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第六章~徳川の世への布石作り~
三好、朝倉、滅びるってよ5
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そんな会話をしながら顕如からの連絡が来るまでの間、刹那は丹波を護衛に石山本願寺のお膝元を散策するのだった。
顕如との会談から3日が経ったある日、刹那が泊まる宿に石山本願寺から使いの者がやってきた。
「お初にお目にかかります。私は石山本願寺で坊官を務めております、下間頼廉と申します。」
「徳川家筆頭家老の神威刹那です。下間殿が参られたということは顕如殿の心が決まったと言うことでよろしいですかな?」
「はい。これより、共に本願寺へおいでくださりませ。法主様がお話したいことがあるとのことでございます。」
「わかりました。本願寺へ向かいましょう。」
刹那は頼廉に連れられて再度石山本願寺へと脚を運んだ。
「神威殿、お待たせいたしまして申し訳ございませんでした。」
「いえ、決め難いことを申し出たのは理解しておりますので。して、どのようにお決まりになりましたか。」
刹那の問いに顕如は頭を下げて、
「この石山本願寺総本山を大和の国に移設させていただきます。どうぞよしなによろしくお願い申しあげます。」
「ご英断ありがとうございます。さぞかし頭を痛めたこととお察し致します。大和での新たな総本山は立派なものを建てさせますゆえ、ご心配はさせませぬ。」
「どうぞよろしくお願い申しあげます。ならびにこの石山の地を神威殿にお渡ししたいと思っておりますが、どうか治めてくださらないでしょうか。」
「私でよろしいのですか?」
「はい、神威殿は領民思いの領主だという噂はお聞きしております。石山の地で商いを続ける者達もあるでしょう。その者達のことも考えると神威殿に託すのが一番良い方法だと思い至りました。どうか、よろしくお願い致します。」
顕如はそう言って再度頭を下げた。
「わかりました。石山の地は私が治めさせていただきます。ご安心を。」
「ありがとうございます。」
「顕如殿、大和に移りし後もぜひ石山へはお越し下さいね。ここにいる者は皆、法主様を慕ってこちらで生活を営んでいるのでしょうから。」
「わかりました。たまにはこちらに越させていただきます。」
こうして、石山本願寺は刹那の行動により大和の国に移設することが決定した。
これにより石山の地は刹那が治めるところとなった。
刹那が石山本願寺を大和の国に移設させ、多くの門徒も大和の国に住めるように手配を開始してから数ヶ月すると驚くことが起こり始めた。
「信長様、ご報告がございます。」
「どうした。騒々しい。」
小姓の一人がある手紙を信長に手渡した。
それは越前を任せた織田家筆頭家老、柴田勝家からの書状だった。
「なんだとっ!!蘭丸。すぐに兵を集めよ。越前へ行くぞ!!」
信長はそう言うとすぐに集められるだけの兵を率いて勝家のいる越前へと向かった。
「大殿、お待ちしておりました。」
「勝家、あの書状のこと、誠なのだろうな。」
「はい、信じられないでしょうが誠にございます。加賀に物見を放ち確認させました。」
「加賀の一向衆が加賀を捨てていなくなっただと。」
「大和の国に密かに移ったのではと。」
そう、勝家の読みは正しかった。
大和の国に本願寺が移設された後の刹那の本願寺への対応を聞いた加賀の一向衆がこぞって加賀を捨てて大和へと移って行ったのである。
それにより加賀の一向衆は瓦解して加賀をまとめる勢力はいなくなっていたのである。
「勝家、一先ず警戒をしたまま加賀を抑えよ。もしかしたらまだ一向衆が息を潜めているやもしれぬ。」
「はっ。」
信長がそう指示を出すと勝家は速やかに加賀を抑えた。
信長の警戒した一向衆からの抵抗はすべての一向衆がいなくなっているだからあるわけもなく加賀は織田家の治めるところと落ち着いた。
一方大和の国に移設した本願寺では顕如と刹那がお茶を酌み交わしていた。
「顕如殿、この新本願寺はいかがでしょうか。ご不満などは門徒から出てはいませんか?」
「ほっほっ、このような立派なものをおつくりいただいて不満を申す者など仏より罰が当たりますよ。皆、石山にいた頃よりも修行に精進しております。」
「そうですか、それはよかったです。こちらに移設することを決心していただいたのですから石山の頃よりも悪くなっては申し訳ないと思っておりましたので、そのように言っていただけてよかったです。」
「神威殿、これからも何かあればお願いすることがあるでしょうが、どうぞよろしくお願い致します。」
「はい。私にできることならお力になりましょう。それが我が徳川家のためにもなりますので。」
「ありがとうございます。私どもも神威殿のお力にならせていただきますので、何かあればいつでもお申し付けください。」
「ありがとうございます。ではぜひ一つお願いしたいことがあるのですがよろしいでしょうか。」
「はいなんでございましょうか。」
顕如がそう言うと刹那は顕如に一つの書状を渡した。
「これを毛利の安国寺殿に渡したいのですが、顕如殿に口添えをお願い致したいのです。」
顕如はその書状を受け取ると
「わかりました。この書状に私が書状をしたためて一緒に門徒に届けさせましょう。」
「ありがとうございます。」
「神威殿のことです、戦を避けるための書状なのでしょう?」
「お見通しですか。私も多くの家臣の命を預かる身です。できるだけ戦はしたくないので。」
そう、刹那が頼んだ書状とは秘密裏に毛利との繋がりを持つために毛利の外交僧である安国寺恵瓊を神威領へと案内する招待状であった。
霧山御所に戻った刹那は家康へ現在の状況とこれからの予想をしたためた書状を書き配下に届けるように指示を出し政務へととりかかったのであった。
(この書状を読めば殿もこれから先にどのようなことが起こるか、徳川はどう動かなければならないかを理解してくれるだろう。そうなれば後は筆頭家老である俺が殿を支えて史実よりも早く天下人にできるように動くのみだ。)
そう心で思う刹那ではあったが、懸念がないわけではない。
刹那が考えていることが現実になるかどうかこの時の刹那にはわかるはずもなかった。
顕如との会談から3日が経ったある日、刹那が泊まる宿に石山本願寺から使いの者がやってきた。
「お初にお目にかかります。私は石山本願寺で坊官を務めております、下間頼廉と申します。」
「徳川家筆頭家老の神威刹那です。下間殿が参られたということは顕如殿の心が決まったと言うことでよろしいですかな?」
「はい。これより、共に本願寺へおいでくださりませ。法主様がお話したいことがあるとのことでございます。」
「わかりました。本願寺へ向かいましょう。」
刹那は頼廉に連れられて再度石山本願寺へと脚を運んだ。
「神威殿、お待たせいたしまして申し訳ございませんでした。」
「いえ、決め難いことを申し出たのは理解しておりますので。して、どのようにお決まりになりましたか。」
刹那の問いに顕如は頭を下げて、
「この石山本願寺総本山を大和の国に移設させていただきます。どうぞよしなによろしくお願い申しあげます。」
「ご英断ありがとうございます。さぞかし頭を痛めたこととお察し致します。大和での新たな総本山は立派なものを建てさせますゆえ、ご心配はさせませぬ。」
「どうぞよろしくお願い申しあげます。ならびにこの石山の地を神威殿にお渡ししたいと思っておりますが、どうか治めてくださらないでしょうか。」
「私でよろしいのですか?」
「はい、神威殿は領民思いの領主だという噂はお聞きしております。石山の地で商いを続ける者達もあるでしょう。その者達のことも考えると神威殿に託すのが一番良い方法だと思い至りました。どうか、よろしくお願い致します。」
顕如はそう言って再度頭を下げた。
「わかりました。石山の地は私が治めさせていただきます。ご安心を。」
「ありがとうございます。」
「顕如殿、大和に移りし後もぜひ石山へはお越し下さいね。ここにいる者は皆、法主様を慕ってこちらで生活を営んでいるのでしょうから。」
「わかりました。たまにはこちらに越させていただきます。」
こうして、石山本願寺は刹那の行動により大和の国に移設することが決定した。
これにより石山の地は刹那が治めるところとなった。
刹那が石山本願寺を大和の国に移設させ、多くの門徒も大和の国に住めるように手配を開始してから数ヶ月すると驚くことが起こり始めた。
「信長様、ご報告がございます。」
「どうした。騒々しい。」
小姓の一人がある手紙を信長に手渡した。
それは越前を任せた織田家筆頭家老、柴田勝家からの書状だった。
「なんだとっ!!蘭丸。すぐに兵を集めよ。越前へ行くぞ!!」
信長はそう言うとすぐに集められるだけの兵を率いて勝家のいる越前へと向かった。
「大殿、お待ちしておりました。」
「勝家、あの書状のこと、誠なのだろうな。」
「はい、信じられないでしょうが誠にございます。加賀に物見を放ち確認させました。」
「加賀の一向衆が加賀を捨てていなくなっただと。」
「大和の国に密かに移ったのではと。」
そう、勝家の読みは正しかった。
大和の国に本願寺が移設された後の刹那の本願寺への対応を聞いた加賀の一向衆がこぞって加賀を捨てて大和へと移って行ったのである。
それにより加賀の一向衆は瓦解して加賀をまとめる勢力はいなくなっていたのである。
「勝家、一先ず警戒をしたまま加賀を抑えよ。もしかしたらまだ一向衆が息を潜めているやもしれぬ。」
「はっ。」
信長がそう指示を出すと勝家は速やかに加賀を抑えた。
信長の警戒した一向衆からの抵抗はすべての一向衆がいなくなっているだからあるわけもなく加賀は織田家の治めるところと落ち着いた。
一方大和の国に移設した本願寺では顕如と刹那がお茶を酌み交わしていた。
「顕如殿、この新本願寺はいかがでしょうか。ご不満などは門徒から出てはいませんか?」
「ほっほっ、このような立派なものをおつくりいただいて不満を申す者など仏より罰が当たりますよ。皆、石山にいた頃よりも修行に精進しております。」
「そうですか、それはよかったです。こちらに移設することを決心していただいたのですから石山の頃よりも悪くなっては申し訳ないと思っておりましたので、そのように言っていただけてよかったです。」
「神威殿、これからも何かあればお願いすることがあるでしょうが、どうぞよろしくお願い致します。」
「はい。私にできることならお力になりましょう。それが我が徳川家のためにもなりますので。」
「ありがとうございます。私どもも神威殿のお力にならせていただきますので、何かあればいつでもお申し付けください。」
「ありがとうございます。ではぜひ一つお願いしたいことがあるのですがよろしいでしょうか。」
「はいなんでございましょうか。」
顕如がそう言うと刹那は顕如に一つの書状を渡した。
「これを毛利の安国寺殿に渡したいのですが、顕如殿に口添えをお願い致したいのです。」
顕如はその書状を受け取ると
「わかりました。この書状に私が書状をしたためて一緒に門徒に届けさせましょう。」
「ありがとうございます。」
「神威殿のことです、戦を避けるための書状なのでしょう?」
「お見通しですか。私も多くの家臣の命を預かる身です。できるだけ戦はしたくないので。」
そう、刹那が頼んだ書状とは秘密裏に毛利との繋がりを持つために毛利の外交僧である安国寺恵瓊を神威領へと案内する招待状であった。
霧山御所に戻った刹那は家康へ現在の状況とこれからの予想をしたためた書状を書き配下に届けるように指示を出し政務へととりかかったのであった。
(この書状を読めば殿もこれから先にどのようなことが起こるか、徳川はどう動かなければならないかを理解してくれるだろう。そうなれば後は筆頭家老である俺が殿を支えて史実よりも早く天下人にできるように動くのみだ。)
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