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第五章~近畿大波乱~
崩壊、そしてゼロからのスタート2
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翌日、刹那の予言は的中することになる。
早朝、刹那の元に丹波が訪れたのである。
「殿、お休みのところ申し訳ない。よき知らせをお持ちしましたぞ。」
「丹波か、首尾はどうなった?」
「良好。まもなく長政殿が戻られますぞ。」
「わかった。海玄と幸隆を連れてきてくれるか。」
「承知した。」
そう言うと丹波は姿を消した。
それからほどなくして、刹那の元には海玄、幸隆がおり、長政が来るのを待っていた。
「殿、長政殿が戻られましたぞ。」
「丹波、ここへ通してくれ。」
刹那がそう伝えると丹波は長政を連れてやってきた。
「刹那殿、遅くなり申し訳ござらん。」
「いえ、まだ戦が本格的に始まる前でしたので大丈夫です。それでどれほど家臣達を説得できましたか?」
刹那がそう問いを投げると長政は顔を下に向け頭を下げた。
「申し訳ござらん。私にもっと力があれば多くの家臣を救えたものを。」
その長政の態度を見た海玄と幸隆はやはりダメだったかと言う顔をした。
「そうですか、では、連れてこられた方々をここへお連れ願えますか?」
「はい。」
長政はそう返事をすると外で待たせている浅井家家臣達を呼んだ。
そこに現れた人物達を見て海玄と幸隆の顔色がおおきく変わった。
「こっ、これはっ。」
「先ほどの発言は我らを油断させるためのものかっ。」
その二人の反応を見てふっと笑いを漏らす刹那。
「長政殿はそのようなことを考えてはいませんよ。ねぇ、長政殿。」
「左様。誠に申し訳なく思っております。」
長政の申し訳なさそうにする後ろに控えていた者を見て海玄と幸隆は申し訳なさそうにしているのが理解できなかった。
それもそのはずである。長政が連れてきた武将は、新庄直頼、遠藤直経、磯野員昌、赤尾清綱、海北綱親と言う、浅井家の重臣と呼ばれる五人だったからである。
「これだけの者を連れてきてそのような顔をせんでも良かろうに。」
海玄がそう言うと、
「長政殿は本気で家臣全員を救いたいと考えておられたからこそ、この者達しか連れてくることができなかったと嘆いているのですよ。」
と刹那が応えた。
「我が殿も強欲だが、長政殿も負けずの強欲のようだ。」
幸隆がそう言って笑った。
「私は別に強欲ではありませんよ、幸隆。長政殿、すべての者を救い出せなかったとしてもあなたが動かなければこの者達も救うことはできなかったのです。今はこの者達を救うことができたことを喜びましょう。」
「刹那殿。忝ない。」
「お初にお目にかかります。徳川家家臣、神威刹那と申します。この度は長政殿に頼まれ、皆様とお話をする機会を作ることに尽力をさせていただきました。」
刹那が、五人に向かいそう挨拶をすると代表として遠藤直経が話し始めた。
「お初にお目にかかります。浅井家家臣、遠藤直経と申します。この度は我が主、長政にご尽力を賜り、感謝いたします。このご恩は武働きにてお返し申す。」
「これはあなたが浅井家にこの人ありと言われた遠藤殿でしたか。働き期待しております。して、兵はどれほどこちらに来ましたか。」
「浅井軍5000のうち、我らについてきた兵は1500ほどにございます。」
「わかりました。長政殿、浅井軍1500はあなたが指揮をとっていただいて構いません。お願いできますか?」
「よろしいのですか?」
「はい。あなたが連れてきた兵です。あなたが指揮を取らずして誰が指揮を取るのです。」
その言葉に感動した長政は
「必ずや、戦果を立てて見せましょう。皆、力を貸してくれ。」
「「「「「はっ。」」」」」
こうして、浅井軍1500が徳川軍に加わった。
しかし、浅井軍を加えたところで朝倉軍との兵力差はまだ大きく、戦況を打破できるとは到底思えないほどであった。
しかし、刹那には大きな自信があった。
必ず徳川が朝倉を破る自信が。
一方、重臣である武将が五人も抜けたことを知った久政は怒りに震えていた。
「あやつらはなにを考えているのだっ。これまで与えてやった恩を仇で返すつもりかっ。ええぃ、織田を破りし後はあやつらの首を晒し者にしてくれるっ。」
久政の怒りを見た周りの者は久政の異様な様子に心が離れていくのであった。
久政はひとしきり怒りを出した後にすぐに兵に出陣を命じた。
浅井軍の出陣を見た朝倉軍は驚いた。
「久政め、何を考えている。こちらに何も連絡せずに勝手に出陣するとはっ。」
久政の勝手な行動に苛立ちを見せる義景だったが、そこはすぐに対応し、浅井軍に負けじと朝倉軍も進軍を進めた。
それを受けて織田、徳川軍もすぐに臨戦態勢を整えこれに応戦した。
徳川軍の先鋒は本多忠勝隊、朝倉軍の先鋒は真柄直隆隊である。
どちらも両家を代表する猛将であり、戦況は緊迫していた。
織田軍の先鋒は西美濃三人衆の一人稲葉良通、浅井軍の先鋒は浅井家の重臣であり、「海赤雨の三将」と呼ばれた三将の中で唯一久政の元に残った雨森清貞であった。
早朝、刹那の元に丹波が訪れたのである。
「殿、お休みのところ申し訳ない。よき知らせをお持ちしましたぞ。」
「丹波か、首尾はどうなった?」
「良好。まもなく長政殿が戻られますぞ。」
「わかった。海玄と幸隆を連れてきてくれるか。」
「承知した。」
そう言うと丹波は姿を消した。
それからほどなくして、刹那の元には海玄、幸隆がおり、長政が来るのを待っていた。
「殿、長政殿が戻られましたぞ。」
「丹波、ここへ通してくれ。」
刹那がそう伝えると丹波は長政を連れてやってきた。
「刹那殿、遅くなり申し訳ござらん。」
「いえ、まだ戦が本格的に始まる前でしたので大丈夫です。それでどれほど家臣達を説得できましたか?」
刹那がそう問いを投げると長政は顔を下に向け頭を下げた。
「申し訳ござらん。私にもっと力があれば多くの家臣を救えたものを。」
その長政の態度を見た海玄と幸隆はやはりダメだったかと言う顔をした。
「そうですか、では、連れてこられた方々をここへお連れ願えますか?」
「はい。」
長政はそう返事をすると外で待たせている浅井家家臣達を呼んだ。
そこに現れた人物達を見て海玄と幸隆の顔色がおおきく変わった。
「こっ、これはっ。」
「先ほどの発言は我らを油断させるためのものかっ。」
その二人の反応を見てふっと笑いを漏らす刹那。
「長政殿はそのようなことを考えてはいませんよ。ねぇ、長政殿。」
「左様。誠に申し訳なく思っております。」
長政の申し訳なさそうにする後ろに控えていた者を見て海玄と幸隆は申し訳なさそうにしているのが理解できなかった。
それもそのはずである。長政が連れてきた武将は、新庄直頼、遠藤直経、磯野員昌、赤尾清綱、海北綱親と言う、浅井家の重臣と呼ばれる五人だったからである。
「これだけの者を連れてきてそのような顔をせんでも良かろうに。」
海玄がそう言うと、
「長政殿は本気で家臣全員を救いたいと考えておられたからこそ、この者達しか連れてくることができなかったと嘆いているのですよ。」
と刹那が応えた。
「我が殿も強欲だが、長政殿も負けずの強欲のようだ。」
幸隆がそう言って笑った。
「私は別に強欲ではありませんよ、幸隆。長政殿、すべての者を救い出せなかったとしてもあなたが動かなければこの者達も救うことはできなかったのです。今はこの者達を救うことができたことを喜びましょう。」
「刹那殿。忝ない。」
「お初にお目にかかります。徳川家家臣、神威刹那と申します。この度は長政殿に頼まれ、皆様とお話をする機会を作ることに尽力をさせていただきました。」
刹那が、五人に向かいそう挨拶をすると代表として遠藤直経が話し始めた。
「お初にお目にかかります。浅井家家臣、遠藤直経と申します。この度は我が主、長政にご尽力を賜り、感謝いたします。このご恩は武働きにてお返し申す。」
「これはあなたが浅井家にこの人ありと言われた遠藤殿でしたか。働き期待しております。して、兵はどれほどこちらに来ましたか。」
「浅井軍5000のうち、我らについてきた兵は1500ほどにございます。」
「わかりました。長政殿、浅井軍1500はあなたが指揮をとっていただいて構いません。お願いできますか?」
「よろしいのですか?」
「はい。あなたが連れてきた兵です。あなたが指揮を取らずして誰が指揮を取るのです。」
その言葉に感動した長政は
「必ずや、戦果を立てて見せましょう。皆、力を貸してくれ。」
「「「「「はっ。」」」」」
こうして、浅井軍1500が徳川軍に加わった。
しかし、浅井軍を加えたところで朝倉軍との兵力差はまだ大きく、戦況を打破できるとは到底思えないほどであった。
しかし、刹那には大きな自信があった。
必ず徳川が朝倉を破る自信が。
一方、重臣である武将が五人も抜けたことを知った久政は怒りに震えていた。
「あやつらはなにを考えているのだっ。これまで与えてやった恩を仇で返すつもりかっ。ええぃ、織田を破りし後はあやつらの首を晒し者にしてくれるっ。」
久政の怒りを見た周りの者は久政の異様な様子に心が離れていくのであった。
久政はひとしきり怒りを出した後にすぐに兵に出陣を命じた。
浅井軍の出陣を見た朝倉軍は驚いた。
「久政め、何を考えている。こちらに何も連絡せずに勝手に出陣するとはっ。」
久政の勝手な行動に苛立ちを見せる義景だったが、そこはすぐに対応し、浅井軍に負けじと朝倉軍も進軍を進めた。
それを受けて織田、徳川軍もすぐに臨戦態勢を整えこれに応戦した。
徳川軍の先鋒は本多忠勝隊、朝倉軍の先鋒は真柄直隆隊である。
どちらも両家を代表する猛将であり、戦況は緊迫していた。
織田軍の先鋒は西美濃三人衆の一人稲葉良通、浅井軍の先鋒は浅井家の重臣であり、「海赤雨の三将」と呼ばれた三将の中で唯一久政の元に残った雨森清貞であった。
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