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第五章~近畿大波乱~
織田包囲網始動16
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「殿や海玄殿、私が大殿の元へ向かえば良いのです。」
そう幸隆は微笑みながら言った。
「いやいや、我らは三好攻めをやっている最中ではないか。」
幸隆の案に刹那はさすがに反対した。
「殿、このようなことになると思って直虎殿に総大将を任せたのではないですかな?自らが動けるように。」
「確かに殿が休みたいなどと言われるのはおかしいのぉ。あれほど自分に厳しい殿がゆっくり休みたいなどと今の現状で申すとは。」
そう二人が刹那は見つめた。
「あ~ぁ。さすがに知将で有名な真田幸隆と甲斐の虎である武田信玄を騙すのは無理でしたか。」
刹那はそう言いながら頭を掻いた。
「我らを欺くのは難しいと思いますよ。これでも殿に惚れ込んだからこそこの老いぼれ二人はそばにおることを望んだのですから。」
「最近の海玄も幸隆も好々爺のようにだったからさすがに歳を取って衰えてきたと油断しましたかね。」
「この海玄、これでもあの謙信と死闘を繰り広げながら領地を広げた武将よ、そう簡単に衰えたりせんよ。」
「参りました。さすがは武田の大黒柱と大参謀殿です。そうです。直虎に総大将を任せたのは左近から長政殿が幽閉されている可能性があると聞いていた時からこうなるのではと思ったからです。しかし、殿に命じられたのは三好領への侵攻。これを無視するわけには行きません。そこで直虎の成長の機会にもなり私が自由に動けるようになるように今回のような沙汰を出しました。直虎がいずれ神威家の当主となった時に必ず今回のことは役に立つと思っていますしね。」
「では我らは浜松へ向かいますかな?」
「いえ、まずは霧山御所へ戻り長政殿の心中を確認します。浜松に向かうのはその後です。」
「承知いたしました。」
「では二人は先に出立の用意をしていてください。私はこのことを直虎に話してきます。」
そう言うと刹那は直虎の元へと向かった。
軍議を終えた直虎は左近と嘉隆、昌幸、吉継の五人で話していた。
「直虎、入るぞ。」
「父上。どうぞお入りください。」
「おお、左近達もいたのか。」
「はい。軍議が終わりましたので細かな部分を詰めておりました。」
「父上、いかがなさいましたか?」
「ああ、直虎に話さねばならんことができたからな。伝えに来た。」
そう刹那が言うと直虎以外の四人は部屋を出るために立とうとした。
「いや、皆も居てくれ。皆にも関わることだ。」
そう言い四人が座り直したのを確認すると話し始めた。
「直虎、私と海玄、幸隆は明朝霧山御所へ戻る。故に洲本城攻めだけでなく阿波侵攻に関して全ての権限をお前に一任する。三好攻め、そして長宗我部が出てきた場合は土佐攻めをお前が総大将となり遂行せよ。」
刹那がそう言い終わると直虎は固まったままだったため左近が問いを投げた。
「殿、まさか浅井、朝倉攻めに参加なさるのですか?」
「浅井、朝倉ですか。」
「織田家より殿に援軍要請があったのだ。その相手は浅井、朝倉だ。幽閉されていた長政殿は丹波が助け出して今霧山御所にいる。細かいことは左近に後で聞いてくれ。」
そこまで言うと俺は直虎の目をじっと見た。
「父上。お任せくださりませ。三好、長宗我部は私が皆と一緒に解決してみせます。父上は心置きなく大殿のそばでお励みくださいませ。」
「うむ。直虎頼んだぞ。左近、嘉隆。」
「「はっ!!」」
「若い衆が慌ただしくならんよう、補佐してやってくれ。」
「「承知致しました。」」
「殿、わしは殿についていくからのぉ。」
「丹波か。だが、それではこちらに忍びの力が必要になった時に困る。半蔵は今土佐を調べているのだ。」
「なぁに、伊賀衆を甘くみないでくだされよ。わしの代わりに副棟梁の長門守を直虎殿のそばに控えさせておく。言葉は少ないやつだが、わしと同じほどの力を持っている。安心してよいぞ?」
「そうか。ではそのようにせよ。」
「父上、兵はどのくらいお連れになりますか?」
「兵か。我らだけで行こうと思っていた。」
「なりませぬ。父上にもしものことがあればなんとしますかっ!!」
「しかし、直虎。長宗我部も出てくる可能性がある以上、こちらの兵を減らすわけにはいかない。」
刹那がそう諭すと少し黙った後直虎は、
「わかりました。ですが、せめて一門衆だけは連れて行ってください。あの者らは父上が育てた兵。最後の一兵になるまで父上の矛となり盾となってくれる者達です。この者らだけはどうか連れて行ってください。」
「わかった。一門衆は連れて行く。」
直虎の目に強い気持ちを感じた刹那は直虎の気持ちに応えた。
そう幸隆は微笑みながら言った。
「いやいや、我らは三好攻めをやっている最中ではないか。」
幸隆の案に刹那はさすがに反対した。
「殿、このようなことになると思って直虎殿に総大将を任せたのではないですかな?自らが動けるように。」
「確かに殿が休みたいなどと言われるのはおかしいのぉ。あれほど自分に厳しい殿がゆっくり休みたいなどと今の現状で申すとは。」
そう二人が刹那は見つめた。
「あ~ぁ。さすがに知将で有名な真田幸隆と甲斐の虎である武田信玄を騙すのは無理でしたか。」
刹那はそう言いながら頭を掻いた。
「我らを欺くのは難しいと思いますよ。これでも殿に惚れ込んだからこそこの老いぼれ二人はそばにおることを望んだのですから。」
「最近の海玄も幸隆も好々爺のようにだったからさすがに歳を取って衰えてきたと油断しましたかね。」
「この海玄、これでもあの謙信と死闘を繰り広げながら領地を広げた武将よ、そう簡単に衰えたりせんよ。」
「参りました。さすがは武田の大黒柱と大参謀殿です。そうです。直虎に総大将を任せたのは左近から長政殿が幽閉されている可能性があると聞いていた時からこうなるのではと思ったからです。しかし、殿に命じられたのは三好領への侵攻。これを無視するわけには行きません。そこで直虎の成長の機会にもなり私が自由に動けるようになるように今回のような沙汰を出しました。直虎がいずれ神威家の当主となった時に必ず今回のことは役に立つと思っていますしね。」
「では我らは浜松へ向かいますかな?」
「いえ、まずは霧山御所へ戻り長政殿の心中を確認します。浜松に向かうのはその後です。」
「承知いたしました。」
「では二人は先に出立の用意をしていてください。私はこのことを直虎に話してきます。」
そう言うと刹那は直虎の元へと向かった。
軍議を終えた直虎は左近と嘉隆、昌幸、吉継の五人で話していた。
「直虎、入るぞ。」
「父上。どうぞお入りください。」
「おお、左近達もいたのか。」
「はい。軍議が終わりましたので細かな部分を詰めておりました。」
「父上、いかがなさいましたか?」
「ああ、直虎に話さねばならんことができたからな。伝えに来た。」
そう刹那が言うと直虎以外の四人は部屋を出るために立とうとした。
「いや、皆も居てくれ。皆にも関わることだ。」
そう言い四人が座り直したのを確認すると話し始めた。
「直虎、私と海玄、幸隆は明朝霧山御所へ戻る。故に洲本城攻めだけでなく阿波侵攻に関して全ての権限をお前に一任する。三好攻め、そして長宗我部が出てきた場合は土佐攻めをお前が総大将となり遂行せよ。」
刹那がそう言い終わると直虎は固まったままだったため左近が問いを投げた。
「殿、まさか浅井、朝倉攻めに参加なさるのですか?」
「浅井、朝倉ですか。」
「織田家より殿に援軍要請があったのだ。その相手は浅井、朝倉だ。幽閉されていた長政殿は丹波が助け出して今霧山御所にいる。細かいことは左近に後で聞いてくれ。」
そこまで言うと俺は直虎の目をじっと見た。
「父上。お任せくださりませ。三好、長宗我部は私が皆と一緒に解決してみせます。父上は心置きなく大殿のそばでお励みくださいませ。」
「うむ。直虎頼んだぞ。左近、嘉隆。」
「「はっ!!」」
「若い衆が慌ただしくならんよう、補佐してやってくれ。」
「「承知致しました。」」
「殿、わしは殿についていくからのぉ。」
「丹波か。だが、それではこちらに忍びの力が必要になった時に困る。半蔵は今土佐を調べているのだ。」
「なぁに、伊賀衆を甘くみないでくだされよ。わしの代わりに副棟梁の長門守を直虎殿のそばに控えさせておく。言葉は少ないやつだが、わしと同じほどの力を持っている。安心してよいぞ?」
「そうか。ではそのようにせよ。」
「父上、兵はどのくらいお連れになりますか?」
「兵か。我らだけで行こうと思っていた。」
「なりませぬ。父上にもしものことがあればなんとしますかっ!!」
「しかし、直虎。長宗我部も出てくる可能性がある以上、こちらの兵を減らすわけにはいかない。」
刹那がそう諭すと少し黙った後直虎は、
「わかりました。ですが、せめて一門衆だけは連れて行ってください。あの者らは父上が育てた兵。最後の一兵になるまで父上の矛となり盾となってくれる者達です。この者らだけはどうか連れて行ってください。」
「わかった。一門衆は連れて行く。」
直虎の目に強い気持ちを感じた刹那は直虎の気持ちに応えた。
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