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大也、大真面目にすればするほど喜劇になる
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大也は朝、
「朝です、起きて下さい、大也様」
メイドに起こされて見知らぬ場所で目覚めた。
大也の記憶は夕食時に毒を盛られた時点で途切れてる。二重人格あるあるだ。
よって、
「生きてる? 良かったぁ~」
心底大也は自分が生きてた事を喜んだ。
体調も万全だ。『身体が痺れたり、重たい』等々の毒の後遺症もない。
20代中盤で、茶髪ミディアムとヘアバンドで男好きするスタイルの美人メイドが、
「朝食は7時からとなっております」
「5分前行動ね、了解」
そう言って大也は自分の服を着始めたのだった。
食堂に向かった大也に颯太が、
「おはよう、大也君」
「おはようございます、当主。ってか、昨日の夕食で毒を盛られました。犯人を探して下さい」
との大也の主張に颯太が、
「ええっと、記憶はどこまであるんだい、大也君?」
「ハンバーグを食べたところまでです」
真顔で大也が言い、颯太が『なるほど』と理解を示してから、
「見ての通りだ」
食堂の席を見渡した。
今朝、食堂に居るのは大鳥颯太、大鳥和美、大鳥緋色、大鳥宗次の4人だけだ。
「えっ? まさか、オレ以外にも毒を盛られたんですか? ・・・違う、オレの方は巻き添えで大鳥家が狙われた?」
大也の名推理に食堂に居る大鳥家と使用人の全員が『とぼけてるんじゃないよな?』と疑いつつ、
「そんなものだ」
説明するのも面倒臭くなった颯太がそう答え、
「使用人が買収されたんですか?」
「昨夜2人処分した」
緋色がさらりと答えたところで柱時計が7時を告げて朝食が運ばれてきた。
朝からお粥を含んだ和食の御前だった。
皆が食べ始めるが、大也の昨夕に毒を盛られた直後だ。
箸を持ったが手を付ける気にはならなかった。
何か言いたそうな顔で大也が朝食を見つめる中、颯太が、
「食べないのかい、大也君? 毒など入っていないよ」
「ええっと、毒味して貰ってもいいですか?」
大也が真顔で言い、
「構わんよ」
と答えた颯太の視線を受けた30代の少し太めだが清潔感のあるメイドが1人、大也の食事の総てを一口ずつ食べて、
「問題ございませんよ、大也様」
そう答えた直後に、
「ゲホッ」
咳と共に血を吐いたのだった。
「うわっ! ってか、ほら、やっぱりっ! 何だよ、ここの家? もう絶対、オレはここで御飯を食べないぞっ!」
血に驚いた大地が慌てて席を立つ。
颯太、緋色、宗次はやけに冷淡な顔で和美を見ていた。
吐血したぽっちゃりメイドが中腰になる中、他の使用人達がメイドを部屋の外へと連れ出す。
それらの風景の中、大也が、
「犯人を探して下さいね」
「分かった、犯人はこっちの方でちゃんと処罰しておくから」
「死刑ですよね、もちろん?」
さらっと席を立ったままの大也がそう追及して、嫌な顔をした颯太が、
「いや、離婚で十分だろ」
そう言い放った。
『離婚』と聞いて和美が心底驚きながら、
「ど、どうしてです?」
「犯人がおまえだからだよ、和美」
「ええ、どうして当主夫人が? オレ、何もしてないのに・・・いや、もしかしてあれか? 昨日の昼間ビルで半殺しにしたーーそれが実は愛人だった?」
「全然違うわよっ! ってか、絶対、わざとやってるでしょ、アナタっ!」
「?」
何故か和美に逆ギレされた大也は不思議そうにする中、軽く指を立てた颯太の合図で和美は使用人に囲まれて食堂の外へと移動させられ、
「当主、嘘ですよね? 離婚なんて?」
和美は必死に喚いてたが、遂にはハンカチで猿轡を噛まされて食堂を追い出されたのだった。
「すまなかったね、大也君。和美の料理は大丈夫だと思うからこれでも食べるように」
「いえ、安全第一ですので出来たらコンビニに行かせて下さい。自分で選びたいので」
「まあ、好きにしたまえ」
こうして大也も食堂を出ていったのだが、大也が潜ったドアが閉められた瞬間に、
「本当に離婚するんですか、兄上? 離婚したら確実に義姉上の実家の不動と全面戦争になりますよ?」
宗次が最終確認をした。
「仕方あるまい。『紀伊路の仇だ』とまた大也を狙うぞ、和美の奴。そしてその内、確実に死ぬ。それも大也を怒らせて」
「ですが、もう結婚して8年。大鳥の内情を知り過ぎてます。不動家に帰すのはーー」
緋色が真顔で心配すると、宗次が、
「えっ、何言ってるんですか、次代? 当主の離婚は死別ですよ」
「えっ、それって」
「そういう事だ。今日この時から不動と戦争だ。覚悟するように」
そう答えながら朝食の御粥に舌鼓を打ったのだった。
「朝です、起きて下さい、大也様」
メイドに起こされて見知らぬ場所で目覚めた。
大也の記憶は夕食時に毒を盛られた時点で途切れてる。二重人格あるあるだ。
よって、
「生きてる? 良かったぁ~」
心底大也は自分が生きてた事を喜んだ。
体調も万全だ。『身体が痺れたり、重たい』等々の毒の後遺症もない。
20代中盤で、茶髪ミディアムとヘアバンドで男好きするスタイルの美人メイドが、
「朝食は7時からとなっております」
「5分前行動ね、了解」
そう言って大也は自分の服を着始めたのだった。
食堂に向かった大也に颯太が、
「おはよう、大也君」
「おはようございます、当主。ってか、昨日の夕食で毒を盛られました。犯人を探して下さい」
との大也の主張に颯太が、
「ええっと、記憶はどこまであるんだい、大也君?」
「ハンバーグを食べたところまでです」
真顔で大也が言い、颯太が『なるほど』と理解を示してから、
「見ての通りだ」
食堂の席を見渡した。
今朝、食堂に居るのは大鳥颯太、大鳥和美、大鳥緋色、大鳥宗次の4人だけだ。
「えっ? まさか、オレ以外にも毒を盛られたんですか? ・・・違う、オレの方は巻き添えで大鳥家が狙われた?」
大也の名推理に食堂に居る大鳥家と使用人の全員が『とぼけてるんじゃないよな?』と疑いつつ、
「そんなものだ」
説明するのも面倒臭くなった颯太がそう答え、
「使用人が買収されたんですか?」
「昨夜2人処分した」
緋色がさらりと答えたところで柱時計が7時を告げて朝食が運ばれてきた。
朝からお粥を含んだ和食の御前だった。
皆が食べ始めるが、大也の昨夕に毒を盛られた直後だ。
箸を持ったが手を付ける気にはならなかった。
何か言いたそうな顔で大也が朝食を見つめる中、颯太が、
「食べないのかい、大也君? 毒など入っていないよ」
「ええっと、毒味して貰ってもいいですか?」
大也が真顔で言い、
「構わんよ」
と答えた颯太の視線を受けた30代の少し太めだが清潔感のあるメイドが1人、大也の食事の総てを一口ずつ食べて、
「問題ございませんよ、大也様」
そう答えた直後に、
「ゲホッ」
咳と共に血を吐いたのだった。
「うわっ! ってか、ほら、やっぱりっ! 何だよ、ここの家? もう絶対、オレはここで御飯を食べないぞっ!」
血に驚いた大地が慌てて席を立つ。
颯太、緋色、宗次はやけに冷淡な顔で和美を見ていた。
吐血したぽっちゃりメイドが中腰になる中、他の使用人達がメイドを部屋の外へと連れ出す。
それらの風景の中、大也が、
「犯人を探して下さいね」
「分かった、犯人はこっちの方でちゃんと処罰しておくから」
「死刑ですよね、もちろん?」
さらっと席を立ったままの大也がそう追及して、嫌な顔をした颯太が、
「いや、離婚で十分だろ」
そう言い放った。
『離婚』と聞いて和美が心底驚きながら、
「ど、どうしてです?」
「犯人がおまえだからだよ、和美」
「ええ、どうして当主夫人が? オレ、何もしてないのに・・・いや、もしかしてあれか? 昨日の昼間ビルで半殺しにしたーーそれが実は愛人だった?」
「全然違うわよっ! ってか、絶対、わざとやってるでしょ、アナタっ!」
「?」
何故か和美に逆ギレされた大也は不思議そうにする中、軽く指を立てた颯太の合図で和美は使用人に囲まれて食堂の外へと移動させられ、
「当主、嘘ですよね? 離婚なんて?」
和美は必死に喚いてたが、遂にはハンカチで猿轡を噛まされて食堂を追い出されたのだった。
「すまなかったね、大也君。和美の料理は大丈夫だと思うからこれでも食べるように」
「いえ、安全第一ですので出来たらコンビニに行かせて下さい。自分で選びたいので」
「まあ、好きにしたまえ」
こうして大也も食堂を出ていったのだが、大也が潜ったドアが閉められた瞬間に、
「本当に離婚するんですか、兄上? 離婚したら確実に義姉上の実家の不動と全面戦争になりますよ?」
宗次が最終確認をした。
「仕方あるまい。『紀伊路の仇だ』とまた大也を狙うぞ、和美の奴。そしてその内、確実に死ぬ。それも大也を怒らせて」
「ですが、もう結婚して8年。大鳥の内情を知り過ぎてます。不動家に帰すのはーー」
緋色が真顔で心配すると、宗次が、
「えっ、何言ってるんですか、次代? 当主の離婚は死別ですよ」
「えっ、それって」
「そういう事だ。今日この時から不動と戦争だ。覚悟するように」
そう答えながら朝食の御粥に舌鼓を打ったのだった。
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