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大也、無駄な抵抗を試みる
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日本の忍者のトップ2と言えば、
三重県の伊賀。
滋賀県の甲賀。
この二つだ。
この二大忍者集団が近畿、中部だけではなく、日本全国でデカイ顔をしていた。
それは当然の事だ。
大鳥忍軍も伊賀の流れを汲んでいるし、アメリカのムーンリング機関は甲賀の流れなのだから。
この二大忍者集団は明治維新や敗戦後に廃れる事なく生き残ったので本当に偉そうにやっていた。
それに比べれば、真田忍軍や軒猿、歩き巫女等々の末裔や分派は本当に慎ましく細々とやっていた。
◇
対して日本政府の忍者集団と言えば、
内閣調査室と公安の合同組織の犯罪忍者対策室。
防衛省自衛隊の草薙部隊。
政府機関・大鳥忍軍。
この三つである。
日本政府内での序列もこの順だった。
犯罪忍者対策室は調査権限の他に刑務所権限も持ってる。
草薙部隊は国防で他国勢力と戦う権限を。
大鳥忍軍は両組織の要請を受けて出動する立場にあるが下請けとは少し違う。
何せ、一番強い組織が伊賀の流れを汲む大鳥忍軍だったのだから。
◇
その日は富士の樹海で6時間訓練をした。
往路と復路、1時間ずつの新幹線移動を加えると計8時間である。
朝8時に大鳥邸から出発すると夕方4時30分頃に品川駅に到着した。
実は大也はこの時間帯に外出してるのは稀な事である。
この時間帯にはとっくに大鳥邸に帰還してるのだから。
つまり大也の中で新たな発見があった。
この時間帯には同年代の女子高生がやたらといる。
(この時間帯の方が出会いがあるのでは?)
そう真剣に熟慮した大也が駅のエスカレーター付近で凄い綺麗な女子高生とすれ違い、声を掛けようと振り返ろうとした時、
「手塚大也、 少しいいか?」
そう声を掛けられた。
相手は見た事もない20代後半のスパダリ風の男だったので、
「ないわ~。どうして男を寄越すかね~。美女を寄越してよ~」
大也はそう正直に嘆いたのだった。
「オレを知らないのか? 小森の室長、猿飛聖だぞ」
「どうせ偽物でしょ?」
「失礼な。本物だ」
「もしかしてあの時のロシア撃退の褒賞ですか?」
「その前日の行動総てを免責にしてやっただろうが」
「なら今更何の用です?」
「少し力を貸せ、緊急だ」
「嫌ですよ。馬鹿馬鹿しい」
「逮捕してもいいんだぞ?」
聖がそう脅すと、
「じゃあ、逮捕で」
大也はそう言ってわざとらしく両手首を出した。
「しないと思ってるな?」
「いいえ、『絶対に言う事を聞かないぞ』と思ってます」
「・・・何が気に入らない?」
「全部」
大也は聖の顔を見ながらきっぱりと言い切った。
それには聖の方が渋い顔をする。
「もう行っても? それとも逮捕します?」
「もういい。行け」
「では失礼します」
大也はそのままエレベーターに乗って降りていった。
◇
犯罪忍者対策室は内閣調査室と公安の合同組織だ。
その室長の申し出を断れる訳もなく、車で大鳥邸に向かってる最中に大也のスマホが鳴った。相手は大鳥颯太だ。
『私だ。大也君、少し小森の仕事をして欲しいんだが』
「嫌ですよ。どうせ・・・」
『百瀬喜多郎って知ってるか?』
「いえ、全然」
車内に金馬リョウと運転手が居たので大也は本当に知らないふりをした。
『少し厄介な忍者だ。そいつが犯罪忍者刑務所『佐渡島』から脱獄した。何処かの組織が逃がしたのだろう。総裁選の真っ只中なので不測の事態だけは避けたい。小森に協力してくれ』
「・・・仕方ないですね。どちらに向けえばいいんですか?」
『小森に向かってくれ』
「は~い」
結局は大也は犯罪忍者対策室関連の仕事をする破目になったのだった。
三重県の伊賀。
滋賀県の甲賀。
この二つだ。
この二大忍者集団が近畿、中部だけではなく、日本全国でデカイ顔をしていた。
それは当然の事だ。
大鳥忍軍も伊賀の流れを汲んでいるし、アメリカのムーンリング機関は甲賀の流れなのだから。
この二大忍者集団は明治維新や敗戦後に廃れる事なく生き残ったので本当に偉そうにやっていた。
それに比べれば、真田忍軍や軒猿、歩き巫女等々の末裔や分派は本当に慎ましく細々とやっていた。
◇
対して日本政府の忍者集団と言えば、
内閣調査室と公安の合同組織の犯罪忍者対策室。
防衛省自衛隊の草薙部隊。
政府機関・大鳥忍軍。
この三つである。
日本政府内での序列もこの順だった。
犯罪忍者対策室は調査権限の他に刑務所権限も持ってる。
草薙部隊は国防で他国勢力と戦う権限を。
大鳥忍軍は両組織の要請を受けて出動する立場にあるが下請けとは少し違う。
何せ、一番強い組織が伊賀の流れを汲む大鳥忍軍だったのだから。
◇
その日は富士の樹海で6時間訓練をした。
往路と復路、1時間ずつの新幹線移動を加えると計8時間である。
朝8時に大鳥邸から出発すると夕方4時30分頃に品川駅に到着した。
実は大也はこの時間帯に外出してるのは稀な事である。
この時間帯にはとっくに大鳥邸に帰還してるのだから。
つまり大也の中で新たな発見があった。
この時間帯には同年代の女子高生がやたらといる。
(この時間帯の方が出会いがあるのでは?)
そう真剣に熟慮した大也が駅のエスカレーター付近で凄い綺麗な女子高生とすれ違い、声を掛けようと振り返ろうとした時、
「手塚大也、 少しいいか?」
そう声を掛けられた。
相手は見た事もない20代後半のスパダリ風の男だったので、
「ないわ~。どうして男を寄越すかね~。美女を寄越してよ~」
大也はそう正直に嘆いたのだった。
「オレを知らないのか? 小森の室長、猿飛聖だぞ」
「どうせ偽物でしょ?」
「失礼な。本物だ」
「もしかしてあの時のロシア撃退の褒賞ですか?」
「その前日の行動総てを免責にしてやっただろうが」
「なら今更何の用です?」
「少し力を貸せ、緊急だ」
「嫌ですよ。馬鹿馬鹿しい」
「逮捕してもいいんだぞ?」
聖がそう脅すと、
「じゃあ、逮捕で」
大也はそう言ってわざとらしく両手首を出した。
「しないと思ってるな?」
「いいえ、『絶対に言う事を聞かないぞ』と思ってます」
「・・・何が気に入らない?」
「全部」
大也は聖の顔を見ながらきっぱりと言い切った。
それには聖の方が渋い顔をする。
「もう行っても? それとも逮捕します?」
「もういい。行け」
「では失礼します」
大也はそのままエレベーターに乗って降りていった。
◇
犯罪忍者対策室は内閣調査室と公安の合同組織だ。
その室長の申し出を断れる訳もなく、車で大鳥邸に向かってる最中に大也のスマホが鳴った。相手は大鳥颯太だ。
『私だ。大也君、少し小森の仕事をして欲しいんだが』
「嫌ですよ。どうせ・・・」
『百瀬喜多郎って知ってるか?』
「いえ、全然」
車内に金馬リョウと運転手が居たので大也は本当に知らないふりをした。
『少し厄介な忍者だ。そいつが犯罪忍者刑務所『佐渡島』から脱獄した。何処かの組織が逃がしたのだろう。総裁選の真っ只中なので不測の事態だけは避けたい。小森に協力してくれ』
「・・・仕方ないですね。どちらに向けえばいいんですか?」
『小森に向かってくれ』
「は~い」
結局は大也は犯罪忍者対策室関連の仕事をする破目になったのだった。
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