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第七章~織田家崩壊~

家中不和2

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刹那から兵3000を借りた信孝はすぐに三法師のいる清洲城へと兵を進めた。

神威軍の統率が優れているため、3日はかかる道のりを半分の時間で駆けつけることができた。

「織田信孝である。織田三法師殿に会いに来た。開門せよ。」

信孝が門前でそう言うと清洲城はすぐに開門した。

しかし、清洲城から出てきた来たのは三法師の後見人の一人である柴田勝家であった。

「信孝様。お待ちしておりました。」

「勝家か、三法師はいかがした!!」

「そのことでお話がございます。どうぞ中へお入りください。」

信孝は勝家に促され、清洲城へと歩みを進めたが勝家の雰囲気から良からぬことが起きているのを察したのである。

勝家は信孝を大広間の上座に座らせると頭を下げて話し始めた。

「申し訳ございません信孝様。有楽斎が裏切りました!!」

衝撃の人ことに信孝の返答が少し遅れた。

「勝家、どうゆうことだ!!有楽斎が裏切っただと!!」

「はっ。秀吉の動きを掴んだわしが三法師様をお守りするために清洲城へと赴くと、三法師様のお姿はなく、兵に確認したしたところ数日前に有楽斎が訪れてきて三法師様をどこかへ連れて行ったとこのことにございます。」

「しかし、それだけでは有楽斎が本当に裏切ったとの証拠にはなるまい。もしかしてどこかへ三法師を避難させているだけやもしれぬではないか。」

「有楽斎は最近、密かに猿の配下、黒田官兵衛と密談をしていたという噂があるのでございます。」

「では、その密談で三法師の身柄の確保の話をしていたと。」

「その可能性は極めて大きいかと。」

「くそっ。あの猿めっ!!」

「信孝様、いかがいたしましょう。」

「織田家の現当主は三法師だ。その身柄を猿が抑えているとしたら正当性は猿に出てしまう。ここで我らが三法師を取り戻すためと公に軍を上げればそれこそ我らが謀反人。わしだけなら良いが、わしの味方をした者もすべて世間から謀反人だと悪評が流れてしまう。」

「わしは信孝様がそのおつもりなら、信孝様に付き従うのみにございます。」

「勝家、お前の気持ちは嬉しく思う。しかし、お前は織田家の筆頭家老。三法師を当主とした以上はお前には三法師のそばにいてほしいというのが私の思いだ。」

「信孝様・・・。」

「まずは有楽斎が本当に猿の元へと行ったのかの確認と猿に味方している織田家家臣が誰なのかを確認する必要があろう。」

信孝がそう言うと勝家は自分が掴んでいる情報を説明した。

その情報はまず、織田家の勢力図は7割が秀吉側に付いている。
こちら側の勢力は前田利家、佐々成政、滝川一益、柴田勝家、佐久間盛政らくらいであること。
有楽斎の情報に関しては何も掴んではいなかった。

「予想以上に猿め、用意周到にことを進めているな。」

「申し訳ございませぬ。神威殿や信孝様のおかげで三法師様を当主とすることが叶いましたのにこのような不始末を行ってしまいました。」

「過ぎたことを言っても仕方があるまい。」

「勝家よ。お主はこれよりどうしたい。」

「どうしたいと申しますと?」

「猿が悔しいが知恵の回る男だ。それに参謀には黒田官兵衛なる男もおる。師匠の話では相当の切れ者のようだ。しかも織田家の家臣のほとんどが猿側についておる。戦力を見ても将の有能さを見てもこちらが勝てる見込みはほぼないと言って良いであろう。」

「そっ、それはその通りでございますが。かっ、神威殿に援軍をお願いすればっ。」

「師匠は動かぬ。私に兵を与えたのがそのいい証拠だ。織田家の義理を果たすのは前回の清洲での会議で終わっておる。あのお方は徳川家の利になることをするお方だ。しかし、今回は織田家内部のこと。徳川の利になることなどありはしない。むしろ三法師の身柄を抑えている猿を相手に戦をすれば徳川は同盟相手を襲う裏切り者の家ということになってしまう。」

「猿はそこまで考えて今回の行動に。」

「であろうな。清洲で自分が思うように話が進まなかった時から猿はこの時のことを考えて行動してきたのであろう。勝家が三法師の領地と自分の領地の統治にいっぱいいっぱいになっている隙を狙ってな。」

「全ては猿の手のひらで踊らされていたという事か!!」

「悔しいがな。だが、悔しがって立ち止まっている時間もないぞ。猿のことだ次の行動は。」

信孝がそう言うと勝家も気付いたようで、

「三法師様の領地を占有すること。」

「ああ。おそらくは今既に安土城や近江の坂田郡あたりには猿の軍が入っている頃であろうな。そして、次は岐阜やここ、清洲にも軍を進めてくるであろう。」
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