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7戦目-D、4月、薬師名司編
薬師名司に騙される
しおりを挟むイタリアンレストランを出た葵は走って向かった。
肉体強化30なのだ。壁走りでビルの壁面も登れる。ウイングモードで滑空も可能だ。
敵機を無視して座標のビルの屋上に向かえば、普通に送信装置が鎮座していた。
スマホの基地局の小型タイプで、データ送信の準備を行ってるのか周囲の空気が波動で歪んでいた。
葵はレイショットガン-89・ヘラクレスを出した。
レイショットガン-89・ヘラクレス。大口径専用。
威力225、NE消費8、絶対射程10メートルMax(補正+7メートル)、最大射程10メートルMax(補正+1メートル)。
発射数、3秒に1発。1発ごとに冷却装置稼働アクションが必要(両手)。
必要ナノマシン数値、肉体強化12。
至近距離の砲台タイプだけど、段違いの威力だわ、やっぱり。
パワードスーツ専用武器と何ら遜色がない。本当に最終形態なのかしら?
1発で送信装置は破壊されてデジタル処理されて消えていった。
『敵陣営の送信装置破壊』
視界にアナウンスも流れる。
さてと、それじゃあサクッとフィールドボスでも・・・
「あれ、おまえが送信装置を潰したのか?」
その声と共に現れた男はジェットウイングでビルの屋上まで飛んできた。
184センチ、茶髪のツーブロックリーゼントで、ひょろりと細長い不良風の男だった。高校生っぽい。当然、バトルスーツも纏っている。強化型のをだ。
「まあね」
「ーーもしかしてこのままフィールドボスも?」
「ええ」
「悪いんだけど仲間がLV上げをしていてな。待ってくれないか。お礼に支援物資ボックスの場所に案内するから」
「えっ、支援物資ボックス用のレーダーを持ってるの? それともヘルメット?」
「おっと、支援物資ボックスの凄さを理解してるとは・・・話が早くて助かるぜ、どうする?」
「乗ったわ」
「オレは薬師名司、そっちは?」
「明星葵よ」
「明星か。いい名字だな。確かF1の日本人レーサーの名字も・・・」
「らしいわね、詳しくは知らないけど」
「おや、そうなのか?」
「ええ、車に余り興味がないから」
「ふ~ん、――ついて来れるか?」
「ええ」
「じゃあ、ついて来な」
ジェットウイングで司は移動を始めた。
葵も続く。ウィングスーツで青色の世界を滑空だ。
「おお、ウイングスーツにも変形するバトルスーツか。初めて見たな。そっちの成長LVは? オレはMaxの50」
「27よ」
「嘘だよな?」
「いえ、本当よ」
「何戦目?」
「7」
「まだ素人なのに送信装置を破壊して、そんないいバトルスーツを持ってるのか?」
「運が良かったからね」
ここまでの会話に何ら問題はなかったが、葵の視界に、
『フィールドボス撃破に伴い、ブルーフィールドが解除されます』
と出た。
「これは・・・どういう事かしら?」
「悪い。どうも下っ端が――」
「嘘よね?」
「嘘はお互い様って事で」
「はん?」
「妹だよな?」
そう司がニヤリと笑った瞬間、ブルーフィールドが解除されて、
オート設定にしている葵はイタリアンの個室の席に戻ったのだった。
対面には兄の春樹が居た訳だが。
どこかで会ってた? ってか、私の嘘には実害がないけど、そっちの嘘には実害があるからダメじゃないのっ!
支援物資ボックスで、またまた凄いアイテムゲット~、って喜んだ私の気持ちを返しなさいよっ!
これだから男は信用ならないのよっ!
自分の嘘を棚に上げて葵は憤ったのだった。
だが兄の春樹に当たっても仕方がない。
葵は気持ちを切り替えて兄とのディナーを楽しみ、
【戦術ランクD、フィールド情報送信装置破壊】ボーナス、ナノマシンの成長ポイント、20ポイント。アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)。
春樹にバレないようにNEタンク80を選んだのだった。
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