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はいぱーむてき大作戦編
魔王城、迎撃する(後編)
しおりを挟む253-①
魔王城底部……城が地面に降着している時は地下二階となる階層にロイ=デスト率いる『冥府の群狼』は集結した。
ロイが制御室へと繋がる伝声管を開き、到着を伝えると、制御室から『1番から4番までの全ての足場を下ろします、各足場に分散して搭乗して下さい』との返事が返って来た。
冥府の群狼、総勢六十名は即座に四隊に分かれ、それぞれの足場への搭乗が完了した事をロイが伝えると、四つの足場は動き始めた。
『足場』は、機械の体を持つ魔族である機人族や、西暦2350年の日本からやって来た暗黒教団の元幹部、月之前 京三によってもたらされた未来の技術を駆使して設置された防御設備である。
超弩級穿影槍の左右の斜め前方と左右の斜め後方に設置された基部から、様々な方向や高さに動かすことが出来る巨大な腕……武光の世界でいうところのロボットアームが伸び、その先端には、およそ20m四方の足場が接続されている。
魔王城突撃の生命線とも言える脚と、作戦の要である超弩級穿影槍を、死角である『真下からの攻撃』より守る為に設置されたものであり、各足場に割り振られた番号に関しては、超弩級穿影槍の左前方の足場を1番とし、そこから時計回りに右前が2番、右後ろが3番、左後ろが4番というように番号が割り振られている。
前方には、地面を黒く塗り潰さんばかりのトカゲ型の影魔獣の群れ……1番の足場に登場したロイは部下達にたった一言だけ命じた。
「殺し尽くせ……!!」
……と。
253-②
影光は焦っていた。
各隊の奮戦により、今の所は空からの攻撃も陸からの攻撃も何とか防いではいるものの、暗黒樹との距離がもはや500mを切っても核の位置を感じ取る事が出来なかった。
やはり、一か八かこのまま突撃するしかないのか……影光が腹を決めようとしたその時──
『こちら観測所!! 暗黒樹の幹に発光している部分があります!!』
観測所からの報告を受け、影光は慌てて窓の外を見た。確かに、暗黒樹の幹の真ん中よりやや上、一点だけ光っている箇所がある。
理由も根拠も無い、相変わらず核の位置も感知出来ない。だが、影光は直感的にあそこに核があると思った。
……影光は腹を決めた。
伝声管に駆け寄り、待機中だったレムのすけ率いる怪力自慢の魔族達を集めた部隊に伝声管通信を送る。
「レムのすけ、いるか!?」
『ゴアッ!!』
「暗黒樹の幹に光っている部分がある!! お前らの怪力で……そこ目掛けて、閃光岩を投げまくれ!!」
『グォーッ!! マカ……セロ……!!』
レムのすけに指示を出した影光は今度は攻城兵器部隊に通信した。
「投石器部隊、衝突ギリギリまで暗黒樹の光っている部分に閃光岩を投射し続けてくれ!!」
『了解しました』
最後に影光は制御室に繋がる伝声管を開いた。
「キサイ、聞こえるか!!」
『はい、聞こえています!!』
「暗黒樹の幹に光っている箇所がある、そこをブチ抜く!! 超弩級穿影槍の角度を大至急計算してくれ!!」
『ふっ……既に目標との距離や、光っている場所の高さを元に計算し、命中させられる角度を割り出しています』
「マジかっ!? 流石は俺達自慢の知将枠!!」
『後は、影光さんの命令を待つのみです!!』
「よし!! 超弩級穿影槍の狙いを発光している箇所に定めろ、あの場所を……ブチ抜くッッッ!!」
『分かりました、角度の調整に入ります』
影光は再び窓の外を見た。窓の外では、レムのすけの怪力部隊と投石器部隊による発光箇所への集中攻撃が始まっている。
閃光岩が砕ける事によって生じる閃光で表面が削れてゆく暗黒樹を睨みながら、影光は、強く拳を握り締めた。
「後は行くのみ……だが、あの光は一体……?」
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