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卒業パーティー前 〜宮殿内でも移動するのに護衛が付く王太子の浮気がバレないなんて物語は存在しない〜
45、夏の段階で動いてる者は既に動いてる
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カードレート港を拠点として活動するアンドレーヌ王国の海軍は二種類である。
アンドレーヌ王国の正規の海軍。
マリーハルケン公爵家が抱える私兵武装船団。通称「公爵海軍」。
どちらが強いのか?
そんなのはマリーハルケン公爵が抱える公爵海軍に決まっている。
何せ、上官が血筋で決まる正規の海軍の場合、無能なハズレの貴族子弟が船長になったりなんかしたら本当に機能しなくなるので。
対する公爵海軍は完全な実力主義。平民でも船長になれる。マリーハルケン公爵家の私兵なので、給料もマリーハルケン公爵家から出る。海軍の重要性を理解している前公爵のエドモンドを始め、それ以前の公爵達も金を惜しまずに優秀な人間を育てたので、それはもう強かった。
カフス海で海軍を抱える沿岸諸国や海賊行為を働く海の男達からも一目置かれるくらいに。
◇
カードレート城の執務室に通されたエルゼーシアは二人っきりになると同時に祖父のエドモンドに相談された。
「エルゼや。実は今少し困っておってな。知恵を貸してくれんか」
「どのようなです?」
「過去に海賊を罠に嵌めた事があってな。そのせいで海賊の手下が欲しいのだが誰もが罠だと疑い、ワシの配下になってくれん。どうすればいいと思う?」
「公爵海軍を海賊に偽装させればいいのでは?」
そう気軽にエルゼーシアは答えたが、エドモンドは真剣な顔で、
「それが出来んから困っておるのだ」
「どうして出来ないのです?」
「アンドレーヌ王国の同盟国のサラット王国の港で略奪をする海賊だからだ。バレたら拙いし」
気軽に口走ってるが、内容はかなり「邪悪」である。エルゼーシアはピクリと反応しながら祖父を見て、
「・・・何をやられるので?」
「貴族学校の卒業式でエルゼが市井で流行している恋愛小説のように王太子に婚約破棄されたとしよう。その後、ワシが迅速に動いてアンドレーヌ王国を掌握しても、王妃を出したサラット王国が黙ってはおるまい。そもそも国王夫妻もサラット王国に外交交渉に出て居て無傷だからのう。アンドレーヌル王国を奪還する為に同盟国として兵を出すに決まっている。さて、サラット王国がその兵を出す時期はいつだと思う?」
「夏ですね。タル草原の騎馬民族と連動するはずです」
「使者を送って騎馬民族タルと同盟を結ぶのか?」
「そんな事をせずとも夏になればタル草原から勝手に進軍するので、その動きに合わせればよろしいかと」
「ふむ。それが順当だのう。それで西の兵は動かせなくなるのだから。国王が存命であれば、国王の帰還を合図に大人しくこちらに従っていた貴族どもが一斉に蜂起し、ワシらは負ける訳だ。なので、サラット王国がアンドレーヌ王国に進軍出来ぬように海賊を使って足止めしたい訳なんじゃが・・・その海賊が雇えん。自前の公爵海軍では露骨だしのう」
そう頭を悩ませるエドモンドに対して扇を口元に当てたエルゼーシアが、
「・・・お祖父様、もしかして耄碌されました?」
「どういう意味じゃ?」
「どうして海賊を雇うという発想になるんです? 他国を使えばよろしいではありませんか。確かサラット王国がアンドレーヌ王国に王妃を出した背景には東の国との険悪化で挟撃を恐れたからだと記憶しておりますが」
「カーダル辺境伯の居るモーテルゼ公国か。しかし、この20年で情勢が変わってな。現在のモーテルゼ公国にサラット王国を攻める軍事力はもう・・・おお、そうか。攻めずとも海賊行為をさせるだけなら・・・ふむ、カーダル辺境伯を使ってモーテルゼ公国を動かせば、モーテルゼ公国が動かずとも軍部の一部を暴発させれば、偽装海賊が簡単に・・・」
否定的な言葉を吐こうとしたエドモンドは1人で勝手に結論に達して盛りあがった。
「もうよろしいですか、お祖父様」
「うむ、知恵を借りてすまなんだな、さすがはエルゼだ」
「そうだわ。王妃陛下のプレゼントもお願いしますね」
「ニハイス産の白真珠の中玉のロングネックレスな、分かっておる」
エドモンドはそう請け負ったのだった。
アンドレーヌ王国の正規の海軍。
マリーハルケン公爵家が抱える私兵武装船団。通称「公爵海軍」。
どちらが強いのか?
そんなのはマリーハルケン公爵が抱える公爵海軍に決まっている。
何せ、上官が血筋で決まる正規の海軍の場合、無能なハズレの貴族子弟が船長になったりなんかしたら本当に機能しなくなるので。
対する公爵海軍は完全な実力主義。平民でも船長になれる。マリーハルケン公爵家の私兵なので、給料もマリーハルケン公爵家から出る。海軍の重要性を理解している前公爵のエドモンドを始め、それ以前の公爵達も金を惜しまずに優秀な人間を育てたので、それはもう強かった。
カフス海で海軍を抱える沿岸諸国や海賊行為を働く海の男達からも一目置かれるくらいに。
◇
カードレート城の執務室に通されたエルゼーシアは二人っきりになると同時に祖父のエドモンドに相談された。
「エルゼや。実は今少し困っておってな。知恵を貸してくれんか」
「どのようなです?」
「過去に海賊を罠に嵌めた事があってな。そのせいで海賊の手下が欲しいのだが誰もが罠だと疑い、ワシの配下になってくれん。どうすればいいと思う?」
「公爵海軍を海賊に偽装させればいいのでは?」
そう気軽にエルゼーシアは答えたが、エドモンドは真剣な顔で、
「それが出来んから困っておるのだ」
「どうして出来ないのです?」
「アンドレーヌ王国の同盟国のサラット王国の港で略奪をする海賊だからだ。バレたら拙いし」
気軽に口走ってるが、内容はかなり「邪悪」である。エルゼーシアはピクリと反応しながら祖父を見て、
「・・・何をやられるので?」
「貴族学校の卒業式でエルゼが市井で流行している恋愛小説のように王太子に婚約破棄されたとしよう。その後、ワシが迅速に動いてアンドレーヌ王国を掌握しても、王妃を出したサラット王国が黙ってはおるまい。そもそも国王夫妻もサラット王国に外交交渉に出て居て無傷だからのう。アンドレーヌル王国を奪還する為に同盟国として兵を出すに決まっている。さて、サラット王国がその兵を出す時期はいつだと思う?」
「夏ですね。タル草原の騎馬民族と連動するはずです」
「使者を送って騎馬民族タルと同盟を結ぶのか?」
「そんな事をせずとも夏になればタル草原から勝手に進軍するので、その動きに合わせればよろしいかと」
「ふむ。それが順当だのう。それで西の兵は動かせなくなるのだから。国王が存命であれば、国王の帰還を合図に大人しくこちらに従っていた貴族どもが一斉に蜂起し、ワシらは負ける訳だ。なので、サラット王国がアンドレーヌ王国に進軍出来ぬように海賊を使って足止めしたい訳なんじゃが・・・その海賊が雇えん。自前の公爵海軍では露骨だしのう」
そう頭を悩ませるエドモンドに対して扇を口元に当てたエルゼーシアが、
「・・・お祖父様、もしかして耄碌されました?」
「どういう意味じゃ?」
「どうして海賊を雇うという発想になるんです? 他国を使えばよろしいではありませんか。確かサラット王国がアンドレーヌ王国に王妃を出した背景には東の国との険悪化で挟撃を恐れたからだと記憶しておりますが」
「カーダル辺境伯の居るモーテルゼ公国か。しかし、この20年で情勢が変わってな。現在のモーテルゼ公国にサラット王国を攻める軍事力はもう・・・おお、そうか。攻めずとも海賊行為をさせるだけなら・・・ふむ、カーダル辺境伯を使ってモーテルゼ公国を動かせば、モーテルゼ公国が動かずとも軍部の一部を暴発させれば、偽装海賊が簡単に・・・」
否定的な言葉を吐こうとしたエドモンドは1人で勝手に結論に達して盛りあがった。
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「うむ、知恵を借りてすまなんだな、さすがはエルゼだ」
「そうだわ。王妃陛下のプレゼントもお願いしますね」
「ニハイス産の白真珠の中玉のロングネックレスな、分かっておる」
エドモンドはそう請け負ったのだった。
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