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第九章~西国での動き~
世代交代への波7
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「うむ。よく来た。」
そこで部屋の襖が閉められた。
すると家康の顔が当主の顔から普段の顔に戻った。
「よし、ここからは固い話し方は抜きで良いな。」
その一言に刹那はふっと笑みを浮かべ
「きちんと当主として相応しい姿勢をされており嬉しく思いますよ殿。」
「公の場では固く難しい人物を演じろと申したのは刹那ではないか。」
「もちろんでございます。殿は今や日の本一の大名にございます。それだけの威厳を示してもらわねばなりませぬ。」
「わかってはおるが。」
「その分、直親に、愚痴を申されていたのですから良しとして下さいませ。」
「直親のやつ、そのような事まで告げ口しておったのか。」
「直親は私の代わりに殿をお支えするように殿の元へつかわせていたのですから当然にございますよ?」
「あいかわらず刹那は厳しいな。」
「これも全て殿のことを思えばでございます。して、これからのことをお聞かせいただけますか?」
「あぁ、忠勝。」
「はっ。殿は北条領が落ち着き我らに従うようになったことでこれより北へ進むことをお決めになられました。そこで師匠にもお力をお借りしたく江戸まで来るように御命じになったわけでございます。現在、我らに恭順の意を示しているのが最上、二階堂、相馬にございます。逆に伊達、蘆名、南部などが我らに敵対の意を示しております。」
「敵対の意とはどのようなものですか?」
「まず我らはそれぞれの家に使者を送りました。殿の前に拝謁するようにと。そこに相馬、二階堂、最上はそれぞれ当主自らがこの江戸までやってきております。」
「では伊達、蘆名、南部らはここには来ていないと。」
「その通りでございます。」
刹那はそこまで聞くと考え始め、
「殿にお尋ねいたします。殿は戦による支配をお望みか?それとも平和的平定をお望みか?」
その刹那の問いに家康は
「そんなの決まっておろう。無駄に兵を損なうのは愚の骨頂だ。対話で平定できるのであればそれが一番良い。そのためにお前を呼んだのだ。」
家康の答えを聞いた刹那は
「わかりました。では、動くと致します。」
そう言って席を立った。
「しっ、師匠?どちらへ?」
「決まっているでしょう?対話をしに行くのですよ。その大名達と。」
「はっ!お待ちください!師匠自らが行かなくても!また使者を立てればよいではありませんか!」
刹那を止める忠勝に
「その使者では相手にもされなかったと言うことはそれだけあちらにも意地があると言うこと。ならばこちらもそれ相当の人物が出ていく必要があります。これでも私は殿の側近です。これほど当てはまる者がおりますか?」
「そっ、それは。しかし、敵地に師匠を送り出すなど。もしも師匠の身になにかあったら。」
「そのために直虎に家督を譲り、神威家の力を直虎に渡したのです。私が死んだとしてと徳川家の力が揺らぐことは最早ありませんよ。」
そう言ってまた部屋を出ようとする刹那に家康は
「刹那、わしはまだ天下を統一しておらん。死ぬことは許さん。必ず戻ってこい。」
そう声をかけるのであった。
それから刹那は用意された屋敷へ向かいそこで待っていた皆に話をした。
「これから私は東北へ向かう。」
「殿、戦でもなさるので?」
「あぁ。武力ではなく言葉でだがな。」
「では、私らもお供させてもらいますよ。」
「そのために後を譲ってきたのだからのぉ。」
「ここでついていかねば何しに殿の元へ来たかわからんからな。」
「わかっている。左近、丹波、謙信供は任せたぞ。」
「「「はっ。」」」
「あなた、御武運を。」
「父上、必ずお戻り下さいますよう。」
「おとわ、空。お前たちの泣き顔は見たくないからね。必ず役目を果たして戻ってくるよ。」
刹那はそう言いながら二人を抱きしめた。
翌日、支度を終えた刹那は屋敷を後にしようと門を出るとそこには2つの影があった。
「「師匠。」」
「忠勝に康政。どうしました、こんなに早い時間に徳川家の重臣二人が揃って。」
「師匠にお願いがあり参りました。」
「なんでしょう。」
「我が子、忠政を供として連れていってはもらえないでしょうか。」
「同じく、我が子、康勝を供として連れていって欲しくお願い致します。」
「私は戦をするのではありません。対話をしに行くのですよ?」
「だからこそでございます。武においては私が教えることが可能ですが、対話などの才に関しては徳川家随一は師匠にございます。私が若かりし頃師匠に様々なことを学んだように我が子にもそれをさせてやりたいのでございます。」
忠勝の言葉に康政も頷いて同意を示した。
それを見た刹那ははぁと溜め息をつくと。
「わかりました。連れていきましょう。そこに控えている二人を見て帰れとは言えませんからね。」
二人の後ろに隠れていた忠政と康勝の姿を見て二人の思いを汲むことにした刹那だった。
「お初にお目にかかります。本多忠勝が子 本多忠政にございます。」
「榊原康政が子 榊原康勝にございます。」
「では、忠政、康勝。参りますよ。」
こうして刹那、左近、丹波、謙信、忠政、康勝の六人は一路東北を目指して進むのであった。
そこで部屋の襖が閉められた。
すると家康の顔が当主の顔から普段の顔に戻った。
「よし、ここからは固い話し方は抜きで良いな。」
その一言に刹那はふっと笑みを浮かべ
「きちんと当主として相応しい姿勢をされており嬉しく思いますよ殿。」
「公の場では固く難しい人物を演じろと申したのは刹那ではないか。」
「もちろんでございます。殿は今や日の本一の大名にございます。それだけの威厳を示してもらわねばなりませぬ。」
「わかってはおるが。」
「その分、直親に、愚痴を申されていたのですから良しとして下さいませ。」
「直親のやつ、そのような事まで告げ口しておったのか。」
「直親は私の代わりに殿をお支えするように殿の元へつかわせていたのですから当然にございますよ?」
「あいかわらず刹那は厳しいな。」
「これも全て殿のことを思えばでございます。して、これからのことをお聞かせいただけますか?」
「あぁ、忠勝。」
「はっ。殿は北条領が落ち着き我らに従うようになったことでこれより北へ進むことをお決めになられました。そこで師匠にもお力をお借りしたく江戸まで来るように御命じになったわけでございます。現在、我らに恭順の意を示しているのが最上、二階堂、相馬にございます。逆に伊達、蘆名、南部などが我らに敵対の意を示しております。」
「敵対の意とはどのようなものですか?」
「まず我らはそれぞれの家に使者を送りました。殿の前に拝謁するようにと。そこに相馬、二階堂、最上はそれぞれ当主自らがこの江戸までやってきております。」
「では伊達、蘆名、南部らはここには来ていないと。」
「その通りでございます。」
刹那はそこまで聞くと考え始め、
「殿にお尋ねいたします。殿は戦による支配をお望みか?それとも平和的平定をお望みか?」
その刹那の問いに家康は
「そんなの決まっておろう。無駄に兵を損なうのは愚の骨頂だ。対話で平定できるのであればそれが一番良い。そのためにお前を呼んだのだ。」
家康の答えを聞いた刹那は
「わかりました。では、動くと致します。」
そう言って席を立った。
「しっ、師匠?どちらへ?」
「決まっているでしょう?対話をしに行くのですよ。その大名達と。」
「はっ!お待ちください!師匠自らが行かなくても!また使者を立てればよいではありませんか!」
刹那を止める忠勝に
「その使者では相手にもされなかったと言うことはそれだけあちらにも意地があると言うこと。ならばこちらもそれ相当の人物が出ていく必要があります。これでも私は殿の側近です。これほど当てはまる者がおりますか?」
「そっ、それは。しかし、敵地に師匠を送り出すなど。もしも師匠の身になにかあったら。」
「そのために直虎に家督を譲り、神威家の力を直虎に渡したのです。私が死んだとしてと徳川家の力が揺らぐことは最早ありませんよ。」
そう言ってまた部屋を出ようとする刹那に家康は
「刹那、わしはまだ天下を統一しておらん。死ぬことは許さん。必ず戻ってこい。」
そう声をかけるのであった。
それから刹那は用意された屋敷へ向かいそこで待っていた皆に話をした。
「これから私は東北へ向かう。」
「殿、戦でもなさるので?」
「あぁ。武力ではなく言葉でだがな。」
「では、私らもお供させてもらいますよ。」
「そのために後を譲ってきたのだからのぉ。」
「ここでついていかねば何しに殿の元へ来たかわからんからな。」
「わかっている。左近、丹波、謙信供は任せたぞ。」
「「「はっ。」」」
「あなた、御武運を。」
「父上、必ずお戻り下さいますよう。」
「おとわ、空。お前たちの泣き顔は見たくないからね。必ず役目を果たして戻ってくるよ。」
刹那はそう言いながら二人を抱きしめた。
翌日、支度を終えた刹那は屋敷を後にしようと門を出るとそこには2つの影があった。
「「師匠。」」
「忠勝に康政。どうしました、こんなに早い時間に徳川家の重臣二人が揃って。」
「師匠にお願いがあり参りました。」
「なんでしょう。」
「我が子、忠政を供として連れていってはもらえないでしょうか。」
「同じく、我が子、康勝を供として連れていって欲しくお願い致します。」
「私は戦をするのではありません。対話をしに行くのですよ?」
「だからこそでございます。武においては私が教えることが可能ですが、対話などの才に関しては徳川家随一は師匠にございます。私が若かりし頃師匠に様々なことを学んだように我が子にもそれをさせてやりたいのでございます。」
忠勝の言葉に康政も頷いて同意を示した。
それを見た刹那ははぁと溜め息をつくと。
「わかりました。連れていきましょう。そこに控えている二人を見て帰れとは言えませんからね。」
二人の後ろに隠れていた忠政と康勝の姿を見て二人の思いを汲むことにした刹那だった。
「お初にお目にかかります。本多忠勝が子 本多忠政にございます。」
「榊原康政が子 榊原康勝にございます。」
「では、忠政、康勝。参りますよ。」
こうして刹那、左近、丹波、謙信、忠政、康勝の六人は一路東北を目指して進むのであった。
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