斬られ役、異世界を征く!! 弐!!

通 行人(とおり ゆきひと)

文字の大きさ
76 / 282
聖道化師襲来編

聖道化師、語る

しおりを挟む

 76-①

 京三に『アルホを返せ』と言われて、武光はキョトンとした。

「ん……?」
「いや、『ん……?』じゃありませんよ、ボクから取り上げた《アルホ》ですよ!!」
「んん……?」
「いやいやいや、何でトボけるんですか!?」
「取り上げた……? あっ、もしかしてコレか!?」

 武光は懐から、京三から取り上げた透明のプレートを取り出した。

「そう!! それですよ!! アルホが分からないとか……ボクの祖父でも知ってますよ……」
「誰がおじいちゃんやねん!? 俺は平成生まれの26歳やぞ!!」
「えっ!?」

 京三は一瞬キョトンとしたあと、苦笑した。

「いやいやいや、冗談キツいですよ。平成って……300年くらい前じゃないですか」
「はぁ? さ、300年前って……京三、お前……何年生まれや?」
「え? 『ジオウ』元年生まれですけど……」
「何やソレ? 仮◯ライダーか?」
「何言ってるんですか、《慈応じおう》ですよ《慈応》、西暦2350年です」

 西暦2350年……京三の生まれた年を聞いて、武光はアングリと口を開けた。

「み、未来人やったんかお前……」
「ボクから見たら、貴方が大昔の人ですけどね……」
「いや、でもお前、『シン・◯ジラ』とか『◯の名は。』とか知ってたやん!?」
「アンティーク映画マニアなんです、ボク。だから武光さんと巫女さんの魂を入れ替えた時に、武光さんが自分の胸を揉もうとしたり、無人在来線爆弾の話題を出したのを見て、(同好の士を殺めるのは心苦しいけど……)ってちょっぴり思ってたんですけど」
「マジか……じゃ、じゃあ……ケイえもん、この板っきれ……もしかして未来の道具とか?」

 武光は手の中のプレートを見た。

伝説レジェンドマンガのネコ型ロボみたいに言わないでくれません!? そうですよ、《アルティメットフォン》……通称、『アルホ』です。あなたの時代で言うところの……《アメイジングフォン》ですかね?」

 武光は何じゃそりゃと言わんばかりに怪訝けげんな顔をした。

「えっ、じゃあ『アメホ』より前の世代の……《ライジングフォン》辺りですか?」
「いや、何ソレ?」
「ウソだろ……『ライホ』より前って言ったら、もしかして《スマートフォン》時代……?」
「うん、それ!!」
「そ、そんな昔の人なのか……えっ!? ちょっと待って、平成の人って事はもしかして『シン・◯ジラ』とか『◯の名は。』とか、リアルタイムで見たり……」
「えっ、うん……まぁ、見たけど」
「うおおおおお!! すっげーーーーー!!」
「いや、それはええねんけど……コレで何するつもりやねんな?」

 武光の質問に、京三は答えた。

「二台のアルホを使って、食料とか必要物資を天照武刃団の皆さんに転送させてもらいます」
「て、転送ぅ!?」
「さっき見たでしょう、ボクのアルホから色んな物が飛び出してきたのを。あれは、ボクのもう一台のアルホでスキャンしたものを、こっちのアルホに転送させてたんですよ」
「な、何と!?」
「極端に大きい物とか、生きてる動物とかじゃなければ、大抵の物は転送出来ますよ」
「マジか……未来のひみつ道具って凄いんやなー、ケイえもん」
「いや、ひみつ道具って……ボクの時代なら、子供でも普通に持ってる道具なんですけど……って言うか、完全にネコ型ロボ扱い!?」
「よっしゃ、じゃあケイえもん、お前に頼みたい事がある」
「は……はい!!」
「マイク・ターミスタに行って、ジャトレー・リーカントさんを訪ねて欲しい」
「ジャトレーさん?」
「ああ、この国随一の刀匠で、クレナの穿影槍の開発者でもある。ジャトレーさんの所から、定期的に穿影槍に装填する閃光石を送ってもらいたいねん。それに、このアルホがあれば、穿影槍そのものを向こうに送って整備してもらえるやろし」
「分かりました……あっ、いけない!!」

 京三は突然、大慌てで着ていたコートを脱ぎ捨てた。

「ど、どないしたんや急に!?」
「暗黒教団の信徒に配られているコートは、聖女シルエッタが影転移の術を使う際のマーカーの役割を担っているんです」
「ほんならアイツは、信徒のいる所なら、どこにでもワープ出来るって事か!?」
「そうです、僕が最初にあなた達の前から姿を消した時も、あらかじめシルエッタにこのコートを通じて、脱出用のゲートを開いてもらっていたんです」
「ほほう……」
「早くこのコートを処分しないと、刺客がいつ送り込まれてくるか──」
「ちょっと待て」

 コートを燃やそうとした京三を武光は制止した。武光の顔には悪っっっそうな笑みが浮かんでいる。

「俺に考えがある。このコート借りるぞ」

 武光は京三のコートを手に取ると、廃屋の方に歩いていった。しばらくして戻ってきた武光は京三の肩を叩いた。

「よし、そんじゃあとりあえずネヴェスの里に戻ろか。色々と教えてもらわなあかん事もあるしな?」
「は、はい……」


 天照武刃団は、廃村を去った。


 77-②

 その日の夕刻、次なる計画の準備を終えたシルエッタは影転移の術を使い、京三のもとへ飛んだ。戦力は十分に整えておいてやったが……戦いの結果を確認しなければならない。

「ご機嫌よう、京三さ……まぁっ!?」

 影から出た瞬間、派手にすっ転んで頭を打った。
 常に微笑みを絶やさない聖女シルエッタも、これには痛さのあまり、思わず涙目になった。

 シルエッタは周囲を見回した。どうやらここは、あの廃村の中の廃屋の一つらしい、窓の前には、京三に与えたコートが吊るされており、そこから伸びる影の上には……この家の子供のものと思われるガラス玉が大量にばら撒かれていた。

「くっ……何ですかこれは……ぁぁっ!?」

 起き上がろうとしたシルエッタは、再びガラス玉を踏んづけてしまい、すっ転んでまたしても頭を打った。

 じんじんと痛む頭を押さえて、ようやく立ち上がったシルエッタは、壁に貼り紙がしてあるのに気付いた。

 そこには、武光の署名と共に、たった一言、こう書かれていた。


『ざまぁ』


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」 ***  魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。  王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。  しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。  解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。  ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。  しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。  スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。  何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……? 「今日は野菜の苗植えをします」 「おー!」 「めぇー!!」  友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。  そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。  子育て成長、お仕事ストーリー。  ここに爆誕!

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

処理中です...