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第十一章~敵は島津家!!九州大決戦~
九州征伐9
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翌日、政家と直茂は長政のいる神威本陣へと供廻りのみを連れて訪れていた。
「お初にお目にかかります。龍造寺家家臣鍋島直茂と申します。」
「龍造寺家当主、龍造寺政家と申す。」
「龍造寺殿、鍋島殿、よくお出で下さりました。神威家筆頭家老を勤めます浅井長政と申します。」
「此度は直接の話をと言うことでこちらへ来させていただきましたが、どのようなお話で?」
直茂がそう聞くと長政は、
「本日こちらへお呼びしたのはお二人を始めとした龍造寺軍を我らの元へお誘いしたく思ったからです。」
「お誘いとは、降伏を促すと言うことでしょうか。」
長政は少し考えた後、
「広義的な意味で申せばそうとも言えましょう。しかし、我らが申したいのは降伏ではなく裏切りと申したほうがよろしいかと。」
「それは降伏とどう違うのだ。」
政家が苛立ちを隠しながらもそう聞いた。
「そう怒らずに聞いてくだされ。降伏を促すのであれば我らは龍造寺殿、鍋島殿の首と引き換えに将兵の命を救うと申し出ましょう。しかし、今回は話が違います。我らが言いたいのは龍造寺軍丸々島津を身限り我らの元へ来てほしい。そうすれば龍造寺家の再興をお約束しましょう。」
長政がそう言うと政家は席を立ち、
「それは誠かっ!」
「はい。」
「殿お待ちを。浅井殿、その決断を筆頭家老とは言え家臣が決定してよろしいのですか?」
「御安心あれ、この件は神威家当主、神威直虎様より許可を得たもの。神威家の家臣とはなりますが、龍造寺家の再興は叶います。」
政家は直茂のほうを向いて直茂が頷くのを確認してから、
「龍造寺軍はこれより全軍神威家へ降伏する。」
そう宣言して頭を下げた。
これにより龍造寺政家を始めとする龍造寺軍は全て浅井長政率いる別動隊に組み込まれ、直虎達の待つ大友館へと歩を進めることとなった。
一方大友館では大戦後、島津軍からの攻撃は小競合い程度の小規模のもののみが続いてる状況であった。
長政らが大友館に着陣するとすぐに直虎は長政を自身の元へと呼び寄せた。
「殿、浅井長政龍造寺軍を降伏させ只今罷り越しました。」
「長政、別動隊の指揮ご苦労だった。」
「いえ、殿より書状を頂いた後は速やかに事がすみましたので。」
「長政から見た鍋島直茂という男、どのような武将であった?」
「はい、直接会ってみて戦場で戦うことを避けたのは本当に良かったと思わされました。」
「それほどの者か。戦を続けていたら勝ったか?」
「それは間違いございませんが、こちらにも相当の被害が出たものと推察します。」
「そうか、わかった。長政ほどの者がそう言う男をこちらに引き入れられたのは今回の九州遠征の大きな成果だと言えよう。」
「誠にその通りかと。」
「では、その主、龍造寺政家についてはどうだ?」
「正直に申せば親の七光りで生きてきたような者かと。」
「手厳しいな。」
「鍋島殿が優秀ゆえかもしれませんが、すべての差配は鍋島殿に確認をとって行われる。それが主と呼べるのかと言えばそれは否。家臣とは自分を補佐する者であり、自分の考えを委ねる相手ではありません。主である者として決断は大きな責務。それを放棄していると言っても過言ではありませんでした。」
「そうか。誰かいるか?」
直虎がそう声を発すると、外から「ここに」小姓が声を上げた。
「明日、龍造寺政家、鍋島直茂にここに来るように使いを出せ。」
小姓は「はっ。」と声を出すとすぐにその場を離れた。
「直接お会いになりますか。」
「あぁ、龍造寺政家、見どころありそうなら良し。なければその時は、その時よ。」
「殿のそのお言葉ほど怖いものはございませぬな。」
「なに、私の目など、父上に比べれば優しい者よ。父上が評価する者は皆優れた才を持っている。逆を言えば、父上の御眼鏡に叶わなかった者も多くいる。その者らにとって神威家、ひいては徳川家での出世は相当に厳しいだろう。その分私は、見どころがあれば鍛える。父上のように才の溢れた者だけを集めて指揮するには私では役不足。使えそうな者は育てて引き伸ばしてやらねば先細りしてしまうからな。」
長政はこの時、改めて思うのであった。神威刹那は才能溢れる者を集める天才であり、その子、神威直虎は才能を育てる天才なのだと。
翌日、龍造寺政家と鍋島直茂は共に直虎の元へ来たが、直虎はまず政家だけと会うことを伝えて、直茂は別室にて待機するようにした。
「初めて御意を得ます。龍造寺政家にございます。」
「政家殿、良くお出で下さった。神威家当主、神威直虎にございます。此度お呼びしたのは政家殿に直接会って話してみたいと思ったからです。」
「はぁ。」
「龍造寺家と言えば、政家殿のお父上、龍造寺隆信殿のお名前を良く聞きます。肥前の熊と言う異名を持たれていたとか。」
「はい。龍造寺家を大きくしたのは父でございますれば。」
「私の父、神威刹那も今川家の属国であった徳川家を大大名まで押し上げた立役者だと世間で言われております。互いに父が優れていると苦労をなさいますな。」
「いえ、直虎様のご苦労に比べれば私の苦労など大したものではございません。」
直虎は一呼吸開けてからゆっくりと話し始めた。
「お初にお目にかかります。龍造寺家家臣鍋島直茂と申します。」
「龍造寺家当主、龍造寺政家と申す。」
「龍造寺殿、鍋島殿、よくお出で下さりました。神威家筆頭家老を勤めます浅井長政と申します。」
「此度は直接の話をと言うことでこちらへ来させていただきましたが、どのようなお話で?」
直茂がそう聞くと長政は、
「本日こちらへお呼びしたのはお二人を始めとした龍造寺軍を我らの元へお誘いしたく思ったからです。」
「お誘いとは、降伏を促すと言うことでしょうか。」
長政は少し考えた後、
「広義的な意味で申せばそうとも言えましょう。しかし、我らが申したいのは降伏ではなく裏切りと申したほうがよろしいかと。」
「それは降伏とどう違うのだ。」
政家が苛立ちを隠しながらもそう聞いた。
「そう怒らずに聞いてくだされ。降伏を促すのであれば我らは龍造寺殿、鍋島殿の首と引き換えに将兵の命を救うと申し出ましょう。しかし、今回は話が違います。我らが言いたいのは龍造寺軍丸々島津を身限り我らの元へ来てほしい。そうすれば龍造寺家の再興をお約束しましょう。」
長政がそう言うと政家は席を立ち、
「それは誠かっ!」
「はい。」
「殿お待ちを。浅井殿、その決断を筆頭家老とは言え家臣が決定してよろしいのですか?」
「御安心あれ、この件は神威家当主、神威直虎様より許可を得たもの。神威家の家臣とはなりますが、龍造寺家の再興は叶います。」
政家は直茂のほうを向いて直茂が頷くのを確認してから、
「龍造寺軍はこれより全軍神威家へ降伏する。」
そう宣言して頭を下げた。
これにより龍造寺政家を始めとする龍造寺軍は全て浅井長政率いる別動隊に組み込まれ、直虎達の待つ大友館へと歩を進めることとなった。
一方大友館では大戦後、島津軍からの攻撃は小競合い程度の小規模のもののみが続いてる状況であった。
長政らが大友館に着陣するとすぐに直虎は長政を自身の元へと呼び寄せた。
「殿、浅井長政龍造寺軍を降伏させ只今罷り越しました。」
「長政、別動隊の指揮ご苦労だった。」
「いえ、殿より書状を頂いた後は速やかに事がすみましたので。」
「長政から見た鍋島直茂という男、どのような武将であった?」
「はい、直接会ってみて戦場で戦うことを避けたのは本当に良かったと思わされました。」
「それほどの者か。戦を続けていたら勝ったか?」
「それは間違いございませんが、こちらにも相当の被害が出たものと推察します。」
「そうか、わかった。長政ほどの者がそう言う男をこちらに引き入れられたのは今回の九州遠征の大きな成果だと言えよう。」
「誠にその通りかと。」
「では、その主、龍造寺政家についてはどうだ?」
「正直に申せば親の七光りで生きてきたような者かと。」
「手厳しいな。」
「鍋島殿が優秀ゆえかもしれませんが、すべての差配は鍋島殿に確認をとって行われる。それが主と呼べるのかと言えばそれは否。家臣とは自分を補佐する者であり、自分の考えを委ねる相手ではありません。主である者として決断は大きな責務。それを放棄していると言っても過言ではありませんでした。」
「そうか。誰かいるか?」
直虎がそう声を発すると、外から「ここに」小姓が声を上げた。
「明日、龍造寺政家、鍋島直茂にここに来るように使いを出せ。」
小姓は「はっ。」と声を出すとすぐにその場を離れた。
「直接お会いになりますか。」
「あぁ、龍造寺政家、見どころありそうなら良し。なければその時は、その時よ。」
「殿のそのお言葉ほど怖いものはございませぬな。」
「なに、私の目など、父上に比べれば優しい者よ。父上が評価する者は皆優れた才を持っている。逆を言えば、父上の御眼鏡に叶わなかった者も多くいる。その者らにとって神威家、ひいては徳川家での出世は相当に厳しいだろう。その分私は、見どころがあれば鍛える。父上のように才の溢れた者だけを集めて指揮するには私では役不足。使えそうな者は育てて引き伸ばしてやらねば先細りしてしまうからな。」
長政はこの時、改めて思うのであった。神威刹那は才能溢れる者を集める天才であり、その子、神威直虎は才能を育てる天才なのだと。
翌日、龍造寺政家と鍋島直茂は共に直虎の元へ来たが、直虎はまず政家だけと会うことを伝えて、直茂は別室にて待機するようにした。
「初めて御意を得ます。龍造寺政家にございます。」
「政家殿、良くお出で下さった。神威家当主、神威直虎にございます。此度お呼びしたのは政家殿に直接会って話してみたいと思ったからです。」
「はぁ。」
「龍造寺家と言えば、政家殿のお父上、龍造寺隆信殿のお名前を良く聞きます。肥前の熊と言う異名を持たれていたとか。」
「はい。龍造寺家を大きくしたのは父でございますれば。」
「私の父、神威刹那も今川家の属国であった徳川家を大大名まで押し上げた立役者だと世間で言われております。互いに父が優れていると苦労をなさいますな。」
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