技ではないと。」
「そうゆうこと。うちは様々な兵法にも対応できるような兵の育成を行っているけど、それには莫大な資金と時間がかかる。これが可能なのはうちくらいだと思うよ。」
だが、見事に釣り野伏を決めた神威勢だが、倍以上ある戦力で攻めてきた三好勢に次第に押され始めた。
「刹那様、この状況まずいのでは。」
「さすがに4000では2万は相手できないか。」
「ならばわしが出るとするかのぉ。」
後ろから聞こえたその声に反応して振り返るとそこには井伊直盛の姿があった。
「直盛殿、どうしてこちらへ?」
「直虎に頼まれてな。伊勢から参ったのだ。」
「ふっ、そうでしたか。直虎も親の心配をするくらい成長したのですね。」
「直虎が父上に伝えてくれと申しておったぞ。もっと補佐を付けてくださいとな。」
「ふふ、そうですね。さすがに主な武将が私と兼続だけではこうゆう時に少しめんどうですね。」
「まったく、兼続殿は客将なのだから気を使ってやらんといかんぞ?」
「そうですね。」
「では殿、わしが出ても構わぬかな?」
「はい。お願いします。兵2000で構いませんか?」
「いや、1000でけっこう。どうせ全滅をさせるわけではないのだからな。だが一門の側近を連れていっても構わぬかな?」
「えぇ。それでお願いします。」
「では行ってくるとするかのぉ。」
そう言って直盛は出て行った。
「よっ、よろしいのですか?敵の数がまだあれほどいるのに1000の増援で。」
「あぁ。大丈夫だよ。うちの一門衆を連れていったから。500でも問題ないくらいじゃないかな?」
「500でですかっ!!一門衆とはいったい。」
「簡単に言うと当主を守るために鍛えられた近衛兵かな?神威家の兵はほかの大名家よりも厳しい訓練を日々しているんだけど、その中でも優れた身体能力を持っている者を集めて更に鍛えた兵たちなんだよ。それに彼らの武装はほかとちょっと違う。」
「どのように違うのですか?」
「まず、彼らの武器は西洋の刀であるロングソードを持たせている。これは両刃の剣でね。刀よりも使いやすい。ただ、強度は名刀と呼ばれるものに比べると劣ってしまうけれどそんなものを持っている者はそうはいないから問題ない。そして盾を持たせているんだ小型のね。これで相手の攻撃を防ぎながらこちらは切りかかるってこと。」
「確かに鍛えられた兵が身軽に使える武器を振り回したらとてつもない強さを持ちますね。」
「そうゆうこと。数で勝ろうとも個々の強さを誇る一門衆が負けるわけがないってこと。」
「素晴らしいです。この兼続感服いたしました。」
「まぁ、直盛殿も歳をとってはきたがまだまだ若者には負けぬと一門衆の訓練に参加したりしてるくらいだからね。」
「直盛殿は凄まじいのですね。」
「そうだね。兼続も帰ったら一門衆の訓練を受けてみるかい?」
「是非っ!!受けてみとうございますっ!!」
「よし、なら帰ったら楽しみにしておいてよ。」
「はいっ。」
兼続は後にこの自分の軽薄さに後悔することになるがそれはまだ先の話である。
城を出た直盛率いる一門衆は本隊である孫市の部隊を分断して敵の真正面に進んだ。
それを見た孫市は左右に500ずつ兵を回し残りの兵と孫市本人は一門衆を補佐するように動いた。
「さすが孫市、一番良い動きを一瞬のうちに行ったか。」
「なんて隙のない動きだ。」
兼続は兵の動きに一切の無駄を見ることができず感動していた。
「まぁ、雑賀衆は元々傭兵業を営んでいた集団だ。戦には慣れている。それにうちの訓練を孫市がさせているから余計だろうね。」
中央に入った直盛は瞬く間に敵軍の勢いを削ぎ逆に攻勢に転じた。
「よし、皆、神威家最高戦力、一門衆の力を見せてやれっ!!」
「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」
直盛の鼓舞に応えるように一門衆の攻撃は更に過激になり三好勢は恐怖した。
「なっ、なんだあの軍勢は!!化け物か!!」
「くっ、くるなぁぁぁ。」
三好勢の勢いがなくなったのを確認した孫市はすぐに
「今だ、追い討ちをかけよっ。三好勢を倒しまくれ!!」
孫市のこの命令と共に神威勢は勢いを更に増した。
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