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第五章~近畿大波乱~
崩壊、そしてゼロからのスタート3
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徳川軍対朝倉軍は忠勝が奮闘して善戦していたものの、朝倉軍の数の暴力には勝てず徐々に劣勢へとなっていった。
「伝令、本多忠勝殿、真柄直隆隊に劣勢。徐々に前線を下げております。」
「刹那、どうする。何か策はないのかっ。」
「もうしばしの辛抱にございます。時期に策が成ります。」
「そうか。下がってよいぞ。」
家康が伝令にそう伝えると刹那と二人だけになった。
「刹那、本当に大丈夫なんだな?」
「はい。殿はどっしりと構えていてください。大将が揺らいでは士気が下がりますゆえ。」
「うむ。そうだな。」
家康はそう言いながらも貧乏ゆすりをやめられなかった。
それを見た刹那はその足をガシッと掴んで笑みを見せた。
「私を信じてください、殿。」
刹那の笑みを見た家康の顔からは先ほどのどこにもぶつけられない不安は消えていた。
「ふっ、刹那がそう言うと昔から本当に大丈夫と思えるから不思議だ。」
「主にそう思ってもらえることほど家臣として喜ばしいことはないですね。」
「伝令っ!!!」
そんな会話が行われていた時に新たな伝令がもたらされた。
「榊原康政殿率いる別働隊が朝倉本陣に奇襲をかけましたっ!」
「なにっ、それは誠かっ。」
家康は思わず立ちあがりそう言った。
「伝令、浅井長政殿、榊原隊の襲撃に混乱した朝倉軍を更に奇襲。朝倉軍は混乱状態ですっ。」
「殿っ。」
「うむっ。全軍に伝令、この期を逃すなっ。全軍押し出せっ!!」
家康の命を受けた徳川軍は一斉に攻勢に転じた。
それを受けて本多忠勝隊と戦っていた真柄直隆隊はその勢いに後退を余儀なくされたのであった。
「徳川めっ、何があったと言うのだっ!」
「真柄様っ。一大事にございます。」
「いかがしたっ。」
「本陣が徳川の奇襲を受けておりますっ。急ぎ御助勢をっ。」
「なんだとっ。わかった。今向かう。」
真柄直隆は殿だけを残すと自身は朝倉本陣へと向かった。
「くっ、だからあれほど油断するなと申したものをっ。」
その頃本陣奇襲に成功した康政と長政は縦横無尽に暴れていた。
「皆のもの、殿のために敵本陣を掻き乱せっ。」
「榊原隊に負けるなっ。長政様のために我らも大いに暴れるのだっ。」
康政の激に負けぬようにと遠藤直経が激を飛ばした。
それからの徳川軍の攻撃は凄まじいものであった。
混乱している本陣に全軍を持ってあたり、朝倉軍はほぼ壊滅状態となり、朝倉義景は命からがら小谷城へと逃げ帰ったのである。
徳川軍は朝倉軍の武将である真柄直隆と朝倉景鏡を捕虜とした。
朝倉軍の敗走を見た久政も撤退を命じた。
これにより後に姉川の戦いと呼ばれることになる戦は織田、徳川連合軍の圧勝に終わったのである。
戦が終わると信長の主催で宴が設けられ徳川の家臣にも酒や豪華な食事が振る舞われた。
「さすがは三河武士の徳川軍だ。野戦において倍以上の敵に圧勝してしまうとは。家康殿は良き家臣を多く持っておるわ。」
「お褒めに預かり光栄にございます。皆、私には過ぎ足る家臣達にございます。」
「奇襲をかけたのは。」
「榊原康政にございます。」
「そうか、家康殿、わしから榊原康政に褒美をやりたいと思うのだが構わぬか。」
「はっ、それは有り難きことにございます。」
「康政前へ。」
信長にそう呼ばれた康政は信長の前までやってきた。
「お主の今回の働きに褒美を与えたいと思ってな。何か所望するものはあるか?」
信長の問いに康政は、
「いえ、何もございませぬ。」
と一言言った。
「ほう、この信長からの褒美は受け取れぬと申すか。」
「はい。受け取れませぬ。」
康政の返答に先程まで盛り上がっていた宴の席をピリついた雰囲気が包んだ。
織田家の者は信長が康政を切りつけたりしないか気が気ではなかった。
しかし家臣達の心配をよそに信長は
「ふっふっふっ。榊原康政。主への忠誠心大したものだ。家康殿、後日星切りの太刀を家康殿に渡す故にそれをこの榊原康政へ褒美としてはどうか。」
「はっ。ありがたき幸せにございます。」
康政のこの主以外からの褒美を受け取らないという忠義心が徳川家の絆を示しており、その話は織田、徳川領内で領民達の間で噂話として大きく広がった。そのことにより榊原康政は領民からの支持を大きく得ることになったのである。
その宴の席から数日後、論功行賞が行われた。
今回の論功行賞は朝倉、浅井両家を倒したとは言え、両家は残っており領地はそれほど増えたわけではなかったため、それほどの大きな配分はなく静かに終わることになった。
大きな動きと言えば浅井家当主であった浅井長政が刹那の臣下となり一から浅井家を復興させることを家康に直訴し、家康がそれを許したことである。
家康は長政の件について信長に根回しをしており。信長も義弟である長政が本当の意味では裏切っていなかったことと、お市からの願いと言うこともありこれを快諾した。
唯一それを反対した者が刹那であったが、家康、信長、二人から頼まれてしまってはさすがの刹那も断ることができなかった。
そのために刹那は長政に条件を出した。
「伝令、本多忠勝殿、真柄直隆隊に劣勢。徐々に前線を下げております。」
「刹那、どうする。何か策はないのかっ。」
「もうしばしの辛抱にございます。時期に策が成ります。」
「そうか。下がってよいぞ。」
家康が伝令にそう伝えると刹那と二人だけになった。
「刹那、本当に大丈夫なんだな?」
「はい。殿はどっしりと構えていてください。大将が揺らいでは士気が下がりますゆえ。」
「うむ。そうだな。」
家康はそう言いながらも貧乏ゆすりをやめられなかった。
それを見た刹那はその足をガシッと掴んで笑みを見せた。
「私を信じてください、殿。」
刹那の笑みを見た家康の顔からは先ほどのどこにもぶつけられない不安は消えていた。
「ふっ、刹那がそう言うと昔から本当に大丈夫と思えるから不思議だ。」
「主にそう思ってもらえることほど家臣として喜ばしいことはないですね。」
「伝令っ!!!」
そんな会話が行われていた時に新たな伝令がもたらされた。
「榊原康政殿率いる別働隊が朝倉本陣に奇襲をかけましたっ!」
「なにっ、それは誠かっ。」
家康は思わず立ちあがりそう言った。
「伝令、浅井長政殿、榊原隊の襲撃に混乱した朝倉軍を更に奇襲。朝倉軍は混乱状態ですっ。」
「殿っ。」
「うむっ。全軍に伝令、この期を逃すなっ。全軍押し出せっ!!」
家康の命を受けた徳川軍は一斉に攻勢に転じた。
それを受けて本多忠勝隊と戦っていた真柄直隆隊はその勢いに後退を余儀なくされたのであった。
「徳川めっ、何があったと言うのだっ!」
「真柄様っ。一大事にございます。」
「いかがしたっ。」
「本陣が徳川の奇襲を受けておりますっ。急ぎ御助勢をっ。」
「なんだとっ。わかった。今向かう。」
真柄直隆は殿だけを残すと自身は朝倉本陣へと向かった。
「くっ、だからあれほど油断するなと申したものをっ。」
その頃本陣奇襲に成功した康政と長政は縦横無尽に暴れていた。
「皆のもの、殿のために敵本陣を掻き乱せっ。」
「榊原隊に負けるなっ。長政様のために我らも大いに暴れるのだっ。」
康政の激に負けぬようにと遠藤直経が激を飛ばした。
それからの徳川軍の攻撃は凄まじいものであった。
混乱している本陣に全軍を持ってあたり、朝倉軍はほぼ壊滅状態となり、朝倉義景は命からがら小谷城へと逃げ帰ったのである。
徳川軍は朝倉軍の武将である真柄直隆と朝倉景鏡を捕虜とした。
朝倉軍の敗走を見た久政も撤退を命じた。
これにより後に姉川の戦いと呼ばれることになる戦は織田、徳川連合軍の圧勝に終わったのである。
戦が終わると信長の主催で宴が設けられ徳川の家臣にも酒や豪華な食事が振る舞われた。
「さすがは三河武士の徳川軍だ。野戦において倍以上の敵に圧勝してしまうとは。家康殿は良き家臣を多く持っておるわ。」
「お褒めに預かり光栄にございます。皆、私には過ぎ足る家臣達にございます。」
「奇襲をかけたのは。」
「榊原康政にございます。」
「そうか、家康殿、わしから榊原康政に褒美をやりたいと思うのだが構わぬか。」
「はっ、それは有り難きことにございます。」
「康政前へ。」
信長にそう呼ばれた康政は信長の前までやってきた。
「お主の今回の働きに褒美を与えたいと思ってな。何か所望するものはあるか?」
信長の問いに康政は、
「いえ、何もございませぬ。」
と一言言った。
「ほう、この信長からの褒美は受け取れぬと申すか。」
「はい。受け取れませぬ。」
康政の返答に先程まで盛り上がっていた宴の席をピリついた雰囲気が包んだ。
織田家の者は信長が康政を切りつけたりしないか気が気ではなかった。
しかし家臣達の心配をよそに信長は
「ふっふっふっ。榊原康政。主への忠誠心大したものだ。家康殿、後日星切りの太刀を家康殿に渡す故にそれをこの榊原康政へ褒美としてはどうか。」
「はっ。ありがたき幸せにございます。」
康政のこの主以外からの褒美を受け取らないという忠義心が徳川家の絆を示しており、その話は織田、徳川領内で領民達の間で噂話として大きく広がった。そのことにより榊原康政は領民からの支持を大きく得ることになったのである。
その宴の席から数日後、論功行賞が行われた。
今回の論功行賞は朝倉、浅井両家を倒したとは言え、両家は残っており領地はそれほど増えたわけではなかったため、それほどの大きな配分はなく静かに終わることになった。
大きな動きと言えば浅井家当主であった浅井長政が刹那の臣下となり一から浅井家を復興させることを家康に直訴し、家康がそれを許したことである。
家康は長政の件について信長に根回しをしており。信長も義弟である長政が本当の意味では裏切っていなかったことと、お市からの願いと言うこともありこれを快諾した。
唯一それを反対した者が刹那であったが、家康、信長、二人から頼まれてしまってはさすがの刹那も断ることができなかった。
そのために刹那は長政に条件を出した。
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