チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第十章~東北統一への道~

東北統一8

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「久々におとわと空の元気な顔を見られて良かった。」

「空はあのように見せていますが、父上がいなくて毎日寂しそうにしておりましたよ?」

「そうなのか?それでは明日二人で城下を出かけて見ることにするか。少しでも娘との時間を作らねばな。」

「それは空も喜ぶことでしょう!」

「我が娘ながら本当に素直な良い子に育ったと思う。おとわ、ありがとうな。」

「あなたの子として恥ずかしい子は育てられませんからね。ですが、皆、そこまで手はかかりませんでしたよ?きっとあなたに似たのでしょう。私に似ていたらおてんば娘になっていたでしょうから。」

おとわは微笑みながらほう話した。 

「確かに義父上より出会った頃はよく井伊家の領地を走り回っていたと聞いたな。」

「ええ、井伊家の長女として家督をやると言われていましたから。ですが、あなたと出会い変わりましたよ。」

「私はおてんばなおとわでも嫁にしただろうよ。」

「刹那様っ。」

連れ添って長い年月が経つ二人だが、若い頃よりこのいちゃつきは変わることがない。

その夜、二人は若い頃のように熱い夜を過ごしたとか。

翌日、刹那は空と江戸城下を散策していた。

「父上と城下を回れて空は嬉しいです!」

「私もだよ。空とこうしてゆっくり出来るのが嬉しい。」

刹那はふらっとかんざしを売っている店に入った。

「いらっしゃいませ。これは神威様、御来店ありがとうございます。」

「私のことを知っているのか?」

「それはもちろん。江戸城下で神威様を知らぬ者などおりませぬよ。本日はお隣のお方への物をお求めでしょうか?」

「あぁ。父として娘に似合うかんざしをと思ってね。」

刹那は並べられているかんざしを一通り見た後に一本のかんざしを取り空の頭へ着けた。

「うん。やっぱりこれが良く似合うな。可愛いよ空。」

「本当ですか?」

「あぁ。やはり空には淡い青が良く似合う。」

そう、刹那が選んだのは淡い青に雲を模した白い波線が入ったかんざしだった。
まさしく空色。

かんざしを買った刹那はまた話をしながら城下を歩いた。

「空は母上が羨ましいです。」

「どうしてだい?」

「父上のような素敵な殿方の妻として人生を歩んでいるのですから。」

「ふっ、娘にそんな風に言ってもらえるとは、父親冥利に尽きるな。空にも素敵な殿方が必ず現れるよ。今は気になる人はいないのかい?」

刹那がそう聞くと空はもじもじしながら

「そっ、そのような殿方はおりませぬっ。」

そう言ったのである。

娘とのデートを終えたその夜

「おとわ、空って好きなやついるのか?」

「どうしたのでございますか唐突に?」

「いや、今日空と城下を見て回っただろ?その時におとわが羨ましいと言うから空には好きなやつはいないのかと尋ねたら恥ずかしそうにしながらいないと答えたからな。あれは好きなやつがいると思ったのさ。」

刹那が首を捻りながらそう言うとおとわは微笑みながら

「ふふふ、あなたもやはり娘のことは見えないものなのですね。」

「おとわは知っているのか!」

「はい、見ていればわかりますよ?女中達も皆知っていると思いますよ?」

「教えてくれっ!頼むっ!」

「空の思い人はですね。」

おとわから空の思い人を聞いた刹那はすぐにその男を呼び寄せることにした。

空とのデートから一月あまり、伊勢より一人の男がやって来ていた。

「大殿のお呼びにより伊勢より参りました。」

その男は刹那の元で数々の知識を吸収して今や神威家に取ってなくてはならない武将に成長した。
父親譲りの地頭の良さ、そして数々の猛将に鍛えられた武、まさに文武両道を行く、蒲生氏郷である。

「氏郷、急に伊勢より呼び寄せてすまなかったな。問題なかったか?」

「はい。殿にお話したら父上が呼ぶのには理由があるはずだからすぐに向かうようにとお許しをいただけました。」

「そうか。では氏郷、お前はまだ嫁を取っていなかったな?」

「はい。嫁はおりませぬ。」

「それはなぜだ?お前ほどの男であれば嫁のあてなど沢山あるであろうに。」

「はい。確かに様々なところから娘を嫁にと言っていただきました。しかし、お断りしておりました。」

「思い人でもおるのか?」

刹那の問いに氏郷は

「いえ、おりませぬ。ですが私が所帯を持つことが想像出来ぬのです。私は大殿の元に来て以来、武将として成長するための様々なことを学んで来ました。近くに女子として呼べる者はほとんどおりませぬ。それこそ小さき頃から良くお話などをした空姫くらいでしょうか。それを今になって嫁にと良くわからぬ娘をあてがわれてもわからず。もちろん、相手の実家を身内に出来るという強さがあるのは承知しておるのですが。」

「そうか。それは私がしてかしてしまったかもしれぬな。すまん。」

「おっ、大殿のせいなどとそのようなことはございませぬっ。私が武骨者なだけのこと。」

「では、氏郷が昔から知る空はどう見えるのだ?」

「空姫でございますか?小さき頃よりよく遊び相手をさせていただきましたし、大きくなられてからはしばしばお話相手をさせていただきました。おてんばな姫ではありましたが、大きくなられた今は美しい姫様になられました。きっと素敵な殿方を夫とする事かと。」

「それは私の娘だから言っておるのか?」

「いえ、例え空姫が大殿の子でなくとも私の言葉は変わらないと思います。」

「そうか。分かった。つまらないことを聞いて悪かったな。」

「いえ、むしろつまらぬ事しか申せず申し訳ございませぬ。」

「移動の疲れもあるだろう。今日はゆっくり休んでくれ。明日また話をしたい。」

「承知しました。」

自室に戻った刹那はおとわは会話を始めた。

「どうでしたか氏郷殿は?」

「あぁ。とりあえず思い人はいないらしい。空のことも美しい姫様と言っていたよ。」

「ふふ、氏郷殿に取っても空は高評価のようですね。」

「あぁ。で、当の本人の空はどこに行ったんだ?」

「あなたが氏郷殿を呼んでこの屋敷に泊められていると聞いてすぐに向かいましたよ。」

「はぁ。これは最早確定だろうな。」

娘の成長と男親として娘がほかの男の元へ行こうとしている悲しみとを感じて思わず溜め息が出る刹那であった。
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