チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第九章~西国での動き~

西日本大騒動17

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「えっ。」

「私のことをそこまでかってくれたのは信長様のほかに刹那殿が始めてだ。新たな人生を生きろと言うのならその先は自らを必要としてくれる人の元で生きたい。私はそう思うのだよ。まさか、新たな人生を生きよなどと申しておきながらこの死人の願い断る神威刹那殿ではあるまい?」

刹那はニヤリとすると

「これは一本取られましたよ恒興殿。いや、恒興、これよりは我が神威家の家臣となりその手腕を発揮せよ。」

「はっ!」

刹那の人を惹き付ける魅力が災いして、織田家に戻そうと画策した池田恒興は神威家の家臣となった。
これにより有岡城は開城。
池田家の家臣はすべて神威家へと仕えることとなった。
刹那は有岡城攻略を功とする形で恒興を家老へと加えた。

池田恒興が降伏したことを聞いた秀吉は激怒した。

「恒興め、どうして降伏した!」

「神威にそそのかされたのでしょう。」

「くっ、使えないやつだ。官兵衛、この後いかがする?」

「次は私が構えましょう。これ以上神威に好きにはさせませぬ。」

「そうか。官兵衛に任せておけば問題はないな。して、籠城か?」

「はい。我らの兵を無闇に減らすは愚策ですから。」

「わしはこれ以上離反が起こらぬようにほかの織田家家臣だった者のところに行こうと思う。」

「それがよろしいかと。殿は子飼いの信頼できる武将が少ない故にほかから取り込んだ兵をしっかりとまとめなければなりません。」

「では官兵衛、ここは任せたぞ。」

官兵衛は次の防衛線を花隈城として整備を進めていた。
また秀吉はほかに残る織田家より秀吉に付いた諸将のところを回ることになったのである。

「では、これより軍議を始める。」

一方刹那は有岡城で軍議を開いていた。
その中にはもちろん池田恒興の姿もあり、後学のためと恒興の子である池田元助、池田輝政の参加も許されていた。

「この有岡城を落としたことは秀吉にとっては想定外のことであろう。しかもそれでこちらの兵を削れるならそれも悪くないが、むしろこちらの兵は増え、士気も旺盛だ。」

「では、このまま勢いに乗じて花隈城まで攻めこみますか?」

左近がそう言うとそれに賛同する声も多く上がった。

「ふむ。」

刹那が考えていると恒興が、

「勢いに乗じて攻めこむのは危険でございます。」

そう意見した。

「しかし、今我らは凄まじい勢いを有しております。この兵の士気が高い今を逃すことこそ愚策ではないでしょうか?」

直政が恒興に意見した。
直政の意見に長親、利三も賛同した。

「直政殿の申す通りだと私も思いますぞ?」

「この勢いを逃す手はありませぬ。」

神威家にしては珍しく意見が割れた。
刹那はこのことに嬉しく思い笑みがこぼれた。

それに気付いた左近が声をかけた。

「殿、笑みを浮かべていかがしたのですか?」

「いや、当家にしては珍しく意見がハッキリと別れていると思ってな。」

直政達は意見が別れて喜んでいることが理解できず首を傾げていた。

「これまで当家の軍議でここまで二つの意見で割れることはあまり見られなかった。」

「それは皆が最善策を理解していたからでは?」

昌幸がそう答えた。

「確かにそうかもしれん。だが、逆を返せばほかの可能性を捨てていたとも言えるのではないか?」

「なるほど、議論をせぬということはほかにあったであろう道を自ら消していたと。」

天海が納得したように頷いた。

天海のその言葉で直政達も納得したように頷いた。

「皆が意見を持ち、それぞれが当家のためを思って考えたのだ。当主としてこれほど嬉しいことはあるまい?」

「確かにそうですな。」

「特に直政と長親よ。幼き頃より直親の子として見てきた子とのぼうと呼ばれていた長親がここまで物事を深く考えられるようになって私は嬉しいよ。」

「「殿。」」

「して、殿のご意見をそろそろお伺いしても?」

場の雰囲気を戻すためにそう左近が言うと刹那は切り替えて意見を述べた。

「直政達の意見が良いのではないかと思う。」

刹那がそう言うと直政などは頷いた。

「しかし、恒興がそこまで言うのであれば思うところがあってのことだと思うがどうだ?」

「はっ。並大抵の兵が入っているだけであれば直政殿の意見で私もよろしいかと思います。しかし、花隈城に入っているのは、羽柴秀吉が参謀、黒田官兵衛なのでございます。」

それを聞いて官兵衛の強さを理解している者は納得することになった。
しかし、黒田官兵衛は表だって活躍する人物ではないため、直政と長親、氏郷はよくその意味を理解していなかった。

「殿、その黒田官兵衛とは、どのような人物なのですか?」

「そうだな。神威家で例えるならば左近や吉継のように軍略に冴えた男だ。」

「いえ、私よりも軍略においては優れているでしょう。」

刹那の言葉、そして左近の自分よりも優れていると言う言葉にやっとその危険さが理解できたのである。
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