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卒業パーティー前 〜宮殿内でも移動するのに護衛が付く王太子の浮気がバレないなんて物語は存在しない〜
44、夏休み、エルゼーシアはカードレートの街へ
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本格的な夏になった。
異世界とはいえ魔法やギフトがない世界だ。
夏は熱い。
勉強に集中出来ないくらいに。
よって貴族学校は夏期に長期の休みがあった。
俗に言う「夏休み」である。
貴族学校の貴族の生徒で直系は大抵、領地に帰省する。
マリーハルケン公爵家のエルゼーシアは領地であるカードレートの街に既に移動していた。
来年には結婚して王太子妃となる。
そうなればもうこの領地にも気軽には来れないので。
カードレートの街は港が併設された街である。
街は急勾配に設置されている。急勾配の立地に街が造られたのは満潮対策や防衛対策、入り江の立地や船が入れる海底の深さなど色々な要因が重なった訳だが。
カードレート城はその急斜面の街の上側に存在した。
その為、カードレート城のバルコニーからは、街の様子と、カフス海に面する港の様子が一望出来た。
新鮮な海の匂いの風と共に。
現在、港には15、6艘の帆船が停泊して荷の出し入れをしている。
そして、カフス海の対岸の山々もギリギリ見えた。
山だけだ。陸地はさすがに見えない。
世界は球体なので、4キロメートルまでしか見えないらしいので。
カフス海は内海である。
なので津波の心配も海賊の心配もなかった。
どうして海賊の心配がないのか?
それは外海からカフス海を目指して価値のある荷を満載した船が移動する航海ルートは決まっており、海賊達はわざわざ各国の海軍が厳重に巡回するカフス海まで獲物が戻るのを待たず、その外海のルート上で貿易船を襲撃するからである。
各国の私掠船も同様で、外海で活動する。
なので、カフス海は海賊も、海賊行為をする海軍も居らず、治安は比較的良かった。
そして、その治安の良いカフス海で北沿岸と南沿岸の港で貿易するだけでも貿易商達はボロ儲けが出来るのである。
このカードレートの港もカフス海の南沿岸の特産品の異国の絨毯や香辛料、黄金などを運ぶだけで。
そんな訳でカードレートの港は今日も富が落ち、アンドレーヌ王国の南側の領地から人が集まり、活気に満ちている訳であった。
カードレートの港を利用している貴族は何もマリーハルケン公爵家だけではない。
アンドレーヌ王国の南側、例えばカードレートの街の東隣のカフス海には面してるが浅瀬の為に港が作れないノルセール領を治めるタキレン男爵家は領地が作る主産業の葡萄酒を馬車で11日と遠い王都アンゼルには送らずに、馬車で1日のカードレートの街に運んで商人達に売って商売をしている。
葡萄酒は酒なので対岸でも売れる訳だ。
カードレートの街の北隣のゼビウーレ領を治めるニッテル子爵家もだ。ゼビウーレ領は岩塩が取れる地層がある。塩なんて海からいくらでも作れるのでカフス海で売れないだろうと思いきや、海水から塩を作るコストを考えれば岩塩を採掘した方が安価で売れた。
そしてゼビウーレ領から王都アンゼルは馬車で9日、対するカードレートの街は馬車で 1日なのだ。そちらに岩塩を運んだ。
そんな訳で、それらカードレートの街を利用している南側の貴族達は、それはもうマリーハルケン公爵家に頭が上がらない訳である。
嫌われたら最後、嫌がらせをされるので。
まあ、前マリーハルケン公爵は「多数派工作の鬼」なので飴(カフス海の相場情報を教えて利益を上げさせる)と鞭(その逆で教えずに損をさせる)の使い分けが上手く、追い詰めたりはしないのだが。
それに長期の戦略によって派閥の寄り子貴族達との政略結婚をさせてどんどん陣営に引き入れている。
今ではカードレートの港を利用している貴族は全員マリーハルケン公爵陣営に組み込まれているという塩梅だった。
◇
そのカードレートの街を支配するマリーハルケン公爵家の居城が街の上部にあるカードレート城である。
たった今、そのカードレート城に到着した行列の馬車の1台からエルゼーシアが降りてきた。
玄関前で出迎えたのは祖父のエドモントだったのだが、孫のエルゼーシアが出てきた馬車を見て、
「婚予定の王太子はやはり来ておらぬのか?」
「来る訳がないじゃないですか。殿下は海の匂いが嫌いですのに。後、海鮮料理も」
「ったく、王族の癖にカードレートの重要性が分かっておらぬとは」
と呟いてから、小声でエルゼーシアに、
「(で、エルゼの居ない間、王太子は羽根を伸ばせる訳か? 相変わらずエルゼは怖いな)」
「(どうしてそううがった見方になるんだか。ただの王家に嫁入りしたら気軽に来れないので見納めにきただけですのに。それに例の側妃候補は夏休みは領地に戻ってるそうですわよ。 まあ、御存知でしょうけど)」
「まあのう」
そんな会話をしながらエルゼーシアとエドモンドは城の中に入っていったのだった。
異世界とはいえ魔法やギフトがない世界だ。
夏は熱い。
勉強に集中出来ないくらいに。
よって貴族学校は夏期に長期の休みがあった。
俗に言う「夏休み」である。
貴族学校の貴族の生徒で直系は大抵、領地に帰省する。
マリーハルケン公爵家のエルゼーシアは領地であるカードレートの街に既に移動していた。
来年には結婚して王太子妃となる。
そうなればもうこの領地にも気軽には来れないので。
カードレートの街は港が併設された街である。
街は急勾配に設置されている。急勾配の立地に街が造られたのは満潮対策や防衛対策、入り江の立地や船が入れる海底の深さなど色々な要因が重なった訳だが。
カードレート城はその急斜面の街の上側に存在した。
その為、カードレート城のバルコニーからは、街の様子と、カフス海に面する港の様子が一望出来た。
新鮮な海の匂いの風と共に。
現在、港には15、6艘の帆船が停泊して荷の出し入れをしている。
そして、カフス海の対岸の山々もギリギリ見えた。
山だけだ。陸地はさすがに見えない。
世界は球体なので、4キロメートルまでしか見えないらしいので。
カフス海は内海である。
なので津波の心配も海賊の心配もなかった。
どうして海賊の心配がないのか?
それは外海からカフス海を目指して価値のある荷を満載した船が移動する航海ルートは決まっており、海賊達はわざわざ各国の海軍が厳重に巡回するカフス海まで獲物が戻るのを待たず、その外海のルート上で貿易船を襲撃するからである。
各国の私掠船も同様で、外海で活動する。
なので、カフス海は海賊も、海賊行為をする海軍も居らず、治安は比較的良かった。
そして、その治安の良いカフス海で北沿岸と南沿岸の港で貿易するだけでも貿易商達はボロ儲けが出来るのである。
このカードレートの港もカフス海の南沿岸の特産品の異国の絨毯や香辛料、黄金などを運ぶだけで。
そんな訳でカードレートの港は今日も富が落ち、アンドレーヌ王国の南側の領地から人が集まり、活気に満ちている訳であった。
カードレートの港を利用している貴族は何もマリーハルケン公爵家だけではない。
アンドレーヌ王国の南側、例えばカードレートの街の東隣のカフス海には面してるが浅瀬の為に港が作れないノルセール領を治めるタキレン男爵家は領地が作る主産業の葡萄酒を馬車で11日と遠い王都アンゼルには送らずに、馬車で1日のカードレートの街に運んで商人達に売って商売をしている。
葡萄酒は酒なので対岸でも売れる訳だ。
カードレートの街の北隣のゼビウーレ領を治めるニッテル子爵家もだ。ゼビウーレ領は岩塩が取れる地層がある。塩なんて海からいくらでも作れるのでカフス海で売れないだろうと思いきや、海水から塩を作るコストを考えれば岩塩を採掘した方が安価で売れた。
そしてゼビウーレ領から王都アンゼルは馬車で9日、対するカードレートの街は馬車で 1日なのだ。そちらに岩塩を運んだ。
そんな訳で、それらカードレートの街を利用している南側の貴族達は、それはもうマリーハルケン公爵家に頭が上がらない訳である。
嫌われたら最後、嫌がらせをされるので。
まあ、前マリーハルケン公爵は「多数派工作の鬼」なので飴(カフス海の相場情報を教えて利益を上げさせる)と鞭(その逆で教えずに損をさせる)の使い分けが上手く、追い詰めたりはしないのだが。
それに長期の戦略によって派閥の寄り子貴族達との政略結婚をさせてどんどん陣営に引き入れている。
今ではカードレートの港を利用している貴族は全員マリーハルケン公爵陣営に組み込まれているという塩梅だった。
◇
そのカードレートの街を支配するマリーハルケン公爵家の居城が街の上部にあるカードレート城である。
たった今、そのカードレート城に到着した行列の馬車の1台からエルゼーシアが降りてきた。
玄関前で出迎えたのは祖父のエドモントだったのだが、孫のエルゼーシアが出てきた馬車を見て、
「婚予定の王太子はやはり来ておらぬのか?」
「来る訳がないじゃないですか。殿下は海の匂いが嫌いですのに。後、海鮮料理も」
「ったく、王族の癖にカードレートの重要性が分かっておらぬとは」
と呟いてから、小声でエルゼーシアに、
「(で、エルゼの居ない間、王太子は羽根を伸ばせる訳か? 相変わらずエルゼは怖いな)」
「(どうしてそううがった見方になるんだか。ただの王家に嫁入りしたら気軽に来れないので見納めにきただけですのに。それに例の側妃候補は夏休みは領地に戻ってるそうですわよ。 まあ、御存知でしょうけど)」
「まあのう」
そんな会話をしながらエルゼーシアとエドモンドは城の中に入っていったのだった。
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