斬られ役、異世界を征く!! 弐!!

通 行人(とおり ゆきひと)

文字の大きさ
237 / 282
はいぱーむてき大作戦編

少女達、力を授かる

しおりを挟む

 237-①

「お前達に……我らの力を授けよう」

 そう言うと、神々はナジミ達に向かって光を照射した。そのあまりのまばゆさに、ナジミ達は思わず目を閉じた。
 光が収まり、ナジミ達はゆっくりと目を開けた。

「これは……!!」

 クレナは目を見開いた。
 愛用の穿影槍が変化を遂げている。全体が銀色から赤銀色……武光の世界で言うメタリックレッドに変化していた。
 だが、変化していたのは外見だけではなかった。
 クレナが、突撃槍ランス部側面に設けられた閃光石破砕時の光を放出する為の窓を覗くと、閃光石を破砕する機構が無くなっており、代わりに神々しい光を放つ火の玉が浮いていた。

「どうだ、凄ぇだろ? 決して消える事のない神の火だ!!」

 驚きを隠せないクレナに、火神ニーバングが自慢気に語る。

「名付けて《火神穿影槍かしんせんえいそう》、神火があれば閃光石なんぞとは比べ物にならねぇ程の光が何度でも出せる。あと、武器自体の強度も何十倍にも頑丈にしといてやったぞ!!」
「凄い……ありがとうございます!! ニーバング様!!」
「それじゃあ、次は僕の番だね」

 風神ドルトーネはキクチナに説明を始めた。

 キクチナの小型ボウガンは緑銀色に輝く小型ボウガンへと変化していた。

「名付けて《風神弩ふうじんど》……どうだい、キクチナ?」
「し、信じられません……まるで鳥の羽のよう……重さをまるで感じません!!」
「ふふん、凄いのはそれだけじゃない。試しに君の真後ろにある木を撃ってごらん」
「は、はい!!」

 言われたキクチナは振り返ろうとしたが……

「ちょっと待った。振り返らずに、そのまま正面に向かって撃つんだ」

 前に放った雷導針が背後の木に刺さるはずがない。キクチナを始め、天照武刃団の誰もがそう思ったが、困惑しつつも、キクチナはドルトーネに言われた通りに指定された木に背を向けたまま、正面に向かって雷導針を放った。
 そして雷導針を放つと同時に一陣の風が吹き、放たれた雷導針は、空中で蜻蛉返とんぼがえりしてキクチナの背後の木に向かうという常識では考えられない軌道で飛翔し、見事に目標に突き立った。

「い、一体何が……!?」
「ふふん、凄いだろう? 風神弩は放たれた矢を風に乗せて確実に目標まで運んでくれるのさ」
「す、凄いです!! か、感謝致しますドルトーネ様!!」
「次はわしの番だな、そこの小娘、確かアルジェとか言ったか……お主に授けた《地神剣盾ちしんけんじゅん》について教えてやろう」
「お、お願ぇしますだラグドウン様!!」
「その剣を大地に突き立てよ」
「分かりましただ」

 アルジェはラグドウンの指示に従い、黄金色に変化した愛用の剣盾……地神剣盾の刃を地面に突き立てた。

「うむ、よろしい。地神剣盾は地面に刺した剣を通じて地震や地割れ、地面の隆起を起こす事が出来るのだ、やってみるがよい!!」
「は、はい!!」

 “ゴゴゴ……!!” という音と共に地面が揺れ、そこら中の地面から岩が隆起しだした。

「うわわわっ!? ちょっ!? アルジェやめろー!!」

 フリードに言われて、アルジェが慌てて地面に突き立てた地神剣盾を引き抜くと、地震は収まった。

「どうだ、凄いであろう? 慣れれば相手の足元だけを揺らしたり、狙った場所だけ地面を隆起させたり出来るようになる、精進せよ」
「はい!! 精進させて頂きますだ!!」
「うむ、シュラップスよ。お主もそこの娘に説明してやるがよい」

 ラグドウンの言葉にミナハは緊張した。自分の驚天動地は刃の部分が青銀色に変化している。果たして自分の斧薙刀には一体どのような凄まじい力が宿ったというのか。

「シュラップス様!! 私の驚天動地にはどのような力を授けて頂いたのでしょうか!?」
「そ、それはですね……えーっと…………水が出ます」
「……はい?」
「貴女の《水神驚天動地すいじんきょうてんどうち》からは……その……水が出ます」
「……は、はぁ」

 戸惑いを隠せないミナハを見て、シュラップスは焦った。

「ご、ごめんなさい。私は他の御三方と違い、争い事は不得手で……で、でも神の水だから、とても体に良いし、凄く美味しいし、あと……そ、そうだ!! 美容にも凄く良いのよ!? この水を毎日飲んでいれば、お肌だってツルツルのスベスベに──」

 それを聞いた瞬間、神々も驚くほどの速さで、天照武刃団の女子一同はシュラップスの前に列を成した。

「いや、お前ら水神様の前に並ぶなし!! 姐さんまで何並んでんだよ!? いや皆して『力をお授け下さい』じゃねーよ!? 他の神様達ちょっとヘコんでるぞオイ!?」
「とにかく一度使ってみて? そうね、切っ先をあの岩に向けて頂戴」
「……はっ、かしこまりました」

 ミナハは水神驚天動地の切っ先を先程アルジェが隆起させた岩へと向けた。

「頭の中で『水よ出ろ!!』と念じれば水は出ます」
「やってみます……!!」

 シュラップスの助言に従い、ミナハが『水よ出ろ!!』と念じると、水神驚天動地の切っ先から一条の水が勢いよく吹き出し…………アルジェが隆起させた岩を容易く貫通した。
 もし、この場に武光がいれば『工場とかにある超高圧のウォーターカッターやんけ!?』などとツッコむ所だが、ウォーターカッターなど知るはずもないナジミ達は眼前で起きた出来事にあんぐりと口を開けるしかなかった。

「どうかしら……? あとは、水を出した時の反動を全く受けないようにしたのだけれど」
「す……素晴らしいです、流石は水神シュラップス様!!」
「そ、そうかしら?」

 照れ笑いをするシュラップスを見て、フリードは残りの三柱に小声で話しかけた。

「……神様の世界でも、女って怒らせると怖いんスね?」
「……うむ」
「……そうだね」
「……俺なんか消されかねないぜ」

 野郎共は溜め息を吐くのだった。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」 ***  魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。  王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。  しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。  解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。  ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。  しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。  スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。  何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……? 「今日は野菜の苗植えをします」 「おー!」 「めぇー!!」  友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。  そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。  子育て成長、お仕事ストーリー。  ここに爆誕!

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...