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第六章~徳川の世への布石作り~
三好、朝倉、滅びるってよ4
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「ありがとう。では、直虎、直政を連れて井伊谷の南谿和尚にこれから書く書状を持って行ってくれないか。」
「そのようなものであれば、私一人でもよろしいのでは?」
「いや、直政が必要になる。連れて行きなさい。」
「わかりました。」
刹那は南谿和尚への書状を書くと直虎と直政を向かわせた。
「これで、今回の件うまくいくはずだ。」
刹那の企てから一月後、刹那は本願寺にて本願寺顕如と密会を行っていた。
「お初にお目にかかります。徳川家家臣、神威刹那と申します。」
「石山本願寺、法主の顕如にございます。この度は足をお運びいただきありがとうございます。」
「こちらこそ、お目通りくださり光栄にございます。」
「神威様におきまして多大なるご寄進ありがとうございました。門徒達も喜んでおります。」
「いえ、徳川家にも門徒はたくさんおりますれば。」
「しかし、よろしいので?我らは今徳川家の盟友である織田家と敵対しております。そのような状況で我らに資金を流すことは織田家と徳川家の不和を起こすことになるのでは。」
「ええ、そうなる可能性は大きいかもしれません。しかし、本願寺と織田家が揉めているのは織田家が神社、仏閣を蔑ろにしたことが原因だと思います。」
「はい。我ら石山本願寺は多くの門徒の声により織田家と敵対することを選びました。我らの力ではあそこまで大きくなった武家と争って勝てることはほぼ不可能でしょう。しかし、そのために門徒を見殺しには私は法主としてできません。」
「わかります。私も私の家に仕えてくれている家臣の願いをできるだけ叶えたい。そして困っているなら当主として手を差し伸べてやりたいと考えております。」
「そう言っていただけて感謝致します。ですので、我らが織田家と争うことをやめることをできないのはお分かりいただけますでしょうか。」
「はい。しかし、そのことで顕如殿に提案があり、お会いする機会を作ったのです。」
「お願いとはなんでしょうか。多大なご寄進を下さった神威殿の頼みであれば、できるかぎりお力をお貸しするつもりでおりますが。」
それから刹那はある策を顕如に提示した。
「石山本願寺を我が領地である大和の国に移設していただきたいのです。」
刹那の驚きの提案を聞いた顕如は一度言葉を失った。
「かっ、神威殿。もう一度言っていただけますか?」
「石山本願寺を我が領地である大和の国に移していただきたい。」
「そっ、それは本気で申されておるのですか?」
「はい。」
顕如の問いに刹那は返事をしながら首を縦に振った。
「神威殿は我らにこの地を捨てよと申されるのですか!!」
「そうなりますね。しかし、顕如殿がここにこだわるのは地理的条件が優れているからなのではないでしょうか。それは本来信仰には関係ないはずです。」
「確かに信仰には関係ありませんが、すでにこの地は一向宗の門徒には聖地となっておる場所。そう簡単に移動などできませぬ。」
「確かにそうかもしれません。しかし、そのこだわりのために今、門徒達を危険に晒している。この現状を門徒を思う顕如殿は見過ごせますか?」
「しかし・・・。石山本願寺は総本山として象徴でなければなりません。」
「そこに関しては日の本の国が大和と呼ばれていたこともあるように大和の国に総本山があるとなればそれだけでも一向宗の権威は大きなものになるのではないでしょうか?」
「確かに土地で言えばそうでしょうが、今の規模の寺を築くのは莫大な資金がかかります。」
「そこに関してはお任せを。移動してくださるのであれば、その費用はすべて神威家がまかないましょう。幸い当家にはそれを可能にするだけの資金が蓄えてございます。」
「まっ、誠にそこまでしていただけるのですか?」
顕如が驚くのも無理はない。石山本願寺の規模の寺を築き、移動にかかる資金を出すということは大大名であっても数年分の予算をすべて使わなくてはできないことである。それを請け負うというのだから思わず言葉を失う。
「はい。徳川家の門徒のためにもそのほうが良いと思いますので。」
「この話、私一人の一存では決めかねますので、一度話し合わせていただきたく思います。」
「わかりました。数日城下のほうに滞在させていただきますので、まとまり次第お教えください。」
「わかりました。決まり次第お知らせに伺います。」
石山本願寺移設の話を終えた刹那は城下の宿で話し合いが終わるまでの間休息を取った。
顕如との会談の翌日、刹那は丹波と共に本願寺の城下を散策していた。
「やはり、ここらへんは石山本願寺の元だからか賑わっているな。」
「確かに賑わいは多いが、この分では殿のお膝元である伊勢のほうが賑わっているように思うがな。」
「伊勢には利に聡い者が集まっているが、こっちは信仰心にあつい人が多いんじゃないかな。利益に走るなら堺にでも行くだろうし。」
「それだけ一向宗が根強い門徒を抱えていると言うことじゃな。」
「だからこそ、顕如殿も頭を悩ませなければならないんだよ。多くの信徒がいる一向宗の法主様だからね。」
「それを言うならば殿も領民や家臣のことを考えて行動されておる。同じことよ。」
丹波はそう言って笑った。
「そのようなものであれば、私一人でもよろしいのでは?」
「いや、直政が必要になる。連れて行きなさい。」
「わかりました。」
刹那は南谿和尚への書状を書くと直虎と直政を向かわせた。
「これで、今回の件うまくいくはずだ。」
刹那の企てから一月後、刹那は本願寺にて本願寺顕如と密会を行っていた。
「お初にお目にかかります。徳川家家臣、神威刹那と申します。」
「石山本願寺、法主の顕如にございます。この度は足をお運びいただきありがとうございます。」
「こちらこそ、お目通りくださり光栄にございます。」
「神威様におきまして多大なるご寄進ありがとうございました。門徒達も喜んでおります。」
「いえ、徳川家にも門徒はたくさんおりますれば。」
「しかし、よろしいので?我らは今徳川家の盟友である織田家と敵対しております。そのような状況で我らに資金を流すことは織田家と徳川家の不和を起こすことになるのでは。」
「ええ、そうなる可能性は大きいかもしれません。しかし、本願寺と織田家が揉めているのは織田家が神社、仏閣を蔑ろにしたことが原因だと思います。」
「はい。我ら石山本願寺は多くの門徒の声により織田家と敵対することを選びました。我らの力ではあそこまで大きくなった武家と争って勝てることはほぼ不可能でしょう。しかし、そのために門徒を見殺しには私は法主としてできません。」
「わかります。私も私の家に仕えてくれている家臣の願いをできるだけ叶えたい。そして困っているなら当主として手を差し伸べてやりたいと考えております。」
「そう言っていただけて感謝致します。ですので、我らが織田家と争うことをやめることをできないのはお分かりいただけますでしょうか。」
「はい。しかし、そのことで顕如殿に提案があり、お会いする機会を作ったのです。」
「お願いとはなんでしょうか。多大なご寄進を下さった神威殿の頼みであれば、できるかぎりお力をお貸しするつもりでおりますが。」
それから刹那はある策を顕如に提示した。
「石山本願寺を我が領地である大和の国に移設していただきたいのです。」
刹那の驚きの提案を聞いた顕如は一度言葉を失った。
「かっ、神威殿。もう一度言っていただけますか?」
「石山本願寺を我が領地である大和の国に移していただきたい。」
「そっ、それは本気で申されておるのですか?」
「はい。」
顕如の問いに刹那は返事をしながら首を縦に振った。
「神威殿は我らにこの地を捨てよと申されるのですか!!」
「そうなりますね。しかし、顕如殿がここにこだわるのは地理的条件が優れているからなのではないでしょうか。それは本来信仰には関係ないはずです。」
「確かに信仰には関係ありませんが、すでにこの地は一向宗の門徒には聖地となっておる場所。そう簡単に移動などできませぬ。」
「確かにそうかもしれません。しかし、そのこだわりのために今、門徒達を危険に晒している。この現状を門徒を思う顕如殿は見過ごせますか?」
「しかし・・・。石山本願寺は総本山として象徴でなければなりません。」
「そこに関しては日の本の国が大和と呼ばれていたこともあるように大和の国に総本山があるとなればそれだけでも一向宗の権威は大きなものになるのではないでしょうか?」
「確かに土地で言えばそうでしょうが、今の規模の寺を築くのは莫大な資金がかかります。」
「そこに関してはお任せを。移動してくださるのであれば、その費用はすべて神威家がまかないましょう。幸い当家にはそれを可能にするだけの資金が蓄えてございます。」
「まっ、誠にそこまでしていただけるのですか?」
顕如が驚くのも無理はない。石山本願寺の規模の寺を築き、移動にかかる資金を出すということは大大名であっても数年分の予算をすべて使わなくてはできないことである。それを請け負うというのだから思わず言葉を失う。
「はい。徳川家の門徒のためにもそのほうが良いと思いますので。」
「この話、私一人の一存では決めかねますので、一度話し合わせていただきたく思います。」
「わかりました。数日城下のほうに滞在させていただきますので、まとまり次第お教えください。」
「わかりました。決まり次第お知らせに伺います。」
石山本願寺移設の話を終えた刹那は城下の宿で話し合いが終わるまでの間休息を取った。
顕如との会談の翌日、刹那は丹波と共に本願寺の城下を散策していた。
「やはり、ここらへんは石山本願寺の元だからか賑わっているな。」
「確かに賑わいは多いが、この分では殿のお膝元である伊勢のほうが賑わっているように思うがな。」
「伊勢には利に聡い者が集まっているが、こっちは信仰心にあつい人が多いんじゃないかな。利益に走るなら堺にでも行くだろうし。」
「それだけ一向宗が根強い門徒を抱えていると言うことじゃな。」
「だからこそ、顕如殿も頭を悩ませなければならないんだよ。多くの信徒がいる一向宗の法主様だからね。」
「それを言うならば殿も領民や家臣のことを考えて行動されておる。同じことよ。」
丹波はそう言って笑った。
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