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最後の決着編
斬られ役の一味、大暴れする
しおりを挟む267-①
白の影魔獣を倒した武光と影光は、ふう……と息を吐いた。
「やれやれ……これにて一件落着やな、分身」
「……いや、そうもいかねぇみたいだぞ、本体」
武光と影光の視線の先に、影魔獣の大群が現れた。先ほど倒した白の影魔獣が自身に取り込んで傷を修復する為に呼び寄せていた群れだ。
「ったく、まだこんなに生き残ってやがったのか」
「嘘やん……二人でどうこう出来る数とちゃうやろ、アレは」
二人共、呼吸は荒く、疲労の色は隠せない。だが、自分達の背後には大切な仲間達、そして……かけがえのない女性がいる。
「……はぁ、逃げたいけど、しゃーないな?」
「ああ、仕方ないな」
「行くか?」
「ああ」
二人が再び抜刀しようとしたその時──
「オイ、抜け駆けは無しだぞ、影光」
「そうよ、私達にも殺戮させなさい♪」
「お、お前ら……!!」
影光の下にナジミの治療によって目を覚ました四天王、それにフォルトゥナや『ヨミ様を愛でる会』の三人、更にはリュウカクや新生魔王軍の戦士達が集結した。
「武光様、これ以上心配かけさせないでください」
「最後の大舞台、出番の独り占めは無しだよ、アニキ!!」
「み、皆……!!」
武光の下に、ナジミとフリード達、ミトにリョエンにロイ=デスト、そして彼らが指揮する王国軍の兵達も集結した。更には……
「私達も行きます、武光殿!!」
「ヴァっさん!? 良かった、無事やったんやな!!」
「ええ、仲間達が駆けつけてくれました」
暗黒樹崩落時にはぐれてしまった勇者リヴァルが、ヴァンプ=フトー、キサン=ボウシン、ダント=バトリッチと共に現れた。
武光と影光は互いに頷くと、悪役感満載の笑みを浮かべた。
武光は超聖剣イットー・リョーダンを、影光は魔王剣ネキリ・ナ・デギリを鞘から抜き放つと、迫り来る敵の大群へと切先を向け、高らかに号令した。
「「者共ッッッ!! 一匹たりとも生かして帰すな……此奴らを斬れッッッ!! 斬り捨てーーーいッッッ!!」」
空気を震わす鬨の声と共に、武光達は敵の群れに突撃した。
「よっしゃ!! 行けーーーーーっ!!」
「わはははは!! 潰せーーーーー!!」
「押せ押せーーーっ!!」
「やっちまえーーー!!」
「攻めろーーーーーっ!!」
「逃がすなーーーーー!!」
舞台、スポーツの試合、ライブ等々……熱狂と高揚と一体感が、『何だかよく分からん熱く激しいパワー』を生み出す事は多々ある。
そして、熱狂しまくり、高揚し倒し、一体感が大爆発した斬られ役の一味は、熱く激しい謎パワーの赴くままに、敵を圧倒し、蹴散らし、叩きのめし、三時間に及ぶ戦いの果てに……
「よっしゃあーーーーーーーーー!!」
「殲滅したぞーーーーーーーーー!!」
武光達は全ての影魔獣を殲滅し、戦場は歓喜の雄叫びに包まれた。
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