チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第六章~徳川の世への布石作り~

ついに来ますか、本能寺でのキャンプファイヤー

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神威からの書状を僧侶経由で受け取った恵瓊は迷っていた。

「あの神威刹那からわしに書状とはどうゆうことだ。なんの意図が込められた書状だというのだ。」

畿内でもっとも有名な人物である刹那からの突然の書状に恵瓊は封を開けることさえためらっていた。

「こうしていてもきりがない。かと言って中身を確認する前に殿にお見せするわけにもゆくまい。」

恵瓊は意を決して書状を読んだ。

最初は怖々とした顔で読んでいた恵瓊だったが、読み進めるにつれてその顔には高揚が見て取れた。

「まさか、このわしを大和の国に招待したいとは。噂に聞いていた新たな本願寺を見ることができるのか。」

毛利家の家臣とはいえ、僧侶である恵瓊にとって本願寺は訪れてみたい寺としてずっと思っていたほどの場所であった。

石山にあった本願寺よりもすごいと噂が出るほどの大和の国の新本願寺に行きたいと思っていても他家の領地であったため行くことを諦めていた。しかし、その領主である刹那直々の招待とあれば喜ばないわけがなかった。

「今すぐに殿にこのことを伝え許しをもらわねば。」

恵瓊はそう決心するとすぐに毛利家当主毛利輝元に話をし、自分が大和の国に行くことのメリットを説明し許可を得た。

輝元を補佐している吉川元春には徳川領に行くことを軽く反対されたが、小早川隆景が賛同してくれたために無事に大和へと向かうことができた。

恵瓊はすぐに書状を書くと僧侶に頼み刹那へと返事を送った。

書状を書いた後、自分が行わなければならないことを素早く数日で終わらせ大和へと向かったのである。

刹那が恵瓊に書状を送ってから一月後、大和の国に安国寺恵瓊の姿があった。

「ようこそ安国寺恵瓊殿、お初にお目にかかります。徳川家筆頭家老、神威刹那です。」

「お初にお目にかかります。毛利家外交僧を務めております安国寺恵瓊です。この度は大和へのご招待ありがとうございます。」

「いえ、恵瓊殿とお話をしてみたかったのでお呼びできないかと考えておりまして。来ていただいて感謝でございます。」

「名高い神威殿にそう仰っていただけるとは光栄の極みでございます。この拙僧のようなものでよろしければいくらでもお話させていただきます。」

その後刹那は恵瓊を連れて新本願寺を案内したり、城下を回って見せた。

新本願寺などをゆっくりと時間をかけて見物した恵瓊は夕餉を刹那、顕如と共に過ごしていた。

「いやぁ、私もまだまだ勉強不足だったと思い知らされる一日でした。」

「喜んでいただけたならよかったです。」

「僧侶達もこちらに来てからより一層修行に精進しておりますよ。」

「確かにこれほどの場所であれば僧侶達も修行が捗ることでしょう。」

「はい。お恥ずかしながら石山の頃は皆の心に慢心や堕落があったと思いますが、ここに来てからは皆気持ちを入れ替えて修行に取り組んでおります。もちろん、この私も。」

顕如はそう微笑みながら話した。

「これも顕如殿が皆を説得してくださったからだと思っております。」

「なんの、皆のためになることだと思いましたのでお受けさせていただいただけのことでございます。この顕如、刹那殿には感謝の気持ちしかございません。」

夕餉が進む中、ふと恵瓊が刹那に書状を二枚差し出した。

「恵瓊殿、この書状は?」

「一つは我が主、毛利家当主毛利輝元より刹那殿への書状。もう一つは小早川隆景殿個人から刹那殿にと預かった書状にございます。」

「そうですか。この場でお渡しになると言うことは公にするものではないと言うことでよろしいですかな?」

「はい。そのように思っていただいて差し支えありません。夕餉の席に合わぬことを致しました、申し訳ございません。」

「ささ、恵瓊殿、刹那殿もう少しお話を致しましょう。せっかくの夕餉の時にございますよ。」

顕如のその一言でまた楽しい夕餉へと戻った。

その後も夕餉は続き、恵瓊は新本願寺へと泊まった。

大和での宿としている郡山城へと戻ってきた刹那は郡山城城主を務める島左近と共に恵瓊から渡された2枚の書状を確認していた。

「ほう、なるほど。」

毛利家当主毛利輝元からは此度の恵瓊招待へのお礼とこれからは誼を通じたく思っていることを家康に伝えてほしいとの内容が。

「ふっ、さすがは小早川隆景と言うべきか。」

「いかがなさいましたか?」

刹那は読み終えた書状を左近に手渡した。

「ほぉ、これはこれは。」

この小早川隆景の手紙がこれからの徳川と毛利の関係性を大きく動かす手紙になるとはこの時、知る者は三人しかいなかった。

刹那は2つの書状にそれぞれ返書をしたためて翌日、恵瓊に返書を託した。

それから数日、新本願寺を堪能した恵瓊は刹那から渡された神威領名物をたくさん持って、毛利領へと帰って行った。

「ふう、これで毛利とも友好関係を築けるはずだ。」

「えぇ、あれだけの歓迎をされ、土産物まで渡されているのです、毛利輝元や吉川元春、小早川隆景が大馬鹿者でない限り我らと敵対しようと考えはしないでしょう。」

「もし、輝元と元春が徳川に敵対しようとしたとしても隆景が止めるだろよ。」

その刹那の言葉に左近は、

「ふっ、それもそうですな。して、殿、これからいかように動かれるので?」

「あぁ、まずは領内の兵力の配置を密かに変える。これは左近に任せたい。」

「はっ、お任せください。」

「その間に俺は殿の元へ行きこれからのことについて話してくるさ。」

「そうですな。大殿に殿の行動の理由を理解しておいてもらわねばその後の行動が遅れてしまいますからな。」

「あぁ。遅れてしまったらあのお猿さんが踊りだすぞ。」

「そうはさせず、きぃきぃ鳴いてもらいましょうぞ。」

それから刹那は家康の元へ、左近は霧山御所へ向かい直虎と共に領内の兵の配置転換を秘密裏に実行した。

「殿、以前より文でお話しておりました件。そろそろ起きるのではないかと丹波の部下より知らせが参りました。」

「本当に来てしまうのか・・・・。」

「はい。信長殿の暗殺が。」

「わかった。わしは予定通り手を出さずに信長殿が死ぬのを待てば良いのだな。」

「はい。丹波より知らせが入るまでは。」

「わかった。して、連絡が来た後はすぐに軍をまとめて仇討ちと称して織田領へと進軍するのだな?」

「そのとおりにございます。親交の深い殿であれば、信長殿の仇討ちをしても周りの者は殿を褒めるだけで疑うものはいないでしょう。」

「すべて差配は刹那に任せて良いな?」

「はい。万事整えておきましょう。」

それから刹那は毛利との誼を通じており、西の備えは問題ないことを家康に伝え自身は本能寺の変への準備をするために霧山御所へと戻ったのであった。

霧山御所に戻った刹那は神威家の重臣達を集めた。

「丹波、信長殿、光秀殿の動きには注意せよ。また、遠方ではあるが、羽柴秀吉の動きにも目を光らせるのだ。」

「承知。」

「皆、これから織田家は荒れる。その一瞬の隙を見逃すなっ!!」

「「「「「はっ!!」」」」」
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