チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第九章~西国での動き~

西日本大騒動12

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「敵の総大将が何を考えておるかはわからんが、将兵の命が救える可能性があるのであれば会うてみるのも手だと思う。」

「しかし、危険では!」

「既に勝ちが決まっている状態であちらから会いたいと言うのだ、殺すつもりならそのようなことはしないであろう。」

「ですがっ!!」

親泰は親俊を手で制すと

「我こそがこの長宗我部軍の総大将、香宗我部親泰である。神威直虎殿、こちらに来られたし。」

親泰がそう言うと直虎は側近のみを連れて香宗我部親泰の元まで訪れた。
側近のみを連れてきたことに長宗我部軍は驚きを隠せなかった。

兵たちの中には「敵総大将を殺す機会だ。」などと話す者もいたが、親泰は直虎の堂々たる風貌にそのようなことはできなかった。

「お初にお目にかかります。神威家嫡男、神威直虎にございます。」

「長宗我部家家臣、香宗我部親泰にございます。しかし、なぜに徳川家の家臣である神威家の方が河野家の援軍に参られた?」

「河野家は毛利家の庇護下から徳川家の庇護下へと移りました。故に我らが援軍として参った次第にございます。」

「なるほど。して、今回の軍師殿はそちらに控えるお方かな?」

親泰はそう言いながら直虎の後ろに控える吉継を見た。

「この者は当家の家臣、大谷吉継と申す者にございます。お察しの通り、今回の軍師はこの者です。」

「大谷吉継と申します。今回は直虎様を補佐すべく微力ながら軍師を務めさせていただきました。」

「今回は大谷殿にしてやられました。我らを城内へ導き、逃げることを考えさせないようにした後の四方を囲むとは。完敗でござる。して、その完敗した我らに直虎殿はどのようなご要件で参られたのですかな?」

親泰の問いに直虎は、

「降伏を申し込むために参りました。」

そう一言言った。

「ほぉ、あのまま戦えば全滅させることが容易にできたのにわざわざ降伏させようとは。我らに長宗我部領を案内させようとでもお考えになられたか?」

親泰は甘く見られたものだと言わんばかりに睨みを聞かせて直虎を見た。

「いいえ、素直に親泰殿を殺すのが惜しいと思ったからです。あの絶対的状況で軍を何度も立て直した才覚。私は未熟者故にそのような才覚溢れる方に惹かれるのです。故にあなたには死んで欲しくなかった。それだけです。」

直虎の言葉に面を食らった親泰は

「それだけのためにこの5千ほどの軍を全滅させなかったと?撤退すればそのまま神威勢に敵対することがわかっている兵を。」

「確かに長宗我部軍の勢いはすさまじく強い。ですが、私は自分の家臣を信じています。もしこれ以上長宗我部軍が河野領へ侵攻してくるというのであれば私は全力を持って潰すでしょう。しかし、兵のことを思いやれる親泰殿がそのような無謀だとわかっていることを兵にさせるとは思えません。どうか、兵のためにも降伏してくださいませんか?」

「一晩、考える時間をいただきたい。」

そう願いを出した。

普通であれば叶うことがない願いであるが、直虎がすぐに了承した。

さすがに逃亡の危険性があるため、親泰本人は大洲城へと行くことになるが、軍を任された親俊は近くに兵を留めることを決め、親泰が帰ってくるのを待った。

親泰は大洲城に入り、自分が案内された場所を見て驚いた。

「こっ、これはっ!」

「いかがなさいましたかな?」

親泰の反応に案内役の吉継がそう聞いた。

「大谷殿と申したか、連れていく部屋を間違えてはおらぬか?」

「いえ、間違いございませぬが。」

「私は降伏した敵の総大将ですぞ。何故にこのような部屋に留めおく。捕虜となれば置かれるのは牢であろう。」

それに対して吉継は当たり前のように

「香宗我部殿は捕虜ではございません故、牢になど入れませぬ。」

「どうゆうことだ?」

「若が香宗我部親泰殿は大洲城へ訪れた客人である。とおっしゃいましたので、客人のお泊まりする部屋に案内しただけにございます。」

吉継はそう言うと頭を軽く下げて部屋を後にした。

部屋に一人になった親泰は呆然とした後、どかっと座り

「ふっ、これは最早勝てる相手ではなかったと言うことか。」

そう誰にも伝えるわけでもなく小さく呟いた。

翌日、直虎は親泰が来るのを大広間で待っていた。

「香宗我部親泰殿、来られました。」

大洲城の小姓がそう言い襖を開けた。

部屋に入ってきた親泰は座り直虎に頭を下げた。

「親泰殿、お気持ちは決まりましたか?」

直虎がそう言うと親泰は頭を上げて

「1日考え、漸く決心がつきました。」

親泰はもう一度頭を下げると

「香宗我部親泰、これよりは神威直虎様を殿と仰ぎ御奉公させていただきたく思います。」

そう大きな声で宣言した。

直虎は親泰に近付き、肩に手を置きながら

「これからよろしく頼むぞ親泰。」

「はっ。」
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