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第十章~東北統一への道~
東北統一4
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「神威刹那殿、米沢へよくおいで下さった。わしは伊達家当主伊達政宗の父、伊達輝宗と申す。」
「徳川家家臣、神威刹那です。あなたが前当主の伊達輝宗殿でしたか。」
「お帰りになる前にこちらへ足を運んでいただいて感謝致す。先ほど政宗と顔を合わされたと聞いた。あいつの事だ、良からぬ態度を取ったのではないかと思いましてな。」
「はい。己よりも大きな敵と遭遇した時の対応がどのようなものなのか、申し訳ありませんが試させていただきましたが、あわや抜刀をするところまで行きました。」
刹那の言葉に輝宗は頭を抱えた。
「はぁー、やはりやりおったか。神威殿、申し訳ない。」
輝宗はそう言うと頭を下げた。
「なぜに頭を下げられるのですか?」
「神威殿の期待を裏切ったのであろう?であれば親として頭を下げるのは当然よ。」
「私がどうして期待していたとお思いで?」
刹那がそう問うと輝宗は笑いながら
「期待までいかんでも、興味を示していなければ神威殿は今ここにはおらんさ。」
そう言った。
輝宗の言葉に刹那は小さく笑みを浮かべ
「さすがはあの若武者の才能を早くに見出だし活躍できるように家督をあっさりと譲られたお方だ。そこまでお見通しですか。」
「なにやら神威殿からは政宗と同じ匂いを感じてな。初めて会ったはずなのに同じ場所で育ったかのような匂いがな。」
刹那は輝宗のその言葉に驚きを隠すのに必死だった。
まさか自分が宮城の出身で政宗の作った街で育ったのを感じたと思えるほどの輝宗の適切な言葉に。
「政宗殿と同じ匂いですか。それは光栄な事ですな。輝宗殿が評価するご子息と同じようだと言ってもらえたのですから。」
「神威殿、わしが貴殿をお呼びしたのは政宗の事を頼みたかったからにほかならん。あやつは東北で納まるには惜しい才を持っていると思うのだ。神威殿から見てわしの言葉が間違っていないと感じたらで良い。あやつに広い世界を見せてやってはもらえぬだろうか。」
輝宗はそう言うと頭を畳に着けて願った。
刹那も輝宗のこの行動にはさすがに驚いた。
まさか前当主である輝宗が刹那に頭を下げて願いを伝えてくるとは。
「輝宗殿、頭を上げてください。私としても政宗殿がここで埋もれるのは惜しいと思っております。」
「誠か!」
輝宗は頭を上げると刹那の顔を見た。
「はい。ですが今のままでは彼はこれ以上伸びることは難しいとも思います。そこで輝宗殿に1つ協力を願いたいのです。」
それから刹那は政宗更正計画を伝えた。
それを聞いた輝宗は一通り驚いた後笑いながら
「承知した。」
そう答えを返した。
輝宗は席を立つとすぐに部屋を出た。
大広間にはイラついている政宗とそれをなだめている小十郎の姿があった。
「殿、あの暴れようは伊達家当主としてあるまじき所業にございます。神威殿は徳川家の筆頭家老であるお方。あの方の怒りをかえば徳川家、いえ、場合によっては日ノ本ほとんどが敵となりますぞっ!」
「うるさいっ!あそこまでこけにされて黙っていろと申すか!徳川がなんだ、元を正せば今川家の属国ではないかっ!」
「確かにそのような時期もありました。しかし、そこからここまでの大大名になった裏には神威殿の力があったと専らの噂にございます。」
「ならばその男をわしが倒してくれるわっ!」
「殿っ。」
二人が話していると大広間に輝宗と武装した兵達が現れた。
「父上っ!兵などを連れていかがなされたっ!どこぞが攻めてきましたかっ!」
「捕らえろ。」
輝宗はそう兵に指示すると兵達が一斉に政宗と小十郎を捕らえ始めた。
「離せっ!父上っ!どういうことじゃ!!」
政宗を捕らえた輝宗は兵に家臣達を呼ぶように伝えた。
5日後、急遽輝宗の名前で登城を命じられた伊達家家臣たちは困惑しながらも米沢城へ登城してきたのである。
大広間に通された家臣達が見たのは当主の座に座る輝宗と縄で拘束されている現当主である政宗の姿であった。
それを見て更に混乱を強める家臣達。
隠居を宣言してからこれまで評定の場に姿を現すことがなかった輝宗が出ているだけでなく当主である政宗を縄に縛り自らが当主の座に座っているなど長年伊達家に仕えてきた者達でも想像ができるはずもない出来事であった。
「おっ、大殿、これはどういうことでしょうか?なぜに殿が縛られているのですか?」
家臣を代表して亘理元宗が問いかけた。
「この政宗が伊達家を滅ぼそうとしたからである。」
輝宗のその発言に評定の場はざわつく。
「わしはそのようなことしておらんっ!」
「黙れ政宗っ!」
「大殿、殿が伊達家を滅ぼそうとしたとはどういうことでしょうか?」
今度は留守政景が輝宗に質問した。
「先日、徳川家より筆頭家老である神威刹那殿が米沢へ参られた。その神威殿にあわや抜刀をする勢いだった。小十郎が政宗を抑えたおかげで抜刀することにはならずに済んだが、徳川家を敵にする十分な仕出かしだっ。考えてもみよ、神威殿がここに来たと言うことは蘆名や相馬は既に徳川へ降ったと言うことに等しい。そうなれば我らは徳川の脅威に晒されている状態と言えよう。そんな最中にこのようなことが起こればどうなる。徳川家は大軍を持ってこの米沢へ攻めてくるぞっ!」
輝宗の話に皆が静かに聞き入る。
「故に、この責任を政宗には取ってもらい、当主から降ろし、わしがまた当主となる。そしてわしの名で徳川家へ恭順の意を示すっ!異を唱える者はあるか?」
「徳川家家臣、神威刹那です。あなたが前当主の伊達輝宗殿でしたか。」
「お帰りになる前にこちらへ足を運んでいただいて感謝致す。先ほど政宗と顔を合わされたと聞いた。あいつの事だ、良からぬ態度を取ったのではないかと思いましてな。」
「はい。己よりも大きな敵と遭遇した時の対応がどのようなものなのか、申し訳ありませんが試させていただきましたが、あわや抜刀をするところまで行きました。」
刹那の言葉に輝宗は頭を抱えた。
「はぁー、やはりやりおったか。神威殿、申し訳ない。」
輝宗はそう言うと頭を下げた。
「なぜに頭を下げられるのですか?」
「神威殿の期待を裏切ったのであろう?であれば親として頭を下げるのは当然よ。」
「私がどうして期待していたとお思いで?」
刹那がそう問うと輝宗は笑いながら
「期待までいかんでも、興味を示していなければ神威殿は今ここにはおらんさ。」
そう言った。
輝宗の言葉に刹那は小さく笑みを浮かべ
「さすがはあの若武者の才能を早くに見出だし活躍できるように家督をあっさりと譲られたお方だ。そこまでお見通しですか。」
「なにやら神威殿からは政宗と同じ匂いを感じてな。初めて会ったはずなのに同じ場所で育ったかのような匂いがな。」
刹那は輝宗のその言葉に驚きを隠すのに必死だった。
まさか自分が宮城の出身で政宗の作った街で育ったのを感じたと思えるほどの輝宗の適切な言葉に。
「政宗殿と同じ匂いですか。それは光栄な事ですな。輝宗殿が評価するご子息と同じようだと言ってもらえたのですから。」
「神威殿、わしが貴殿をお呼びしたのは政宗の事を頼みたかったからにほかならん。あやつは東北で納まるには惜しい才を持っていると思うのだ。神威殿から見てわしの言葉が間違っていないと感じたらで良い。あやつに広い世界を見せてやってはもらえぬだろうか。」
輝宗はそう言うと頭を畳に着けて願った。
刹那も輝宗のこの行動にはさすがに驚いた。
まさか前当主である輝宗が刹那に頭を下げて願いを伝えてくるとは。
「輝宗殿、頭を上げてください。私としても政宗殿がここで埋もれるのは惜しいと思っております。」
「誠か!」
輝宗は頭を上げると刹那の顔を見た。
「はい。ですが今のままでは彼はこれ以上伸びることは難しいとも思います。そこで輝宗殿に1つ協力を願いたいのです。」
それから刹那は政宗更正計画を伝えた。
それを聞いた輝宗は一通り驚いた後笑いながら
「承知した。」
そう答えを返した。
輝宗は席を立つとすぐに部屋を出た。
大広間にはイラついている政宗とそれをなだめている小十郎の姿があった。
「殿、あの暴れようは伊達家当主としてあるまじき所業にございます。神威殿は徳川家の筆頭家老であるお方。あの方の怒りをかえば徳川家、いえ、場合によっては日ノ本ほとんどが敵となりますぞっ!」
「うるさいっ!あそこまでこけにされて黙っていろと申すか!徳川がなんだ、元を正せば今川家の属国ではないかっ!」
「確かにそのような時期もありました。しかし、そこからここまでの大大名になった裏には神威殿の力があったと専らの噂にございます。」
「ならばその男をわしが倒してくれるわっ!」
「殿っ。」
二人が話していると大広間に輝宗と武装した兵達が現れた。
「父上っ!兵などを連れていかがなされたっ!どこぞが攻めてきましたかっ!」
「捕らえろ。」
輝宗はそう兵に指示すると兵達が一斉に政宗と小十郎を捕らえ始めた。
「離せっ!父上っ!どういうことじゃ!!」
政宗を捕らえた輝宗は兵に家臣達を呼ぶように伝えた。
5日後、急遽輝宗の名前で登城を命じられた伊達家家臣たちは困惑しながらも米沢城へ登城してきたのである。
大広間に通された家臣達が見たのは当主の座に座る輝宗と縄で拘束されている現当主である政宗の姿であった。
それを見て更に混乱を強める家臣達。
隠居を宣言してからこれまで評定の場に姿を現すことがなかった輝宗が出ているだけでなく当主である政宗を縄に縛り自らが当主の座に座っているなど長年伊達家に仕えてきた者達でも想像ができるはずもない出来事であった。
「おっ、大殿、これはどういうことでしょうか?なぜに殿が縛られているのですか?」
家臣を代表して亘理元宗が問いかけた。
「この政宗が伊達家を滅ぼそうとしたからである。」
輝宗のその発言に評定の場はざわつく。
「わしはそのようなことしておらんっ!」
「黙れ政宗っ!」
「大殿、殿が伊達家を滅ぼそうとしたとはどういうことでしょうか?」
今度は留守政景が輝宗に質問した。
「先日、徳川家より筆頭家老である神威刹那殿が米沢へ参られた。その神威殿にあわや抜刀をする勢いだった。小十郎が政宗を抑えたおかげで抜刀することにはならずに済んだが、徳川家を敵にする十分な仕出かしだっ。考えてもみよ、神威殿がここに来たと言うことは蘆名や相馬は既に徳川へ降ったと言うことに等しい。そうなれば我らは徳川の脅威に晒されている状態と言えよう。そんな最中にこのようなことが起こればどうなる。徳川家は大軍を持ってこの米沢へ攻めてくるぞっ!」
輝宗の話に皆が静かに聞き入る。
「故に、この責任を政宗には取ってもらい、当主から降ろし、わしがまた当主となる。そしてわしの名で徳川家へ恭順の意を示すっ!異を唱える者はあるか?」
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