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第七章~織田家崩壊~
家中不和4
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「勝家にもそれを言われたが、今回は織田家内部の問題だ。師匠は手を出さん。我らのみで事を解決せねばならん。」
「しかし、このままでは秀吉が我らを謀反人として攻めてくる可能性があるのでは?」
「利家の申す通りと存じます。」
利家の意見に一益、成政が賛同した。
「そうかもしれぬな。今のうちにここを去り、秀吉の元へ行けば命は助かると私は思うぞ。」
信孝がそう言った。
それを聞いた勝家が、
「信孝様、ここにおる者はそのような者ではありませぬ!!全ては信孝様がおられるからこそ!!わしはけして信孝様を裏切ったりはいたしませぬ。」
その勝家の声に皆が賛同する。
「俺も、秀吉は友だが、今のあいつのやりかたは好きじゃない。信孝様に手をかけようとするならば俺があいつをぶっ倒す。」
秀吉の友である利家もそう声を大にして述べた。
「皆の気持ち、この信孝嬉しく思うぞ。皆にそこまで言われては私も行動せねばならんな。」
信孝はそう言うと小姓に筆と硯などを用意させ、書状を二通書いた。
「勝家、利家。」
「「はっ。」」
「勝家はこれを家康様に。利家はこれを刹那様に届けてくれ。必ず、お前たちの手からだ。良いな。」
「「はっ!!」」
信孝の堂々たる立ち居振る舞いに二人は何も言えずに返事をするしかできなかった。
「では、成政と盛政は自国に戻り兵をいつでも動かせるようにしたく致せ。秘密裏にな。
」
「「承知!!」」
それぞれに指示を出した信孝は一人その場に残り、
「良し、これで皆には思うように動いてもらえるようにした。後は織田信長の子である私の役目よな。」
安土に入り、地盤固めをしていた秀吉の元に思わぬ知らせが入ってきた。
「秀吉様、一大事にございます。」
「どうした官兵衛、神威が動いたか!!」
「いっ、いえ、神威家は普段と変わらずにございます。」
「ならばそこまで焦る必要はあるまい。神威が動いていないのであれば今わしの敵になるのはおらんはずだ。」
「それが、この安土に信孝様が参っておるのです。」
「なっなにぃぃぃぃぃ!!」
あまりのことに秀吉もさすがに驚きを隠せなかった。
「信孝様が来ただと!!兵はどれだけいる?」
「それが、兵は供回りの数名だけです。」
「はっ?それでは殺されに来たようなものではないか!!」
「はい。それで殿に会わせろと申しておりますが、いかがいたしましょう。」
「お通ししないわけにはいくまい!!」
いくら秀吉が織田家の中で大きな戦力を得ようが秀吉が織田家の重臣であることに変わりはなく、前当主である織田信長の子であり、当主候補でもあった人物で、現当主の叔父にあたる信孝が軍を率いずに一人で来たとなっては無下にはできない。
秀吉は下座で平伏しながら信孝が来るのを待った。
信孝は通された部屋で秀吉が平伏しているのを見ると空いている上座へと座った。
「秀吉、久しいな。」
「はっ、信孝様におかれましてはご健勝のことお慶び申し上げます。」
「うむ、三法師がここにいると聞いてな、叔父として会いに来たのだ。秀吉よ、三法師はどこにおるのだ?」
「(どうする・・・。)・・・・・・。」
「いかがした、汗をそんなにかいて。」
「いっ、いえ、なんでもございませぬ。」
「さっ、三法師様は現在別室にておやすみにございます。いや、清洲からのここまでの道中、まだ幼少であられる三法師様には長い旅だったようで、おつかれなのでしょう。」
「そうか、ではその寝顔でも見に行くとするか。」
「おっ、お待ちください!!」
秀吉は必死の形相で信孝が席を立とうするのを止めた。
「なんだ?」
信孝の放つ威圧感に冷や汗の出る秀吉はまた平伏して、
「いっ、いくら叔父上であろうと殿のおやすみをお邪魔するのはいかがなものでございましょうか!!」
「ふむ。秀吉の言うことにも一理あるな。」
信孝はそう言って座り直した。
「でっ、では!!」
秀吉は信孝が諦めて安土を出て行くと思いホっとした。
「三法師が起きるまで別の部屋で待つとしよう。」
「そっ、それがよろし・・・えっ。今、なんと?」
「三法師が起きるまでほかの部屋で待つと言ったがなにか問題でもあるのか?」
信孝は睨みながら言った。
「いっ、いえ、いえいえ、滅相もございませぬ。すぐに部屋を用意致します。」
秀吉はそう言うとすぐにその場を後にして、信孝に部屋をあてがうように兵に指示を出した。
自室に戻ってきた秀吉の冷や汗を垂らした顔を見て官兵衛が、
「殿っ、どうなされた。酷い顔ですぞ。」
「のっ、信孝様が三法師に会うまで帰らぬつもりじゃ。」
「そんなもの、何か言いくるめておかえりいただけば良いのでは?」
「しかし、このままでは秀吉が我らを謀反人として攻めてくる可能性があるのでは?」
「利家の申す通りと存じます。」
利家の意見に一益、成政が賛同した。
「そうかもしれぬな。今のうちにここを去り、秀吉の元へ行けば命は助かると私は思うぞ。」
信孝がそう言った。
それを聞いた勝家が、
「信孝様、ここにおる者はそのような者ではありませぬ!!全ては信孝様がおられるからこそ!!わしはけして信孝様を裏切ったりはいたしませぬ。」
その勝家の声に皆が賛同する。
「俺も、秀吉は友だが、今のあいつのやりかたは好きじゃない。信孝様に手をかけようとするならば俺があいつをぶっ倒す。」
秀吉の友である利家もそう声を大にして述べた。
「皆の気持ち、この信孝嬉しく思うぞ。皆にそこまで言われては私も行動せねばならんな。」
信孝はそう言うと小姓に筆と硯などを用意させ、書状を二通書いた。
「勝家、利家。」
「「はっ。」」
「勝家はこれを家康様に。利家はこれを刹那様に届けてくれ。必ず、お前たちの手からだ。良いな。」
「「はっ!!」」
信孝の堂々たる立ち居振る舞いに二人は何も言えずに返事をするしかできなかった。
「では、成政と盛政は自国に戻り兵をいつでも動かせるようにしたく致せ。秘密裏にな。
」
「「承知!!」」
それぞれに指示を出した信孝は一人その場に残り、
「良し、これで皆には思うように動いてもらえるようにした。後は織田信長の子である私の役目よな。」
安土に入り、地盤固めをしていた秀吉の元に思わぬ知らせが入ってきた。
「秀吉様、一大事にございます。」
「どうした官兵衛、神威が動いたか!!」
「いっ、いえ、神威家は普段と変わらずにございます。」
「ならばそこまで焦る必要はあるまい。神威が動いていないのであれば今わしの敵になるのはおらんはずだ。」
「それが、この安土に信孝様が参っておるのです。」
「なっなにぃぃぃぃぃ!!」
あまりのことに秀吉もさすがに驚きを隠せなかった。
「信孝様が来ただと!!兵はどれだけいる?」
「それが、兵は供回りの数名だけです。」
「はっ?それでは殺されに来たようなものではないか!!」
「はい。それで殿に会わせろと申しておりますが、いかがいたしましょう。」
「お通ししないわけにはいくまい!!」
いくら秀吉が織田家の中で大きな戦力を得ようが秀吉が織田家の重臣であることに変わりはなく、前当主である織田信長の子であり、当主候補でもあった人物で、現当主の叔父にあたる信孝が軍を率いずに一人で来たとなっては無下にはできない。
秀吉は下座で平伏しながら信孝が来るのを待った。
信孝は通された部屋で秀吉が平伏しているのを見ると空いている上座へと座った。
「秀吉、久しいな。」
「はっ、信孝様におかれましてはご健勝のことお慶び申し上げます。」
「うむ、三法師がここにいると聞いてな、叔父として会いに来たのだ。秀吉よ、三法師はどこにおるのだ?」
「(どうする・・・。)・・・・・・。」
「いかがした、汗をそんなにかいて。」
「いっ、いえ、なんでもございませぬ。」
「さっ、三法師様は現在別室にておやすみにございます。いや、清洲からのここまでの道中、まだ幼少であられる三法師様には長い旅だったようで、おつかれなのでしょう。」
「そうか、ではその寝顔でも見に行くとするか。」
「おっ、お待ちください!!」
秀吉は必死の形相で信孝が席を立とうするのを止めた。
「なんだ?」
信孝の放つ威圧感に冷や汗の出る秀吉はまた平伏して、
「いっ、いくら叔父上であろうと殿のおやすみをお邪魔するのはいかがなものでございましょうか!!」
「ふむ。秀吉の言うことにも一理あるな。」
信孝はそう言って座り直した。
「でっ、では!!」
秀吉は信孝が諦めて安土を出て行くと思いホっとした。
「三法師が起きるまで別の部屋で待つとしよう。」
「そっ、それがよろし・・・えっ。今、なんと?」
「三法師が起きるまでほかの部屋で待つと言ったがなにか問題でもあるのか?」
信孝は睨みながら言った。
「いっ、いえ、いえいえ、滅相もございませぬ。すぐに部屋を用意致します。」
秀吉はそう言うとすぐにその場を後にして、信孝に部屋をあてがうように兵に指示を出した。
自室に戻ってきた秀吉の冷や汗を垂らした顔を見て官兵衛が、
「殿っ、どうなされた。酷い顔ですぞ。」
「のっ、信孝様が三法師に会うまで帰らぬつもりじゃ。」
「そんなもの、何か言いくるめておかえりいただけば良いのでは?」
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