チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第五章~近畿大波乱~

織田包囲網始動18

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「はいっ。」

おとわはそう言って刹那に見えないように一粒涙をこぼすのであった。

その後刹那は呼びに来た兵と一緒に海玄達の待つ外まで出て行った。

「殿、参りますかな。」

「あぁ。行こうか、家康さまの手助けにっ!!」

「「「「「おおおおおおおおおおっ」」」」」

こうして刹那は海玄、幸隆、丹波、直盛、長政そして神威家一の精鋭である一門衆を率いて家康のいる浜松城に向かうのであった。
総勢1000、数だけを言えば徳川家の筆頭家老と呼べるのかと周りから非難の声が出るであろうが、この1000の兵がこれから行われる浅井、朝倉との戦いで敵兵達から恐れられることになるとはこの時はまだ誰も知らなかった。

5日をかけて浜松まで到着した刹那はすぐに家康に面会した。
刹那が来たことに家康はおおいに驚いた。

「なにっ、刹那が来ただとっ。それは本当か直親っ!!」

「はいっ。ただいま1000の兵と共に到着したと知らせがあり、家康様にお会いしたいとのことです。」

「すぐに呼べっ。」

「はっ。」

家康はすぐに刹那を呼んだ。

「家康様、神威刹那ただいま参りました。」

「驚いたぞ刹那。三好のほうは大丈夫なのか?」

「はい。我が息子直虎に総大将を任せ、補佐に左近と嘉隆をつけておりますので心配はないかと。」

「そうか。それなら良い。刹那がこちらにいるだけで信長殿の機嫌も良うなるからな。」

「織田家との対応はお任せを。」

「うむ。頼りにしているぞ。」

「はっ。」

刹那がついてから3日後、家康は岐阜へと向かい10日後に到着。
そして信長と面会することになった。

「家康殿、此度の援軍忝ない。」

「何を申されます。我らは同盟国にございます故当たり前のことにございます。」

「ありがたい。それに此度は刹那も連れてきて下さった、これほど心強い味方はおらぬわっ。」

「微力ではありますが此度の戦に参加させていただきます。」

「はっはっ、刹那が微力では当家の力など虫のようなものじゃな。刹那、頼んだぞ。」

「はっ。」

こうして初日の面会は終わったのである。
それから織田軍の準備が整うまで10日あまりかかり、その間に刹那は家臣達と策を考えて過ごした。

「それにしても織田軍は支度に時間がかかるのですなー。」

「海玄殿、我らは殿の元で過ごしているから忘れてしまうがこのくらいの時が必要なのは当たり前のことにございますよ。」

「幸隆、そうであったか。武田もこれほど時間がかかっていたかのぉー。」

「えぇ、多くの兵を集めて出陣までの日にちを少なく済ませるように日々精進させている殿あってこそですから。」

「私は別にそのような意図で日々訓練をさせているわけではないのですがね。ただ、戦場で自分を守れるように強くしてあげたいと思っているだけですよ。」

「その優しさが神威家家臣の忠誠心をあげているのだがな。」

四人の会話を聞いてその場に同席していた長政はただただ敵わないと思うばかりであった。

「殿、ちょっと良いか?」

「おぉ、丹波。どうしました?」

「どうやら明日には近江へと出陣できる手はずのようだ。」

「そうか。やっと来たね。長政殿、覚悟はよろしいですね?」

「はい。よろしくお願い申し上げる。」

「では丹波、例の策を頼むぞ。」

「お任せを。」

「海玄、幸隆は朝倉との戦いに備えて兵の士気を上げてきてくれ。」

刹那がそう指示をすると二人は先に部屋を出て行った。

「長政殿が幽閉されていた情報は織田家も知っているでしょうから浅井家が最早味方ではないことを信長殿はご存知でしょう。そうなれば朝倉を攻めるのではなく、浅井、朝倉両家を共に叩くはずです。そうなれば戦場は姉川だと思います。」

「刹那殿はそこまで読まれるのですか。」

「兵を無駄に死なせないようにするためには将たる者が考えを巡らせねばなりません。」

「これはますます父上を止めねばならんな。刹那殿を敵にしては浅井、朝倉など簡単に潰されてしまう。」

「味方には優しさを敵には恐怖を与えることが大事だと考えておりますので。」

そう言って刹那は笑った。

その笑みにつられて長政もかなわんとばかりに笑ったのである。

翌日、近江に向けて進軍を開始した織田軍はたいした妨害などを受けることなく近江へと入った。

「刹那、ここまで浅井軍の抵抗がほぼないがどう見る。」

「やはり、久政派と長政派で家中が割れておるのやも知れません。」

「では戦の時も注意すべきは朝倉だけか。」

「いえ、むしろ浅井を警戒するべきだと思います。戦が始まれば浅井家の家中も領地を守るためにひとつにまとまるでしょう。油断大敵でございますよ、殿。」

「そうだな。気をつけるとしよう。」

「信長殿も慢心などなさらなければ良いのですが。」

「今の信長殿は慢心などより怒りで無慈悲になることがわしは恐ろしいがな。あの方は未だにどのような考えのもとに行動しているのかわからないことが多いからな。」

「もしも信長殿が怒りに任せて無慈悲な仕置を行えば民心は離れ織田家へ反発する者が更に増えることになるでしょう。」

「そうなれば徳川にとっても良くないのではないか?」

家康がそう思うのも当然である。
織田家の当主である信長の評判が悪くなればなるほど同盟国である徳川家への風当たりも悪くなるというものである。

「それは殿が信長殿に同調して同じような振る舞いを行えばの話にございます。我らは対等な同盟国です。織田家がどのような仕置をしようとも我らも同じようにしなければならないということはございません。殿はいつものように慈愛に溢れた施しをなさればよろしいかと思います。そうすれば徳川への評判はむしろ上がると私は思いますよ。」

刹那の言葉に納得した家康は「そうだな。」と一言返した。

織田、徳川軍が近江へ侵攻したことに焦りを覚えたのは浅井久政だけではなかった。
朝倉家当主の朝倉義景もまた焦り、急ぎ編成を整えると小谷入りし、浅井家と協力して織田、徳川連合軍に立ち向かうことにしたのである。

朝倉義景の小谷城入りを受けて長政派と久政派で割れていた家中も一応の団結を見せ信長と戦う方針で動くことになった。

「義景殿、今回のご助力誠に感謝いたします。これで織田など敵ではございませぬな。」

「なにをもうされる、朝倉と浅井は身内も同然の中ではないか。身内の危機に力を貸すのは当たり前のことよ。」

「必ずや信長の首を取りましょうぞ。」

朝倉の援軍に久政は機嫌を良くしていた。
浅井家中のまとまりが表面上であることなど忘れているかのように。
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