斬られ役、異世界を征く!! 弐!!

通 行人(とおり ゆきひと)

文字の大きさ
253 / 282
はいぱーむてき大作戦編

魔王城、迎撃する(後編)

しおりを挟む

 253-①

 魔王城底部……城が地面に降着している時は地下二階となる階層にロイ=デスト率いる『冥府の群狼』は集結した。

 ロイが制御室へと繋がる伝声管を開き、到着を伝えると、制御室から『1番から4番までの全ての足場を下ろします、各足場に分散して搭乗して下さい』との返事が返って来た。
 冥府の群狼、総勢六十名は即座に四隊に分かれ、それぞれの足場への搭乗が完了した事をロイが伝えると、四つの足場は動き始めた。

 『足場』は、機械の体を持つ魔族である機人族や、西暦2350年の日本からやって来た暗黒教団の元幹部、月之前 京三によってもたらされた未来の技術を駆使して設置された防御設備である。
 超弩級穿影槍の左右の斜め前方と左右の斜め後方に設置された基部から、様々な方向や高さに動かすことが出来る巨大な腕……武光の世界でいうところのロボットアームが伸び、その先端には、およそ20m四方の足場が接続されている。

 魔王城突撃の生命線とも言える脚と、作戦の要である超弩級穿影槍を、死角である『真下からの攻撃』より守る為に設置されたものであり、各足場に割り振られた番号に関しては、超弩級穿影槍の左前方の足場を1番とし、そこから時計回りに右前が2番、右後ろが3番、左後ろが4番というように番号が割り振られている。

 前方には、地面を黒く塗り潰さんばかりのトカゲ型の影魔獣の群れ……1番の足場に登場したロイは部下達にたった一言だけ命じた。

「殺し尽くせ……!!」

 ……と。

 253-②

 影光は焦っていた。

 各隊の奮戦により、今の所は空からの攻撃も陸からの攻撃も何とか防いではいるものの、暗黒樹との距離がもはや500mを切っても核の位置を感じ取る事が出来なかった。

 やはり、一か八かこのまま突撃するしかないのか……影光が腹を決めようとしたその時──

『こちら観測所!! 暗黒樹の幹に発光している部分があります!!』

 観測所からの報告を受け、影光は慌てて窓の外を見た。確かに、暗黒樹の幹の真ん中よりやや上、一点だけ光っている箇所がある。

 理由も根拠も無い、相変わらず核の位置も感知出来ない。だが、影光は直感的にあそこに核があると思った。

 ……影光は腹を決めた。

 伝声管に駆け寄り、待機中だったレムのすけ率いる怪力自慢の魔族達を集めた部隊に伝声管通信を送る。

「レムのすけ、いるか!?」
『ゴアッ!!』
「暗黒樹の幹に光っている部分がある!! お前らの怪力で……そこ目掛けて、閃光岩を投げまくれ!!」
『グォーッ!! マカ……セロ……!!』

 レムのすけに指示を出した影光は今度は攻城兵器部隊に通信した。

「投石器部隊、衝突ギリギリまで暗黒樹の光っている部分に閃光岩を投射し続けてくれ!!」
『了解しました』

 最後に影光は制御室に繋がる伝声管を開いた。

「キサイ、聞こえるか!!」
『はい、聞こえています!!』
「暗黒樹の幹に光っている箇所がある、そこをブチ抜く!! 超弩級穿影槍の角度を大至急計算してくれ!!」
『ふっ……既に目標との距離や、光っている場所の高さを元に計算し、命中させられる角度を割り出しています』
「マジかっ!? 流石は俺達自慢の知将枠!!」
『後は、影光さんの命令を待つのみです!!』
「よし!! 超弩級穿影槍の狙いを発光している箇所に定めろ、あの場所を……ブチ抜くッッッ!!」
『分かりました、角度の調整に入ります』

 影光は再び窓の外を見た。窓の外では、レムのすけの怪力部隊と投石器部隊による発光箇所への集中攻撃が始まっている。
 
 閃光岩が砕ける事によって生じる閃光で表面が削れてゆく暗黒樹を睨みながら、影光は、強く拳を握り締めた。

「後は行くのみ……だが、あの光は一体……?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

処理中です...